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「世界ってこんなに広いんだ」30年間離れていたマンガを再開→50代でデビューした“アラフィフ漫画家の星”【インタビュー・後編】

  • 2024.11.4
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「後の夫婦である」©湊ユウキ/アルファポリス

「お前、何者なんだ―?」

感情を表に出すのがちょっと苦手な男子大学生・あゆむ。ある日、道で目が合ってしまい見捨てられずに飼うことになった犬との“おかしな”生活を描く湊(みなと)ユウキさんによる『後の夫婦である』(2022年〜 / アルファポリス)。

二足歩行をしたり、人間用のトイレで用を足したりカップラーメンを啜ったり…人間味あふれる行動をする犬に困惑しながら、一度読み始めると先が気になって仕方がない読者が本作品連載開始後に続出しました。

また、11月1日には発行元のアルファポリスより、本作の続編制作決定(2025年初春公開予定)のニュースが発表され、大きな反響を呼んでいます。

著者の投稿に「12万いいね」

2023年2月、著者である湊ユウキさんが『後の夫婦である』のコミックス第1巻の発売をきっかけにTwitter(現X)に第1話を投稿すると大反響。2024年10月末までに1.6万ものリポスト、いいね数は12万を数えてます。

今回は50代で漫画家デビューし、“アラフィフ漫画家の星”とも呼ばれている湊さんにこれまでのキャリアについて話を伺いました。

(前後編の後編)

「世界ってこんなに広いんだ」50代で気付いた自分の可能性

ーー「ぬき(湊さんの別SNSアカウント名)」さん名義で投稿したツイートについて多くの反響がありました。

湊ユウキさん(以下湊) もともと10代の頃に絵やマンガを描いていたのですが、伸び悩んでいて。その後、仕事や子育てなどでなかなか時間も取れず、30年以上ペンを置いていました。子どもも自立して生活が落ち着いたころ、「また自分の好きなことをしよう!」と思い、中古の型落ちiPadを買って再び絵を描き始めたんです。そしてTwitter(当時)で漫画の投稿を始めて、始めて若い方たちと交流していったんですが、ふと「この人たちと私とは(若さが)違うんだ」と思ったんですよね。そしてあの投稿をしたんです。

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出典:photoAC(イメージ)

ーーそうだったのですね。湊さんが10代だった当時はなかったSNSはどのような変化を与えたのでしょうか?

 「世界ってこんなに広いんだ」と感じました。iPadも「こんなにすごいものがあるんだ」と思って。iPadでのイラスト作業も慣れるのは本当に大変でしたが、だんだんうまくなっていくのが自分でも分かって嬉しかったです。今はiPadではなく「液晶タブレット」を使って描いています。

ーーSNSでの投稿から商業誌デビューすることになったきっかけを教えて下さい

とにかく“担当者さん”をつけてみたかったんですよね笑。そのために、たくさんの漫画賞に応募しました。その中で「コミックバンチ」(新潮社)から賞をいただくことができ、商業誌での連載が決まりました。

ーー商業誌で連載したくてもできない漫画家の方が多くいる中で、湊さんは何が違っていたのでしょうか?

なんでしょう笑。しいて挙げるなら「とにかくたくさんの漫画賞に応募したこと」でしょうか。みなさんそれぞれ好きな漫画誌があるのと思うのですが、『後の夫婦である』もたくさんの漫画誌やサイトに応募していました。

ーーなるほど。他にはありますか?

ひとつの画風や作品のテイストにこだわらずに、要望に応じてどんどん新しいものに挑戦していく「チャレンジ精神」は大事なのではないかなと思います。

※(注)湊さんのデビュー作は『アラフィフ転生~少女漫画の世界で「オモシレー女だな」と言われ求婚されまくりました。~ 』という転生系の作品。

ーー30年もの間ペンを置き、50代でプロ漫画家としてデビューした湊さんは「アラフィフ漫画家の星」と称されることがあります。どう受け止めていらっしゃいますか?

身の回りでも私と同年代でデビューしている人が増えているので私個人が「星」だなんて思っていないです。私のように、この年代の主婦の方はきっと子育てが落ち着き、自分を見つめられる時間が増えている方が多いのかなと思います。スクリーントーンなど、昔は手では時間がかかっていたものが今はデジタルであっという間にできてしまうので、そういった“環境”も後押ししてくれるのではないでしょうか。どの世代の方も、是非諦めずチャレンジしていって欲しいです!


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【第1回】「犬苦手なんだよね…」捨て犬との出会い《漫画・後の夫婦である》
【第1回】「犬苦手なんだよね…」捨て犬との出会い《漫画・後の夫婦である》

第3回まで無料で読める!『後の夫婦である』


「後の夫婦である」©湊ユウキ/アルファポリス

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