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しごできイケおじの秘密とは? 本当に好きなものを愛で、その世界にどっぷりと浸る尊い時間を描いた『おじさんはカワイイものがお好き。』

  • 2024.9.25

日頃の疲れを癒してくれたり、「あと少しがんばろう」という気持ちにさせてくれる、自分だけのお気に入り。でもいろんな事情で、それを好きだと大声では人には言えない…。そんな自分だけの「好き」を、こっそり大事にしている人々に寄り添うマンガ。それが『おじさんはカワイイものがお好き。』(ツトム/フレックスコミックス)である。

主人公・小路三貴は40歳。会社では課長職に就く、バツイチひとり暮らしの男だ。そんな彼には会社の同僚にも、離婚した元妻にも最後まで言えなかった秘密がある。それはカワイイものに大層目がない、ということ。

特に若い女性や子どもが好むようなキャラクター、中でもパグ太郎がお気に入り。 だが自身の性別や年齢に似合わない趣味を他者に嘲笑された経験から、それを表だって公言できないでいる、という一面がある。

諸事情あって一時的に大学生の甥が自宅に居候してはいるものの、彼の目を盗みつつ、そして周囲の目も盗みつつ、マイペースに自分の好きな“カワイイ”を愛でる小路。そんな彼と周囲の人々の日常を描いた作品だ。

2020年にもドラマ化された本作。大勢の心をほっこりさせたのは、やはり人知れず自分の好きなものを愛でる主人公・小路の姿だろう。

普段は仕事のデキる柔和なミドルエイジ。そんな彼が実はかわいいものに目がないなんて、良い意味でのギャップ満載でついついこちらも微笑ましくなる。そう感じるのは筆者だけだろうか。

とはいえ、小路が頑なにかわいいもの好きを隠す理由に、つい共感する読者もきっといるだろう。「似合わないよ」「キャラじゃないよね」と好きなものを、あるいはそれを好きな自分を誰かに貶され、傷ついた経験。それがあればあるほど、自分の「好き」を表には出しづらくなってしまう。

自分の「好き」を誰にも傷つけられたくない。そんな思いから堂々と「好き」を表に出せない人は、少なからずいるに違いない。自分が本当に好きなものを愛で、その世界にどっぷりと浸る、尊い時間。今の時代は昔に比べ、“色々な好き”を大声で主張できる環境になってきているように思える。

筆者自身も、誰かの「好き」を聞く時間、誰かが「好き」に夢中になっている顔が好きだ。

その瞬間こそが何よりも、その人自身の一番魅力的な表情が見られる瞬間だと思うからである。本書の主人公・小路もまた自分のペースでゆっくりとだが、さまざまなきっかけでいろんなかわいいもの好きの同世代との交流が増えていく。

あなたの「好き」を共感し合える誰かとの出会いも、もしかしたらきっかけは意外とすぐそばに落ちているのかもしれない。

文=ネゴト / 曽我美なつめ

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