【内田彩仍さん連載：明日もいい日になりますように】 「第21回 暮らしのものと癒される場所」

内田彩仍さん Profile

福岡県在住。夫と愛猫そらと暮らす。雑誌などで紹介される丁寧でセンスのある暮らしぶりが人気。 『内田彩仍さんと作った 白のキャンバストートバッグBOOK』（宝島社）、『幸せな心持ち』（主婦と生活社）など著書多数。 新刊『衣食住、暮らしに寄り添うもの選び』（集英社）が10月25日に発売。

少しずつ日暮れの時間が早くなり、朝の空気にも秋を感じるようになりました。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
先日、庭に出て中秋の名月を眺めながら「やはり秋の月は綺麗だなあ」と。透き通るような美しい月でとても輝いて見えました。
 

10月25日に『衣食住、暮らしに寄り添うもの選び』という新刊が出ます。
今回のテーマは「ものとの暮らし」。
家にいる時間が長い私の、朝起きて炭酸水を飲むグラスや、毎日使っているお箸、気持ちを癒やしてくれる花のしつらえや、キャンドルホルダー、このところ似合うものが変わってきた洋服、日々の食事作りを助けてくれる調理道具……。
 

生活の基礎となる衣食住を大事にしながら、長年大切に使い続けているものや、心豊かに暮らしを彩ってくれる季節ごとの愛用品、暮らしを助けてもらう日用品など。
今の暮らしを支えてくれている「もの」との関わりや日常を綴りました。

もともと、雑貨やものを選ぶのが好きで、中学生の頃から好きな雑誌を眺めては、本で見つけたものに似たようなものを、お小遣いを握りしめて探しに行ったり、社会人になってからは、年に何度か仕事や休暇で出かける東京で、地図を片手に雑貨ショップ巡りをしたり。

多感な時期に、地元福岡でもあちこちに魅力的な雑貨店ができ、その後雑誌オリーブに感化されたり、雑貨ブームがあったりして「もの」好きが加速したように思います。
きっとリンネルを読まれている方々も、皆さま雑貨好きなのではないでしょうか。
 

昨年の11月にこの本を作ることになり、編集の方と一緒に内容をつめていくなかで、若い頃とはものを選ぶ基準が随分変わってきていることに気づきました。
以前は、持っていると自分を高めてくれそうな、ちょっと背伸びしたもの選びをしたり、「流行りを知っていないと」といち早く目新しいものを取り入れたり。
今はそんな気持ちはなくなって、自分の暮らしや気持ちに寄り添ってくれる、頼りになるものを選ぶようになりました。
それと同時に手に取るものには、自分なりの理由があることにも気づきました。
 

今年も、いつもお世話になっている福岡の雑貨店チャビットで、10月3日まで新刊のご予約受け付けを行っております。いつもひとつひとつ丁寧に梱包して発送してくださっています。
どうぞよろしければご覧くださいませ。
https://chabbit.buyshop.jp
今、チャビットのインスタグラムで、本にまつわる動画も公開中です。

話は変わって……。
先日、仕事の合間に篠栗町にある「喫茶 陶花」に伺いました。
清々しい青空が映える白い建物は、初めて訪れた20年ほど前と変わらぬ佇まい。ドアを開けるとオーナーの村山健吾さんが笑顔で迎えてくださいました。
 

西日の強い時間帯だったので、大きな窓には半分布がかけてありました。
窓辺に行って外を眺めると、木々が風にそよぐ山の景色から遠くには街並みも見えて、来るたびにとても癒やされます。

注文したのは、ほうじ茶ラテ。家では、ちょっと緊張して原稿直しをしながら一日中コーヒーばかり飲んでいるので、光あふれる空間でいただくやさしい味わいに、気持ちが緩みました。

陶花から外の階段を上っていくと、ハンバーガー専門店「バーガートウカ」とセレクトショップの「トウカノニカイ」があります。
自然豊かな場所に立つ建物の白い暖簾をくぐって、この日訪れたのは2階にある「トウカノニカイ」。

企画展や作品展など、様々な催しをされていますが、私が伺ったときは、素敵な器からお米やクッキーなどの食べ物まで、さまざまなものが並んでいました。

この日私が手にしたのは菜箸。「おかえりの菜箸」と名付けられた竹の菜箸は、つくる、もりつける、とりわけると、一膳ずつに役目が与えられた三膳セット。長年使っていた竹の菜箸の先が割れて処分したばかりだったので、巡り合えてよかったです。

「バーガートウカ」から眺める「陶花」。どこも素敵で、料理もデザートもとても美味しいので是非訪れてみてください。
気持ちのよい景色と共に
皆さまも私も、明日もいい日になりますように。
 

インフォメーション
喫茶 陶花
福岡県糟屋郡篠栗町金出3280（観音公園内）
営業時間11:00〜16:00 （L.O.15:00）
店休日毎週金曜 （その他不定休あり）
@to_ka_sasaguri

photograph: Kyoko Omori Ayano Uchida text: Ayano Uchida
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