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サメに襲われ片脚を失った女性が、初出場のパラリンピックでメダルを獲得するまで

  • 2024.10.1

アリ・トゥルーウィット選手は、水に対する恐怖と向き合い、パラリンピックに出場するまでの葛藤を語った。

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Sean M. Haffey

大学時代に競泳選手として活躍していた、アリ・トゥルーウィット選手(24歳)。彼女は2023年5月に旅行先でサメに襲われ、左脚の膝下を切断することに。困難と向き合い、今年アメリカ代表としてパリパラリンピックに出場した彼女は、2つの銀メダルを獲得し、多くの人に感動を与えた。

突然サメに襲われ、失った左脚

2000年5月31日にアメリカ・コネチカット州で生まれ、イェール大学在学中には水泳部に所属していたアリ・トゥルーウィット選手。彼女は2023年5月に、卒業旅行として元チームメイトと一緒にタークス・カイコス諸島を訪れることに。

そして5月24日(現地時間)、シュノーケリングを楽しんでいる最中に突然サメに襲われ、足を食いちぎられたという。そのときのことを『TODAY』に対し、このように語っている。

「サメが近づいてきて、私たちを攻撃し始めたんです。強引にぶつかってきたり、下から突進してきたりしたので、私たちは抵抗しようと突き飛ばしたり蹴ったりしたのですが、あっという間に私の足を口にくわえていました。 そして次の瞬間に、足と脚の一部を食いちぎられたのです」





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約70メートルの距離を命がけで泳ぎ、ボートに戻ることができたものの、結果トゥルーウィット選手は複数回の輸血や切断を含む手術を受けることになった。

「義足は誰にも見られたくなかった」

左脚の膝下を切断したトゥルーウィット選手は、自分の身に起きた“現実”を受け入れるのは容易ではなかったと語る。

「病院を退院するとき、両親に私が持っていたショートパンツや短いスカート、短いドレスを全部片づけて寄付してほしいと頼んだのを覚えています。 義足は誰にも見られたくなかったんです」

しかし最終的には、リハビリの一環としてプールに戻ることに。それから彼女は大きな目標を掲げるようになり、同年10月には初めてのパラ水泳大会に出場し、12月には全米選手権でメダルを獲得。数カ月後には、パラリンピックの出場権を手にした。






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『TODAY』のインタビューでは、「サメの襲撃と脚の切断から回復し、1年でパラリンピックに出場するというのは大変な決断であり、大きな賭けだった」というものの、「リスクを冒してよかったと思う」と語っている。

またトゥルーウィット選手にとってパラリンピック出場は夢に見た機会であり、『PEOPLE』には「回復のために私が決断した中で、もっとも癒しに満ちたものだった」とも明かした。

「私は人生のセカンドチャンスを与えられたのです。死と向き合って、その意味を理解すると、ただ立ち上がってその瞬間をつかみたくなる。だから私は立ち上がって、前に進みたかったのです」

水の中で再び幸せを感じられるように

この1年で、計り知れない試練に立ち向かってきたトゥルーウィット選手。なかでも彼女が直面した最大の試練のひとつは、PTSD(心的外傷後ストレス障害:生死に関わるような体験やトラウマなど、強い衝撃を受けた後で生じる精神疾患)への対処だという。

2024年8月31日(現地時間)には、サメに襲われた後に初めて泳いだときと、1年後にパラリンピックのプールで泳いだときの違いを映した動画をTikTokに投稿。事故後初めて水の中に入ったときは「恐怖を感じた」と振り返ったものの、今は自分の変化に喜びを感じられているとも語った。

「誰かがこの動画を見て、『笑顔がすべてを物語っている』って書いてくれたんです。私にとってその言葉は、本当にうれしいものでした。2つの動画の違いを知ったことで、私は水への愛を取り戻し、また水の中で心地よさや幸せを感じられているんだなと思えた。正直なところ、私にとってはどんなメダルよりも大きなことなんです」

初出場のパラリンピックでメダルを獲得

トゥルーウィット選手は、パラ水泳女子400m自由形(S10)と100m背泳ぎ(S10)で、2つの銀メダルを獲得。さらに女子400m自由形(S10)では、4分31秒39の米国記録を樹立した。

Fiona Goodall

突然起きた困難に自分なりに向き合い、家族や友人らのサポートに感謝しながら、現在は大好きな水の中で笑顔で泳ぐトゥルーウィット選手。新たな道を歩み始め、挑戦し続ける彼女の姿には、きっと多くの人が勇気をもらっているはず。

Text : Nana KIKUCHI

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