1. トップ
  2. 恋愛
  3. 【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側

【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側

  • 2024.9.27
【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側
【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側

Text by 奥崎覚(編集部)

今週末の28日(土)、ホームでFC大阪と対戦するFC琉球OKINAWA。

明治安田J3リーグは第29節終了時点で4位以下が談合状態となっており、現在11位のFC琉球と9位のFC大阪の一戦は、J2昇格争い生き残りをかけた大一番となる。

そんなFC琉球に、今季ガンバ大阪から加入したのがDF藤春廣輝。日本代表歴もある35歳はここまで全29試合に先発出場、チームトップの2604分に出場している。

【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側
【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側

大阪体育大学から2011年にプロ入りしたガンバで昨季まで13年間を過ごした藤春。いくつもタイトルを獲得すると同時に、大舞台でさまざまな経験をしてきた選手でもある。

そこでQolyは、FC琉球の主力として活躍する藤春に単独インタビューを敢行!

インタビュー後編では、ガンバ大阪入団やサイドバックにとっての遠藤保仁、伝説となった2015年CS浦和レッズ戦「丹羽大輝オウンゴール未遂」からの劇的決勝弾、さらにはオーバーエイジとして出場したリオデジャネイロ五輪やコロンビア戦でのオウンゴールなどについて聞いた。

「練習参加なし」で加入を決めたガンバ大阪

――藤春選手は大阪体育大から2011年にガンバ大阪に加入されました。大学の同期には、同じくガンバ入りした川西翔太選手、そしてセレッソ大阪に入った村田和哉選手がいました。行き先などについて話していたりしたのですか?

全くですね。あったかな…。そんなに、あまり喋る感じもなかったですし。

――お互い「ガンバへ行くんだ」「あ、セレッソ行くんだ」みたいな感じでした?

そうですそうです。全然知らなかったので。

――藤春選手がガンバに決めた理由は?

他のチームとかは結構練習参加に呼ばれていて。ガンバは練習なしで…練習に行かなかったんですよ。それでオファーいただいたから行きましたかね(笑)。

――逆に(笑)。

だいたい練習参加に行くんですけど、それなしでオファーをいただけたので。一番早かったのもあったので行きました。

――ガンバ大阪では13年間プレーされました。何人もの監督さんのもとでプレーされましたが、サイドバックへの要求が多かった監督は誰でしたか?

やっぱり長谷川健太さん。

ポジショニングだったり、絞る…長谷川健太さんは結構細かい部分があって。チャレンジ&カバーとよく言われていたんですけど。「センターバックが出たらサイドバックがしっかり絞ってやる」というそういうトレーニングをたくさんやりましたね。

それとサイドバックの場合、オーバーラップをしてもボールが出てこない時もあるじゃないですか。そういう時に「ああ…」みたいな感じになるとよく怒られて、「そんなんなるならもうすぐ戻れ」と結構言われていました。

【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側
【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側

――プレースタイルの面で影響を受けたとか、この人のもとでやったことでやれることが増えた、幅が広がったみたいな監督さんはいました?

それでいうと、ツネさん(宮本恒靖)ですかね。あの時(2018~2021年)は4バックも3バックもやっていたのでウィングバックもやりました。

ツネさんの時の4バックは結構サイドバックが中へ行ったりしていたので、自分の中でいろいろ成長になる部分があって、今までと違う感覚でやっていましたね。「偽サイドバック」みたいな感じで。ツネさんの時が初めてだったと思います。

伝説のCS浦和戦、「終わった…」からの劇的バースデー決勝弾

――藤春選手がガンバ時代に決めたゴールの中で、特に印象深いのがやはり2015年のJリーグチャンピオンシップ準決勝・浦和レッズ戦の決勝弾です。1-1の同点で迎えた延長前半13分、丹羽大輝選手の劇的オウンゴールかと思われたところからのカウンター、しかも右足ボレーでの素晴らしいゴールでした。正直笑ってしまうくらいすごい流れでしたけど、藤春選手のところからは当時、一連の流れはどう見えていて、最後右足でボレーを打ったという感じだったんですか?

