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神秘の扉が開かれる!フィリピン秘境の魔法の川「エンチャンテッド・リバー」

  • 2024.9.30

どれだけ科学技術が進歩しても、まだまだ人智の及ばぬ自然の神秘が数多く存在する地球。

それは尊く感動的で、ときに脅威と畏れを為すものであっても、多かれ少なかれわたしたちの感情を突き動かす何かを秘めていますよね。

そんな神秘のベールに包まれた秘境の川が、フィリピン第2の島・ミンダナオ島にも存在します。

今回は、日本人にはまだなじみの薄いフィリピンの秘境「エンチャンテッド・リバー」をご紹介します。

フィリピン・ミンダナオ島にあるヒナトゥアン

フィリピンの首都マニラのあるルソン島に次いで2番目に大きな島・ミンダナオ島。

前フィリピン大統領ドゥテルテ氏がかつて市長を務めた同島最大の都市ダバオは、彼の執政下において「フィリピン一安全な都市」と言われるまでに治安が劇的に改善、近年では語学留学先としても人気を集めています。

そんなダバオから車で5~6時間のところにある、島北東部の南スリガオ州(Surigao del Sur)の一都市・ヒナトゥアン(Hinatuan)が今回の話の舞台です。

ヒナトゥアンは、人口4万3千人余りの小さな港町。 一見、フィリピンのどこにでもある片田舎の町ですが、じつは、その郊外のジャングル奥地に、世界に類を見ない神秘の川「エンチャンテッド・リバー」が存在します。

「エンチャンテッド(Enchanted)」とは、「魔法にかかったような、魅了されるような」を意味する言葉。直接的には、とある外交官がこの地で詠んだ古い詩「Rio Encantado(リオ・エンカンタード)」に由来しているそうですが、その一方で、古くからこの地に根付く、“精霊の棲み処”あるいは“妖精が魔法をかけた川”といった伝説にも由来しているそうです。

そんな人々を魅了する「魔法の川」=エンチャッテッド・リバーを詳しくご紹介します。

“魔法の川”「エンチャッテッド・リバー」とは

今や、フィリピン国内でも知る人ぞ知る人気の観光名所となった「エンチャンテッド・リバー」。

その正体は、山からの豊富な地下水が、地下深くの水脈を経て海へとつながる水中洞窟から大量に湧き出し、川を成したもの。

川といっても、水源から河口部のヒナトゥアン湾まで約270mと短く、真水と海水が入り混じった汽水域の川のため冷たくしょっぱいのも特徴的です。

湧き水から生まれたこの川が美しいのは至極当然ですが、「魔法の川」といわれるゆえんは、それが理由ではありません。じつは、ある時間帯になると魔法がかかったように水の色が変化するのです。

こちらは通常モードのエンチャンテッド・リバー。

地下洞窟へと続く水源近くの水の色は、濃いコバルトブルーとエメラルドグリーンのグラデーションで、これはこれで美しいですよね。ところが、日がもっとも高くなる午前11時前後になるとその姿を一変させます。

その状態がこれ。忽然と水中洞窟が口を開け、まるで神秘の扉が開かれたような光景に。この地に棲まう妖精がサファイヤと翡翠から作り出したという伝説のとおり、まさに吸い込まれそうなサファイヤ・ブルーに変貌します。

この水中洞窟の深さは約30m、そこからさらに地下へと延び、最新の調査研究では約87mまで到達しています。そこから先は、あまりにも細く狭く複雑に入り組んでいるため、未だにその全容が解明されていないそうです。

水中洞窟が姿を現すのは、太陽の光が差し込むピークのほんの1時間程度だけ。空が曇っていたり、あるいはその時間帯を過ぎてしまうと水中洞窟への扉は閉じられ、やがて再びベールで覆われます。そんな奇跡の瞬間を目撃できるのです。

ちなみに、上記画像は水中からではなく陸上から撮ったもの。驚異的な透明度で、魚たちがまるで宙を舞っているかのようですよね。

「エンチャッテッド・リバー」で楽しめるアクティビティ

魚の餌付けショー

エンチャンテッド・リバーの名物イベントが、正午と午後3時の1日2回行われる魚の餌付けショー。

大音量で流れる讃美歌のようなテーマソングとともに、どこからともなく小型ボートが水中洞窟の真上へと漕ぎだし、群がってきた魚たちにエサ係がエサをばらまきます。ただそれだけのイベントですが、観光客に大人気。

上記画像の落ち葉のように見える小さな点の集まりが魚の群れ。待ってましたと言わんばかりに魚たちはエサに群がり飛び跳ねむさぼって、なかなかシュールな光景が楽しめます。

川遊び

近年、自然環境保護区域に指定されたエンチャンテッド・リバー。そのため、2017年からは水中洞窟の周辺での遊泳は禁止されています。

ただし、ブイで定められた遊泳区域では、ライフジャケット着用により誰でも川遊びが可能。水深はもっとも深いところでも2m弱程度、比較的浅瀬が多く、子どもたちも元気に遊んでいます。ただし、水中洞窟寄りの水域は湧き水による流れが強く、かなり水が冷たいのでご注意を。

また、フィリピン人はTシャツ・短パンそのままでの遊泳が一般的なので、タオルとゴーグル、浮き輪があればすぐにでも遊べます(ライフジャケット、ゴーグルや浮き輪は有料でレンタル可能)。

アイランドホッピング

エンチャンテッド・リバーが注がれるヒナトゥアン湾は、1島1リゾートの島々が浮かぶアイランド・リゾートとしても人気のスポット。

エンチャンテッド・リバーを楽しんだ後は、フィリピン特有のバンカーボートに乗ってアイランドホッピングするのが定番コースです(ボート乗船料金は別途有料)。

園内は飲食の持ち込みが禁止されているため、島リゾートへ渡って海上ランチを楽しむ人も増えています。

こちらは、ヒナトゥアン湾の島リゾートを代表する「ロック・アイランド」。水上ヴィラやコテージもあり、いわゆる海洋リゾート施設ですが、レストランだけの利用も可能です。

美しい海を見ながらいただく海上ランチは格別です。

こちらは多数のエイやサメなどを飼いならした海の生け簀がウリの「Sibadan FISH CAGE and Resort」。

エイたちとは一緒に泳ぐこともでき、餌付けも可能。アグレッシブなエイの群れたちとのふれあいは、なかなか体験できない想い出です。

地球の神秘にインスパイアされる旅へ

遊泳が禁止された2017年以前に一度訪れたことがある筆者。足がつかない水深での泳ぎは恐怖を感じる筆者でしたが、その美し過ぎるサファイヤ・ブルーの神秘を前に、恐怖心は一気に引っ込んで、ただただ好奇心と感動、ワクワクで満たされていたのをよく憶えています。

そんな非日常の体験ワクワクは、間違いなく明日を生きる糧となり、次なる旅への意欲をインスパイアしてくれます。ぜひみなさんも、そんな旅に出てみませんか。

All photos by MAYUMI

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