大きな数の割り算は、筆算を使ってもややこしく感じることがあるでしょう。
しかし、このような割り算の答えが暗算で求められるとしたら?
今回は、9の割り算に特化した暗算方法をご紹介します。
問題
次の計算をしなさい。(商は整数で求め、あまりも出すこと)
1325÷9
解答
正解は、「147あまり2」です。
暗算するための手順は、次の「ポイント」で解説しています。
ぜひご覧ください。
ポイント
この問題のポイントは、「インド式計算法を使うこと」です。
インド式計算法には複雑な計算を暗算するための様々な方法があります。今回は9の割り算に特化した計算法をご紹介します。
<9で割る場合のインド式計算法>
1.商の左から一番目の桁の数←割られる数の左から一番目の桁の数を書く
2.商の左から二番目の桁の数←割られる数の左から一番目と二番目の桁の数の合計を書く
3.商の左から三番目の桁の数←割られる数の左から一番目と二番目と三番目の桁の数の合計を書く…(割られる数の最後の桁のひとつ左まで繰り返す)
・あまり←割られる数のすべての桁の数字の合計を書く
※合計が9以上になる場合は、9で割ったときの商を一つ上の桁(あまりの場合は商の最後の桁)に繰り上げする
では、この計算方法を今回の問題に用いてみましょう。
<1325÷9をインド式計算法でする場合>
1325(割られる数)÷9(割る数)
1.商の左から一番目の桁の数は1←割られる数の左から一番目の桁の数は1
2.商の左から二番目の桁の数は4←1+3=4
3.商の左から三番目の桁の数は6←1+3+2=6
割られる数の最後の桁のひとつ左まで終了したので、後はあまりを求める。
・あまり→割られる数のすべての桁の数字を足した数は、1+3+2+5=11。
11は9より大きい。11÷9=1あまり2なので、商の一の位の数6に1を繰り上げ、商は7。2をあまりとする。
答え:147あまり2
インド式計算法が成り立つ理由
さて、このような計算方法がどうして成り立つのか不思議に思う人もいるでしょう。
そこで、次の式を見てください。
1000a+100b+10c+d
これは1000の位がa、100の位がb、10の位がc、一の位がdの数を表した式です。
この式を各位における9の倍数部分が分かるように変形していきます。
1000a+100b+10c+d
=(900+100)a+(90+10)b+(9+1)c+d←9の倍数になるように10の倍数を変形していく
=900a+100a+90b+10b+9c+c+d
=900a+(90a+10a)+90b+10b+9c+c+d
=900a+90a+(9a+a)+90b+(9b+b)+9c+c+d
=900a+90a+90b+9a+9b+9c+a+b+c+d
=9×100a+9×10(a+b)+9(a+b+c)+(a+b+c+d)
この式の中で、100aが「商の左から一番目の桁の数←割られる数の左から一番目の桁の数」に対応しています。順に10(a+b)が「商の左から二番目の桁の数←割られる数の左から一番目と二番目の桁の数の合計」に、a+b+cが「商の左から三番目の桁の数←割られる数の左から一番目と二番目と三番目の桁の数の合計」になります。
最後のa+b+c+dには9を掛けている部分がないので、これがあまりになります。
まとめ
今回の問題はいかがでしたか?
9で割る割り算の場合、割られる数の各桁の数とその合計が商に対応しています。最後に各桁すべての数の合計を出して、あまりとします。ただし、繰り上がりがある場合もあるので注意しましょう。
他にもインド式計算法を使った暗算の問題を用意していますので、ぜひ挑戦してください。
※当メディアでご紹介する数学関連記事において、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
監修:株式会社かえでプロダクション(公式HP)
「編集技術で過去と未来をつなぐ」小学生・中学生・高校生の学習用教材を執筆・編集・校正する編集専門のプロダクション。英語・算数/数学・国語・理科・社会の主要5科目のテキストやドリル、テストや模試、デジタル系の教材など幅広く制作。教材からできる教育を目指し、教育業界を支える会社。会社独自の福利厚生が充実しており、社員が働きやすい環境を整え、新しい働き方で第三者機関から認定を受けている。