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乳歯が抜ける前に永久歯が生えてきた息子…ハードな施術のあとに涙したのは…!?【たんこんちは ボロボロゆかい Vol.35】

  • 2024.9.28

■息子、衝撃の口の中

それはある昼下がり…昼食後に息子が爪楊枝を手に、渋い顔をしていました。

「ママ…なんか歯に挟まってる…?」

そう言って口の中を見せてきた息子。

のぞいてみると…。

歯の後ろに、確かに何かがある…ん…?

挟まっている、というよりも…。

は、歯が…!

まだ乳歯が抜けていないのに

歯が生えてきてるーーーー!!

■乳歯の裏から永久歯が!

それは大人の私でも初めて見た光景でした。

かわいい乳歯の後ろから、これまたかわいい永久歯がひょっこり顔を見せている。

二重に並んだその歯はまさにサメ。かわいいサメでした。

しかし、そんなことは言っていられない。

このままじゃきっと大変なことになる…!

「前の歯、グラグラしてる? 抜けそう…?」

「ぐらぐらしていない…」

確かに乳歯に触れてみても、グラグラどころかビクともしない。

このままでは、乳歯に邪魔をされて永久歯が生えてこられないはず。

もしくは、永久歯がこのまま乳歯を持ち上げてくれるのか!?

なんにせよ、私は素人。

あれこれひとりで画策しても仕方がありません。

私は息子と心配する娘を連れ、かかりつけの歯医者さんに向かいました。

■歯医者さんの回答は…

ドキドキで歯医者さんに向かい、待合に娘を待たせ、診察台に息子を寝かせると、先生は…。

「あーこれは…抜歯だね」

ニコニコ笑顔でそう言いました。

ば…抜歯ーーー!!

先生によると、これはそれなりにポピュラーなトラブルで、歯が生え変わり始めるまさに今、6歳頃に生じる問題なのだとか。

重なっている乳歯がぐらつき、抜けるそぶりをみせていれば、経過観察にもなるそうですが、息子の場合はガッチガチ。

抜ける気配がまったくありません。

このままでは炎症を起こしてしまったり、歯並びにも影響する。

しかし、息子はオペ経験もなく、しかも抜かなければいけない歯は二本。

なかなかハードな抜歯術になるはず…。

母である私が焦る中、先生は優しく息子に語りかけます。

「大変かもしれないけど、今日2本抜いちゃった方が楽かもしれない。でも、イヤだったら今日は1本で、また落ち着いたら次やろう。君の好きにしていいんだよ」

優しいーーーー!

この優しさに惚れて、ずっとお世話になっている歯医者さんです。

本当にありがとうございます。

息子の回答は…。

「にこ、やる…」

息子はしっかり先生を見て、そう頷きました。

■息子、初めての抜歯…

抜歯はまず麻酔作業から。

麻酔も注射での投与になるため、息子も針を見て静かに焦っていました。

しかし何も言わず、“痛かったら手をあげる”という指示に従いながら、黙って施術を受ける息子。

乳歯は思っていたよりも根深く力強く、揺さぶったりねじったり…傍から見ていると半ば大工仕事です。

今まで娘は順調に歯の抜け変わりを迎えていたため、息子がこんな苦労をすることになるとは思ってもいませんでした。

昔から固いものが好きでスルメを愛してきた息子。

アゴに良い生活はしてきたはずなのにこうなるとは、本当に子どもの成長はわからないものです。

何度も麻酔を追加しながら、何度も手を挙げながら、決して弱音は吐かず、泣くこともなく、格闘すること20分。

やっと戦いが終わりました。

驚くことにその乳歯は、とても長く鋭利でした。

なんでも、普通なら下からやってくる永久歯が乳歯の根元を溶かしていき、短くなり、ぐらついて抜けていくものですが、今回は位置がずれてそれがなかったため、乳歯が長いまま埋もれていたそうです。

だから、ビクともしなかったんだ…。

歯茎には深い穴がポッカリ開いていましたが、息子は抜けた乳歯をキラキラとした目で見ていました。

がんばったね…! またひとつ、お兄ちゃんになったね。

戦いを終えた息子をたたえていると、そこに歯科助手さんが焦った様子で駆けてきました。

「すみません、お姉ちゃんが心配しているので、行ってあげてくれますか…!?」

え…!?

■息子の抜歯で涙したのは…

急いで待合にいる娘のもとに向かうと、確かに娘はちぢこまり、不安そうな顔をしていました。

「ど、どうした…!? いま終ったよ…!」

「だって…“出血が多い”って声が聞こえて…!」

確かに、なかなかハードな戦い。

出血は少量ではなく、歯科衛生士さんはそう言って、先生とリスク管理をしてくださっていました。

その発言が、現場を直接目にしていない娘の耳にも届き、心配性の娘の想像を掻き立ててしまっていたようです。

「ひとりにしてごめん…! そうまは元気だよ!」

「そっか…よかった」

いつもは弟に対してクールな娘も、息子のはじめての大騒動に、内心不安でいっぱいだったのかもしれません。

処置を終えた弟の顔を見て、一安心…。

そして、車に乗り込み、弟に抜けた歯を見せてもらった時でした。

「よかったぁ…そうま死んじゃうのかと思った…」

大粒の涙をこぼし始める娘。

そ、そんなに…!?

びっくりしつつも、息子の強さ、娘の愛の強さ…何より、患者だけでなく付き添いの人間の様子にまで気を配ってくださるクリニックのみなさんの優しさを再確認できた、思い出深い一日となりました。

ちなみに、乳歯の後ろに生えてきていた永久歯ですが、抜歯後は前の歯列に自然と移動していきました。不思議…!

※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。

(たんこ)

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