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イッセイ ミヤケが多角的に捉える、“紙の美しさ”【2025年春夏 パリコレクション】

  • 2024.9.30

9月27日(現地時間)の朝に披露されたイッセイ ミヤケISSEY MIYAKE)の2025年春夏コレクションショーは、細やかな配慮に満ちていた。公園に面したパビリオンはこの直前に開催されたロエベLOEWE)のショー会場から歩いてすぐの距離にあり、窓いっぱいに広がる緑もコレクションのテーマにもふさわしい。客席に置かれた丸いスツールは、メゾンの核であり続けるプリーツ加工の副産物である円筒状の紙を活用したもので、リサイクルも可能だという。

衣服を通じて表現された、紙の美しさ

そしてこのスツールは、紙を中心にした一連のルックからなるコレクションの序章を飾るものだった。水滴の落ちる音とともに登場した透け感のあるオープニングルックは、美しい曲線を描くドレープによって濡れたような艶やかな輝きを放ち、湿った紙の風合いを反映している。その後に続いたのは、麻紙とシルクレーヨンをミックスした素材にストレッチ糸を織り込んだトープ、ホワイト、ブラックの6ルック。デザイナーの近藤悟史は日本の伝統的な和紙の質感を持たせたファブリックを用い、立体感を引き立てつつもしなやかなシルエットを作り上げた。

トーンやテクスチャーが混ざり合うルックのなかで、リズミカルに取り入れられたのが麻混のニットたち。一方、硬く織られた麻素材は、シルエットをよりはっきり際立たせたテーラリングに使われていた。また、一枚仕立てのプリーツドレスはモデルの身体に巻きつけられ、何人かは回転してみせたり、生地を伸ばしたりして、その弾力性と伸縮性をアピールした。

所々で目を引いたのは、紙に関連したさりげないディテール。クリップで飾られたルックや、和紙に糸を漉き込んだバッグなどがその好例だ。葉や花をプレスしたアイウェアやハット、マスクなどが登場する前には、シワ加工を施したシルクに押し花のプリントを施した美しいルックが続いた。繊細さとインパクトが融合したコレクションは、観る者の心に深く刻まれたようだった。

※イッセイミヤケ 2025年春夏コレクションをすべて見る。

Text: Luke Leitch Adaptation: Motoko Fujita

From VOGUE.COM

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