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朝食にタンパク質を摂るべき理由とは?思った以上にメリットがあった

  • 2024.9.28

エネルギー補給や集中力アップ、規則正しい生活リズムを作るためには朝食が重要と言われていますが、ただ好きなものを食べるより、メニューにこだわるとさらに効果的です。

とくに、朝食にタンパク質をしっかりと摂取することで、私たちの体にさまざまなメリットがもたらされると言われています。今回は、朝食におけるタンパク質摂取の重要性とおすすめの食材、メニューについて、愛国学園短期大学准教授、博士(理学)で管理栄養士の古谷彰子先生に伺います。

──朝食にタンパク質を摂取することがなぜ重要なのでしょうか? そのメリットについて教えてください。

朝食のタンパク質は、体内時計のリセットに大きく関わる因子のひとつ。1日のスタートに必要なエネルギーを供給し、満腹感を持続させる効果もあるので、ぜひ積極的に摂ってほしいです。

タンパク質は筋肉の維持や修復に欠かせない栄養素であり、代謝を高める働きもあります。また、朝タンパク質をとることで、その後の昼食・夕食の血糖値の急上昇を抑えることや、エネルギーが安定的に供給されるため、集中力やパフォーマンスの向上にも関わっていることがわかっています。

一日のタンパク質摂取量が同じ場合に、朝のタンパク質が多い群は夜に多い群よりも筋合成が進み筋肉量と運動パフォーマンスがアップすることもわかっています。

──朝食に摂取すべき「理想的なタンパク質の量」はどれくらいでしょうか。

一般的に、朝食に摂取するタンパク質の目標量(生活習慣病になりづらい量)は年齢や体格、活動量にもよりますが、成人男性の場合は約25~50g、成人女性の場合は約20~40gとされています(※)

(※)日本人の食事摂取基準2020年度版、タンパク質の目標量を三で割った値

私たちの実験で、女子大生を対象に朝40gのタンパク質を摂取してもらったところ、昼食・夕食の血糖値上昇抑制、夕食前の空腹感の抑制がみられたほか、起きる時間が早くなり、睡眠時間が延びる傾向にありました。

たとえば以下のような食材をカスタムしていくのもよいでしょう。タンパク質はメーカーによって若干差がありますので、表示を見ることも大切ですね。

食材例とタンパク質量

  • 鶏胸肉(100g)約23g
  • 卵(2個) 約12g
  • ギリシャヨーグルト(200g) 約20g
  • 納豆(1パック、50g) 約8g
  • チーズ(プロセスチーズ30g) 約7g
  • 豆腐(絹ごし豆腐1/2丁、150g) 約9g
  • ツナ缶(水煮、70g)約15g

また、茶碗1杯分のご飯(150g)にも3.8g、パン(6枚切り)にも6.2gにもタンパク質が含まれますので、上記に挙げた食材と組み合わせてOKです。

摂取量は個人の体格や活動量によって異なるため、自分の必要量に応じて調整してみましょう。

次:朝食でタンパク質を摂取しないと、どのような影響がある?

──朝食でタンパク質を摂取しないと、どのような影響があるのでしょうか?

朝食でタンパク質を摂取しないと、午前中のエネルギーが不足し、集中力や記憶力が低下する可能性があります。

また、満腹感が持続せずに間食を摂りやすくなり、血糖値の急上昇と急降下が引き起こされるため、体調の乱れや過食の原因となります。筋肉の修復や維持が十分に行われず、代謝の低下を招く可能性も。

──朝食におすすめの高タンパク質食品や組み合わせメニューを教えてください。

朝食におすすめのタンパク質食品には、上記に挙げたような内容のタンパク質を組み合わせることで理想的なタンパク質量になります。

たとえば以下がメニュー例です。

  • 鶏胸肉(100g)+プロセスチーズ(30g) = 約30g
  • ギリシャヨーグルト(200g)+卵1個 = 約26g
  • 納豆1パック+卵1個+豆腐1/4丁 = 約30g

忙しい朝には無理して調理するのではなく、「出すだけ朝食」も最適です。鶏胸肉はサラダチキン、プロセスチーズは6Pチーズなど。主食(例:全粒パン)などと合わせることも体内時計のリセットに必要ですね。

雪印メグミルク6Pチーズ。筆者はトーストに乗せたり、卵焼きに入れるなどしてヘビロテしています

また、朝に水溶性食物繊維をとることで、腸内環境が改善したというデータもあるので、野菜などの副菜もぜひ一緒に取り入れてほしいです。ちなみにトマトに含まれるリコピンは朝に摂るほうが吸収率が高まることもわかっているので、取り入れていくのもよいですね。

──朝に食欲が出ない場合、多少無理にでもなにか食べたほうがよいでしょうか。その場合のおすすめ食品を教えてください。

朝に食欲が出ない場合でも、少量でも何か食べることが推奨されます。何も食べないと、体内時計がリセットされにくく、エネルギー不足から集中力の低下を招く恐れがあります。

食欲がない時には、おかゆやプロテインドリンク類などからでもOK。消化によく手軽に食べられる食品がおすすめです。

朝食をほとんど食べた経験のなかった40代女性の方も、一週間かけて朝食のタンパク質量を30gまで増やすことができました。その結果、なんと5日ほどで目覚ましがいらなくなり、10日ほどで体重が53kgから51.2kg(BMI 22)まで体重減少することもできました。

ダイエット中の人も、朝食のたんぱく質摂取にトライしてみてくださいね。

──体重管理やダイエット中の人はカロリーを気にして朝食を抜かしがちですが、朝食を食べないことによるデメリットを教えてください。

朝食を抜くと、代謝が低下し、エネルギー消費が減るため、かえって痩せにくい体質になる可能性があります。また、空腹時間が長くなることで昼食や夕食での過食に繋がり、カロリー摂取が増えるリスクがあります。

さらに、血糖値が不安定になることで、集中力や作業効率が低下し、体調管理が難しくなることもあります。朝食を摂ることで、代謝を高め、1日の食事のリズムを整えることが、健康的な体重管理やダイエットには重要です。

著者プロフィール

古谷彰子

愛国学園短期大学 准教授、博士(理学)、管理栄養士、フードスペシャリスト等の資格を生かし、2018年に個人事業主ChronoManageを開業。2023年より現職。早稲田大学 創新研究機構 招聘研究員、 (株)アスリートフードマイスター 認定講師、発酵料理士協会特別講師としても勤務する。「時間」という観点から、医学・栄養学・調理学の領域にアプローチすることを専門とし、科学的根拠を基にしたライフスタイルへのアドバイス、時間栄養学的栄養指導、実体験を基にした食育活動や講演活動、料理教室も開催中。現場を通じて得た問題点をもとに、ヒトを用いた臨床試験、官能評価、アンケート調査を行うことを得意とする。企業の商品開発や、マーケティングに役立たせることが出来ると好評を博している。メディア出演、連載、著書多数。

・公式サイト
https://chronomanage.com/

https://www.aikoku-jc.ac.jp/course/subject/

<Edit:編集部>

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