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【大手町】皇居三の丸尚蔵館 「花鳥風月―水の情景・月の風景」

  • 2024.9.29

「花鳥風月(かちょうふうげつ)」日本の四季を織りなす水と月、紫式部関連作品も

皇居三の丸尚蔵館で開催中の「花鳥風月―水の情景・月の風景」[2024年9月10日(火)~10月20日(日)]を見て来ました。

「花鳥風月」。日本の自然には、四季折々に見せる美しい風景があります。

日本の美しい自然の風景の中で、生命をうるおし育んで来たのは晶明にして清冽な水の流れです。 雨が降り、山を削る渓流は、流れ落ちる滝となり、青々とした湖から流れ出す川は、大海へ注ぎ、水蒸気となって雲を作りまた雨を降らせます。 自然の中で水は循環し様々な情景を作り出します。

月は、太陽とともに、季節や暦を示して、日本人の生活や人生のサイクルと深く関わって来ました。 月の満ち欠けに、雲に隠れ水面に写る月に、月夜の静けさに、それぞれ心を寄せ揺れ動く時、人間の感性を目覚めさせるのかもしれません。

人々は流転する水の情景に、心を映す月の夜のしじまに歌を詠み、絵画や工芸品を表して来ました。

本展は、水の情景、月の風景を表した名品優品を皇室伝来の収蔵品の中から紹介する展覧会です。

※展示室内は個人利用にかぎって撮影できます。「撮影禁止」マークのついている作品は、撮影禁止です。撮影には注意事項をご確認の上、展示室内の指示に従い撮影してください。

出典:リビング東京Web

手前、《近江八景蒔絵棚》 江戸時代(18世紀) 皇居三の丸尚蔵館収蔵、他、「花鳥風月―水の情景・月の風景」展示風景 皇居三の丸尚蔵館

工芸品に表された水の姿、月の影、紫式部ゆかりの石山寺も

江戸時代から大正時代の漆工、金工などで巧みに表現された流転する水の姿、月影に照らされた静謐な風景が表された工芸品が並ぶ1つ目の展示室。

人々の暮らしに関わる天体や気象の情景、宗教的な意味を含む図様など、日本の自然の美しさを形に留めようとした工芸品に出会いました。

湖面に映る月と紫式部…《石山寺蒔絵文台・硯箱(いしやまでらまきえぶんだい・すずりばこ)》

《石山寺蒔絵文台・硯箱》。

研出蒔絵(とぎだしまきえ)で、湖面に映る月を繊細に表現した文台。

世界的に知られる長編恋愛小説の古典『源氏物語(げんじものがたり)』の作者・紫式部は、石山寺で琵琶湖に浮かぶ月に着想を得て「須磨(すま)」を書いたそうです。

1900年のパリ万博出品のため帝室技芸員の川之邊一朝(かわのべいっちょう)が明治天皇(めいじてんのう)の御下命を受けて制作した作品です。

硯箱の蓋の表には石山寺から湖面を眺める紫式部の姿が…。文台の湖面の月と合わせて1つの風景を作っているようです。

紫式部の姿を是非探してみてください。

出典:リビング東京Web

《石山寺蒔絵文台・硯箱》 川之邊一朝 明治32年(1899) 皇居三の丸尚蔵館収蔵

月の兎(うさぎ)、太陽の金烏(きんう)

《金烏玉兎図花瓶(きんうぎょくとずかびん)》。
萬古焼(ばんこやき)は三重県四日市を中心に生産されているやきもので、300年の歴史があるそうです。

丸い月の中には杵を持つ月の兎・玉兎(ぎょくと)。太陽の中には三本足の金烏(きんう)が描かれた色鮮やかな花瓶一対です。

両者とも古来より日月の象徴として描かれて来たモチーフです。

その周りは龍と鳳凰、十二支が描かれ、おめでたい吉祥(きっしょう)の図柄となっています。

出典:リビング東京Web

《金烏玉兎図花瓶》 萬古焼 大正4年(1915) 陶磁 皇居三の丸尚蔵館収蔵

絵画に描かれた水の情景、月の風景、四季の移ろい

近代日本の風景画は、西洋絵画の影響を受けつつ日本の古典的モチーフや、四季折々の日本の風景を瑞々しく描いた名品優品が生まれて来ました。

2つ目の展示室では、水の情景、月の風景を、移ろう四季の「花鳥風月」とともに描いた絵画作品を堪能しました。

水の情景《雨後(うご)》、《雨二題(あめにだい)》

川村曼舟(かわむらまんしゅう)の《雨二題》(右、対幅)。
右幅は、墨をぼかした画面に遠く雨に煙る犬山城(いぬやまじょう)が見えます。ぼかした墨で山や木々の霞んだ情景が描かれています。 左幅に描かれているのは、三河湾に浮かぶ蒲郡の竹島だそうです。淡墨と薄緑で雨に霞む島影が見えます。手前の松は、雨で緑がにじむよう。

