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ビビり編集の新担当はホラー作家!? 凸凹コンビが怪異を求めて夜の樹海や廃病院へ! 体当たり取材で出会ったのは…

  • 2024.9.28

イラストレーターとしても活躍する、長乃あきら氏による連載作品『シャラクナ~怪奇心霊見聞録~』(KADOKAWA)。本作は、飄々とした謎多きホラー作家と怪談が大嫌いなビビりな若手編集のコンビが、さまざまな怪異・ミステリーと出会う物語だ。

主人公の和兎は編集者でありながらも、唯一ホラー小説だけが大の苦手。そんな彼がひょんなことから、怪奇小説家・写楽の担当編集に就いたことから物語は始まる。髪も肌も白く、変わった目の色をした風変わりな外見の若者・写楽。自由気ままな彼の“怪談取材”にたびたび付き合わされ、怖いものが大嫌いな和兎は心身共にヘトヘトだ。だが彼がそんな思いをしてまで写楽に付き従うのは、作品へ向かう彼の本気の姿勢を信頼しているから。ホラー作家とビビり編集。一見相性サイアクに見えるふたりだが、怪談取材を重ねるうちにバディとしての信頼と絆を磨いていく――。

古今東西ホラー・怪談をテーマとしたマンガや小説は多数あるが、本作の物語はどちらかといえばミステリー寄り。そのため、幽霊や怖い話が苦手な人でも楽しく読める点は作品の魅力のひとつでもあるだろう。

怪談作家としてネタを集めるべく、怪異やお化けの噂を聞きつけるとそこへ取材に向かうふたり。だが、事件の顛末は往々にして「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という具合に恐怖心が心霊現象を引き起こしているものが大多数。

怪異の正体は無邪気な子ども達や説明のつく自然現象、あるいは悪意ある人間の仕業だったり…。原因がわからないものに対する恐怖心は、時に人の目を曇らせる。重ねてやはり目に見えない幽霊以上に、実際は生きている人間の方が怖い、ということでもあるのかもしれない。

あちこちへの怪談取材を経て、徐々に作家と編集としての信頼を築いていくふたり。しかし物語終盤にはそんな彼らの関係性を揺るがすような、写楽に関する作中最大の謎が和兎の前に現れる。

常にどこか掴み所のない写楽。和兎は彼の自宅こそ知っているものの、過去や普段の生活、そして家族のことなど、その人柄については知らないことがまだまだたくさんある。

全2巻で完結となる本作だが、これから始まるふたりの物語の序章に過ぎないと思えるラストは必見だ。怖いものに対する価値観が見事に凸凹な和兎・写楽のコンビ。物語を読み終わった後も、ぜひその余韻の中で彼らのその後に思いを馳せてみては。

文=ネゴト / 曽我美なつめ

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