角度的に丹羽ちゃんがバックパスをするちょうど後ろにいたので、「もう終わった」と思いました…本当に。先輩なんですけど「何してんねや~」みたいな。全然浮かす必要もなかったですし。

まあでも、あの丹羽ちゃんのパスがなかったら多分相手の動きが…本当に一瞬止まった感じに見えて。ボールがポストに当たった瞬間、入ったと思って相手にはガッツポーズをしている選手もいました。

その瞬間を見逃さなかったヒガシくん(東口順昭)がオ・ジェソクに出したパスというか、あれもすごかったなって。あれでもう本当に、浦和の選手を外せました。うまくジェソクからヤットさん(遠藤保仁)に入って、ヤットさんが多分パトリックに当てて、パトリックは米倉(恒貴)選手に出して。

自分自身も「チャンス!」と思ったら行くタイプなので。何かあの瞬間…パトがヨネに出した瞬間に、中にシュウ(倉田秋)が相手を引き連れたのかな?中に入って行ってくれたおかげで自分のスペースができて。

あの瞬間、トラップしようか悩んだことも覚えていて。でも相手も、こちらにたしか平川(忠亮)選手が寄せてきたので、もうトラップせんで打とうと思って。

右足にボールが当たった瞬間にはもう「入る」と確信しました。絶対に行ったなという感覚はあったので。

気持ちよかったな、あの時。自分の誕生日(11月28日)でもあったので、すごく記憶には残っています。

【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側
【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側

――浦和の大アウェイの中で本当に素晴らしいゴールでした。

あの埼玉で決めるゴールはもう誰もが多分気持ちいいと思います。一瞬ね、静められるんで。声援を。やっぱりあそこのスタジアムになると気持ちが高ぶるというか「やってやろう」となるかなと思います。

――遠藤選手のダイレクトで入れた縦パスも効いていましたね。

ああそうです。あれがもうね、決まったかなって。ダイレクトで、パトリックに入れて。あの時点でもう全然戻っていなかったので。さすがというか。

――サイドバックにとって遠藤選手はどんな選手でしたか?

あそこまで見える選手はいないなと、ヤットさんがいなくなってからすごく思いました。

今まで本当にヤットさんのタイミングで動いていたので、そのヤットさんがいなくなって、その動きをすると、やっぱり出てこないっていうか…見えていない。あるいは一つテンポが遅れて出てくるのでオフサイドになることが多いですかね。

もうほんまに、自分が輝けたのはやっぱりヤットさんがパスをくれるから、自分の持ち味が生きたのかなとすごく今思います。

【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側
【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側

リオ五輪出場で感じた「オーバーエイジへの疑問」

――そんなガンバ時代、2016年のリオデジャネイロ五輪にオーバーエイジとして参加されました。決まるまでの流れや、事前の意思確認みたいなのはどんな感じだったんですか?

電話で聞きましたかね。電話がかかってきて「話せる?」みたいな感じで。

当時、いま松本山雅の監督のシモさん(霜田正浩、当時のナショナルチームダイレクター)だったと思うんですが、電話がかかってきて。「ちょっと話したいことがあるからホテルにきて」と言われて話しました。色々言われて、「考えてみて」みたいな感じで言われました。

――本人がOKを出して進んでいくみたいな感じでしたか?

そうです。全然断ることもできました。

誰かに相談したかったんですけど、誰にも言わなかったかな。今まで自分のことに関して相談したことがなかったんですが、その時だけは本当にすごく悩んで。色々な選手に相談しようかなと思ったんですけどなかなか言えず、自分の意思で決めた感じでした。

――大会直前で手倉森誠監督のチームに加わって、難しさみたいなものは感じました?

大会まで日にちにもないですし、U-23の選手からしたらやっぱり、先輩3人がバッと入ってくる感じなので結構気は使われていたんじゃないかなと思います。それでもしっかりコミュニケーションを取ってやらないといけないですし、難しさはすごくあったかな。

U-23の選手からしたら、もしかしたら「同世代だけでやりたい」という思いもあったんじゃないですかね。分からないですけど。やっぱりそういうのはあるのかなというのは正直思いました。

【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側
【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側

※大会直前の強化試合では地元ブラジルとも対戦。相手の11番は現アーセナルFWガブリエウ・ジェズス。

――18人という人数も難しいと思います。

正直その何と言ったらいいのか…「オーバーエイジっているのかな?」というのはすごく思うかな。やっぱりその世代で今まで試合をしてきて、オーバーエイジが入ることで当然抜ける選手もいるじゃないですか。

だから、同世代の選手はどう思っていたのかな…というのは気になりますかね、一番。

――本大会では3試合にスタメン出場。オウンゴールを記録したコロンビア戦がどうしても出てくると思うんですけど、あの試合を思い出したりすることはあります?