川合玉堂(かわいぎょくどう)の《雨後》(左)。

雨上がり、水辺を包んでいた湿気を含んだ靄が風に吹き払われ、森の樹々の緑も陽を受けて明るく見えます。 左上の空には虹がかかり、雨後の一瞬の風景をとらえた空気感が伝わって来ます。 岸に寄せた船に小さく描かれた漁師の姿が。大自然の中で生業を営む人間の姿を描いています。

川合玉堂は、帝室技芸員を拝命し、香淳皇后の絵画指導も行いました。

出典:リビング東京Web

右、《雨二題》 川村曼舟 大正11年(1922)、左、《雨後》 川合玉堂 大正13年(1924) どちらも皇居三の丸尚蔵館収蔵

《雪月花(せつげつか)》平安の雅

上村松園(うえむらしょうえん)《雪月花》(左)。

春の桜、秋の月、冬の雪を「雪月花」と言うそうです。

平安の雅な宮中文化を題材に「自然を愛で鑑賞する姿と心」が描かれている作品とのこと。

雪の日に簾を上げるのは清少納言(せいしょうなごん)でしょうか。 月を見上げる十二単の姫君たちは『源氏物語』「橋姫(はしひめ)」を思わせます。 幼い少年と少女が桜の花びらを集めて遊び戯れています。少女の姿は同じく「若紫(わかむらさき)」を思わせます。 あるいは「光る君へ」の主人公の扇に描かれた少女と少年を重ねてしまいました。

貞明皇后の御下命を受けて制作され、自らの画業の頂点と作家自らが評した渾身の一作。 移り変わる季節ごとに水の情景に、月影の照らす景色に美を見出して来た日本人の繊細で優美な感性を感じる作品です。

出典:リビング東京Web

左から、《雪月花》 上村松園 昭和12年(1937)、《暮韻》 橋本関雪 昭和9年(1934)、《朝露》 平福百穂 大正4年(1915) すべて皇居三の丸尚蔵館収蔵

伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)国宝《動植綵絵 梅花皓月図(どうしょくさいえ ばいかこうげつず》

江戸時代の絵師・伊藤若冲の国宝《動植綵絵 梅花皓月図》。
まるで根のように張り巡らされた枝は所々苔が見え、画面いっぱいに咲き誇る白梅の香りに包まれるよう。

白梅の枝の向こうに、冬の夜空を満月が煌々と照らしています。 緻密に描き込まれた白梅は、月の光に映え1輪1輪が輝いているようです。

江戸時代、梅は夜に鑑賞する花として、香りも楽しんだようです。

出典:リビング東京Web

国宝《動植綵絵 梅花皓月図》 伊藤若冲 江戸時代(18世紀) 皇居三の丸尚蔵館収蔵

皇室伝来の収蔵品に見る日本の四季の美「花鳥風月―水の情景・月の風景」

皇居三の丸尚蔵館「花鳥風月―水の情景・月の風景」は10月20日(日)まで。

皇室伝来の収蔵品から日本の四季の美しさを描いた絵画や工芸品の名品を堪能できる展覧会です。 是非お出かけください。※観覧は予約優先です。

出典:リビング東京Web

「花鳥風月―水の情景・月の風景」展示風景 皇居三の丸尚蔵館

〇皇居三の丸尚蔵館
URL:https://shozokan.nich.go.jp/
住所:〒100-0001 東京都千代田区千代田1-8 皇居東御苑内
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9:30 ~ 17:00 ※最終入館は16:30まで
毎週金曜・土曜は夜間開館。午後8時まで開館(最終入館は午後7時30分まで)
※ただし10月18日(金)を除く
休館日:月曜日(ただし 10月14日は開館し、翌火曜日休館)
※その他諸事情により臨時に休館する場合があります

〇交通アクセス:
大手門(入門してから約100メートル)地下鉄各線の大手町駅(C13a出口)から徒歩約5分、JR東京駅(丸の内北口)から徒歩約15分
大手門以外からの入門※月曜日・金曜日閉門。その他皇居東御苑の公開日時に準ずる。
平川門 地下鉄東西線竹橋駅(1a出口)から徒歩約10分
北桔橋門 地下鉄東西線竹橋駅(1a出口)から徒歩約15分

〇「花鳥風月―水の情景・月の風景」
会場:皇居三の丸尚蔵館
会期:2024年9月10日(火)~10月20日(日)
入場料:一般 1,000 円、大学生 500 円
※高校生以下および満18歳未満、満70歳以上の方は無料。入館の際に年齢のわかるもの(生徒手帳、運転免許証、マイナンバーカードなど)をご提示ください。
※障がい者手帳をお持ちの方およびその介護者1名は無料(日時指定不要)。
※予約優先
※展示室内は原則撮影禁止です。
・「撮影OK」マークのついている作品は、個人利用にかぎって撮影ができます。
(フラッシュ禁止、また、撮影の際は他のお客様にもご配慮いただき、長時間場所を占有しないようにご注意ください)
※動画、パノラマ撮影はご遠慮ください
*詳しくはホームページでご確認ください。

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