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コーヒー1杯で「飲食店」に“長居” 実は“法的リスク”も 弁護士に聞く

  • 2024.9.28
飲食店に長居した場合の法的リスクは?(画像はイメージ)
飲食店に長居した場合の法的リスクは?(画像はイメージ)

カフェやファミリーレストランに行くと、パソコンで仕事をしている人をよく見掛けます。中には、コーヒーなどの飲み物を1杯注文しただけで何時間も滞在する人がいるようで、SNS上では、「飲食店に長時間居座るのは非常識」「飲食店で延々とパソコンを操作されると、とにかく迷惑」「コワーキングスペースで仕事しろ」などの声が上がっています。

飲み物1杯の注文だけで飲食店に長時間滞在した場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。また、長居する客に対し、店側が退店を求めることは可能なのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の弁護士・佐藤みのりさんが解説します。

利用時間に従わない場合は賠償責任を問われる可能性も

カフェやファミリーレストランなどの飲食店で、飲み物を1杯注文しただけで何時間も滞在しても、基本的に法的責任を問われる可能性は考えにくいです。

なぜなら、カフェやファミリーレストランなどでは、一般的に、商品を注文すれば一定の時間、席を使うことが認められるものだからです。

極端なケースですが、過去にはラーメン店でギョーザとラーメンを注文した客が、ラーメンが先に提供されたことに腹を立てて店長と口論になり、店に居座った事件がありました。客は店長から退店を求められたにもかかわらず、3時間居座り続け、不退去容疑で現行犯逮捕されました。

ドリンク1杯で長時間滞在しただけで不退去罪(刑法130条)に問われるとは考えにくいですが、退店を求められたにもかかわらず、かたくなに居座ることはマナー違反にも当たるため、避けた方がよいでしょう。

次に、何時間も滞在する客の影響で他の客が利用できないなど、店の営業に支障が出た場合、店側が長居する客に退店するよう求めることが可能なのかについて、解説します。

先述のように、カフェやファミリーレストランなどでは、ドリンク1杯のみの注文であっても、一定の時間、席を使うことが認められるのが通常です。そのため、店が「利用は1時間まで」などと、利用時間に関するルールを呼び掛けていない場合、極端な長時間の滞在でない限り、客に退店を求めることは難しいでしょう。

店側が混雑時に客の回転を早めたいと思うのであれば、事前に「混雑している場合は、お声掛けすることがあります」などと客側に示しておくことが大切です。客側がそれを承知の上で利用しているのであれば、退店を求めることができます。

客の長居を防ぐために、「90分制」といった形であらかじめ利用時間を定める行為は法的に有効です。

飲食店を利用するということは、法的には、店側と客側で契約を交わしていることになりますが、契約内容は当事者が自由に合意してよいのが原則です。これを「契約自由の原則」といいます。そのため、店側と客側で、店の利用時間について合意しているのであれば、それは有効な契約であり、互いにルールを守る必要が生じます。

もし店側が「○分制」のルールを定めているにもかかわらず、客がこうしたルールを破って長時間滞在した場合、契約違反になるため、店側は客に退店を求めることができます。ルールを破って長時間滞在し、店側に損害を与えた場合、損害賠償責任を追及される可能性もあるでしょう。

先述のラーメン店のケースのように、ルールを破り長居する客に対して、店側が退店を求めたにもかかわらず、そのまま居座った場合、不退去罪に問われる可能性も考えられます。

法的責任の有無にかかわらず、飲食店に長居してしまうと、混雑状況によっては後から来た客が利用できず、店の経営にも影響が出てしまいます。利用する飲食店にもよりますが、食事を済ませたら、できるだけ速やかに退店するなどの配慮が必要です。

オトナンサー編集部

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