一回しか見ていないですかね、映像。やっぱりなかなか見られなかったというか、思い出したくなかったというのもあったので。

――見返したのはどのくらい経ってからですか。

正直、最近くらいです。それくらい見られませんでした。

――オウンゴールの場面はやはり迷いが生じたのですか?

迷いました。

最初クリアをしようかなと思ったら、フリーだなと思って。止めようかなと思った瞬間にはもうボールに足が…。もう迷ってしまって、本当に時が止まった感じでした。自分の覚えている感覚ではもう、足に当たったボールがゆっくりゴール方向に向かっているのが見えて。

それを自分で…手でかき出そうとしていた感覚はあったんです。本当にそれくらい何かスローモーションで見えて。もうその後は全然覚えていないくらいですかね。

【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側
【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側

――あのリオでの経験は藤春選手の中でその後にどうつながったと感じますか?

メンタルの部分ではすごく鍛えられたと思います。やはり、ああいう舞台での失敗というのは。そういう選手も今まで多分いたと思いますし、だからこそそこで終わってしまうのかどうか。やっぱりそこからまた這い上がるという部分もあるので。

自分自身は何とか気持ちを落とさず、這い上がってここまでやってこれたのかなと思いますし、本当にいろいろな人の支えがありました。

当時、ガンバの監督は長谷川健太さんだったんですけど、いろいろ声をかけられて。周りの選手とかにも。そういった声があったから、また這い上がってくることができたのかなと思います。

――ちなみに、藤春選手が今Jリーグで注目しているというか日本代表に入ってほしいと思うサイドバックは?

やっぱりガンバの黒川(圭介)選手。自分で持ち運んだりもできますし、オーバーラップしてクロスを上げることもできるので。自分自身そういうのが見たいですし、推してもいるんですけどなかなか入ってくれないので。

海外の選手が今メインになっていると思うので、なんとかJリーグの選手も…毎熊(晟矢)選手も、Jリーグのセレッソ大阪で注目されて代表にも入り、そこから海外に行きました。

若い選手にはやっぱりチャンスでもあるので、Jリーグで活躍して代表に入り、海外へ行く。そういうチャンスは増えると思います。なので、ガンバの黒川選手に期待しています。

【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側
【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側

※ガンバ大阪で左サイドバックのレギュラーを務める黒川圭介。藤春が昨季まで12年間つけていた「ガンバの背番号4」を受け継いだ27歳だ。

――それでは最後に、ガンバも含めてファン・サポーターの皆さんへメッセージをお願いします!

ガンバのサポーターには13年間すごくお世話になりました。別れてから半年くらいでもうすぐに試合で対戦して、たくさんのサポーターに沖縄へ来てもらって。

琉球にいても、ガンバのサポーターも結構アウェイとかで試合を観にきてくれるんです。試合が終わってから「ガンバサポーターをやっていました」とか「応援しています」みたいな感じでわざわざJ3の試合に運んでくれる方も多いです。

すごく自分のモチベーションにもなっていますし、嬉しいです。これからも自分はガンバ大阪を応援していますし、ひとりのサポーターとして、これからもガンバ大阪を見続けたいと思うので、自分自身これからも、琉球にいてもガンバのサポーターにも応援してもらいたいです。

琉球のサポーターにはまず、J2昇格できるようにしっかり、自分が来た意味をサポーターに分かってもらえれば嬉しいなと思います。アウェイにも多くの方が沖縄から来てくれているので、しっかり試合に勝って、気持ちよく帰ってもらえるようにしたいです。やっぱり勝って一緒に喜べるのがサポーターにとっては一番の楽しみだと思うので。

試合に勝って一緒に喜んで、気持ちよく帰ってもらえれば嬉しいです、沖縄でやれる時もたくさん琉球のサポーターに足を運んでもらって、一緒に楽しいサッカーを見せられればいいかなと思うので、これからも応援よろしくお願いします。

【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側
【インタビュー】FC琉球の元日本代表DF藤春廣輝が明かす…「伝説のCS浦和戦、あわやOG→劇的決勝弾」「オーバーエイジで出場したリオ五輪」の裏側

藤春廣輝

1988年11月28日生まれ(35歳)
FC琉球所属

明治安田J3リーグ第30節
FC琉球 vs FC大阪 @タピック県総ひやごんスタジアム
9月28日(土)18時キックオフ!

元記事で読む
の記事をもっとみる