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320品種もある日本の米! おいしい3種を厳選紹介

  • 2024.9.30

JA全農 米穀部(べいこくぶ)の横田麻美さんが、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)にゲスト出演。米穀部で米、もち米、酒米、米粉など米に関する分野を担当している横田さんが、米作りには多くの苦労が伴うこと、米の意外な栄養価、おすすめのおいしい米について紹介した。

米のアミノ酸スコアは優秀

横田さん:お米は日本でほぼ唯一の食料自給率100パーセントの農作物ですが、生産者の数は減少しているという現状があるので、いずれ自給率も下がってしまうのではないか、という心配は常にあります。

上柳:「米作りには88の作業がある」と言われている大変な作業ですしね。

横田さん:田植えをする前の田んぼの準備、土を作るところからお米作りは始まっています。

上柳:重労働ですから、高齢化が進んでくると田んぼの持ち主の方から委託を受け、生産農家の方がやったり、いろんな事情があるみたいですね。害虫や病気、梅雨も昔みたいなシトシトした雨でなく、極端な雨が多いですし、9月から10月が収穫のタイミングですが台風の多い時期ですし。

横田さん:せっかく育てたお米が台風でだめになってしまうのは、本当に悲しいですよね。

上柳:それまで土づくりからやってきたことが、全部無駄になってしまうわけですから。こういう大変な仕事であるというのも、私たちはもっと理解しなきゃいけないなと思います。

そんな大変な苦労があってできたお米ですが、でんぷん質や糖分があるということで、嫌厭されるような世の中の流れがありますが、実は非常に優秀なたんぱく質を含んでいるらしいですね。

横田さん:糖質ダイエットが流行って、お米を食べると太りやすいと言われてきたんですけど、実は健康とか美容にも大切な栄養成分がたくさん詰まっています。

上柳:たんぱく質の点数(アミノ酸スコア)で比較すると、小麦よりも米の方がいいのですよね?

横田さん:はい。小麦のアミノ酸スコアは37点ですが、米は65点なのでとても優秀な食べものなんです。

日本の米の品種は320品種もある

上柳:大正時代に米騒動というものがあり、1993年から1994年の時には、梅雨が明けなくて冷夏でお米が大変なことになってしまいましてね。その時に「ササニシキ」という銘柄が、冷害で軒並み被害を受けて大不作となって、「冷夏になっても大丈夫なように」ということで、「ひとめぼれ」のような寒さに強いお米ができたそうですね。

こうした背景もあり、日本にはさまざまなお米があると思いますが、何種類ぐらいあるんですか?

横田さん:日本のお米の品種の数は、国に品種登録されている数としては1,000品種ぐらいあり、このうち主食・ご飯用として作られている米が320品種ほどあります。

上柳:そんなにあるものなんですね。『JA全農が炊いた!「日本一うまいお米の食べ方」大全』(主婦の友社)という本が私の手元にあるのですが、全国47都道府県の銘柄米が紹介されています。こちらだけでも随分あるんだな、と思ったのですがまだまだいろんな米があるんですね。

横田さん:そうですね。47都道府県どこでも作れるというのも、お米の一つの魅力なんです。『JA全農が炊いた!「日本一うまいお米の食べ方」大全』の中では、各都道府県自慢の銘柄を47個ピックアップして、「甘い」「あっさり」といった風に分けて一覧にし、食味マップとしてまとめています。

上柳:その食味マップに、味わいを示す「甘い」「あっさり」、お米の硬さを示す「しっかり」「もちもち」で分けられていて、とても面白いですね。横田さんは最近、自宅で米の食べ比べを自主的にやっていらっしゃるそうですね。

横田さん:そうなんです、最近ちょっとハマっていて自宅で食べ比べをしています。320品種ぐらいある中でいろんな銘柄を食べたことがあったわけではなかったので、もっと極めてみたいなと。朝と夜で品種の違う米を炊いて、食味を比べながら楽しんでいます。食べた時の食感や甘み、炊飯した時の炊き上がりのお米の粒立ち、色の白さ、粒の大きさも違うんですよ。

上柳:そんなに違うものなんですね。一緒に食事をするご家族は、どのような感想を持っていらっしゃいますか?

横田さん:小学生の子どもが2人いますけど、やっぱり子どもでも分かるんですよね。「このお米はもっちりしてるね!」とか「ちょっと硬めだね」「粒が大きいね!」とか。ちょっとマニアックですけど(笑)

上柳:でも、小学生の時からお米をいろいろな種類食べて『世の中にこんなたくさんの種類のお米があるんだな』と知ることは、すごくいいことだと思います。

横田さん:そうですね、小学校5年生ぐらいのタイミングで、お米について学ぶので。

上柳:お米を育ててみましょう、という授業がありますよね。

横田さん:お米が作られるまでと、食べた時のおいしさを、小さい時に感じられるのはいい機会かもしれませんね。

おすすめの米(その1)

上柳:趣味として今いろいろなお米を食べ比べているということですが、その中でも特においしかったお米を教えてください。

横田さん:好みがあると思うので、これは完全に私の好みでのお話ではありますが、最近食べた中で感動したのが、山形県の「雪若丸」です。

「雪若丸」は新食感を売りにしているのですが、粒がかなりしっかりしていて、本当に今まで食べたことがないぐらいの新食感でびっくりしました。とにかく粒が大きくて、炊き上がりは一粒一粒が立っていて、しっかり弾力があることが見て分かるんです。硬さはしっかりめの硬め、味は「甘い」と「さっぱり」のちょうど中間でバランスが取れています。「カレーに合う」とよく言われています。

上柳:たしかに、しっかりめの硬め、大粒で食べごたえがあるならカレーにいいでしょうね。

おすすめの米(その2)

横田さん:2つめは宮城県の「だて正夢」です。

上柳:これはどんな味なのでしょう?

横田さん:先ほどご紹介した山形県の「雪若丸」とは全然系統の違うお米です。近年は、硬めでしっかりめ、あっさりした米の人気が高いと言われているんですが、『やっぱり、もちもちもいいな』と思いました。

上柳:私は個人的にもちもち系が好みですね。もちろん、玄米みたいに硬いものも好きですが。

横田さん:「だて正夢」は極上のもっちり感、そして甘みも強めなので、噛めば噛むほど甘みが出てきます。

おすすめの米(その3)

横田さん:3つめは京都の「京式部」です。これも最近初めて食べた米なんですが、おいしかったですね。

上柳:「京式部」というネーミングもおしゃれで、皆さん考えていますね。「京式部」は異常気象とも言える夏の暑さに耐える強さ、味や香りに徹底的にこだわって開発されたそうですね。味はどういう感じでしたか?

横田さん:食味マップでいうと真ん中に位置していて、ほどよい硬さで、ほどよい甘みでバランスの取れた味わいです。「京料理の締めに最適」と言われていて、京都の料亭でも使われています。おかずとも相性がよく、上品でバランスの取れたお米です。

上柳:京料理といえば繊細でダシを大切にしていますが、「京式部」は強い主張はそんなにないけれど、ちゃんとおいしさを感じられるので、素晴らしい料理を引き立ててくれる存在なのでしょうね。

――農家の方々が厳しい自然と向き合い、ていねいに育てたお米が私たちの食卓に届くまでには、多くの努力と工夫が詰まっている。そうした苦労に感謝しながら、日々の食事で大切に味わうことは大事な行為ではないだろうか。また、日本には320品種もの米があり、それぞれに異なる風味や食感がある。いろいろな品種を食べ比べ、その違いや魅力を楽しむことで、毎日の食卓がより豊かで楽しいものになるはずだ。

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