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【お悩み】 ずっと好きだった人と急接近!「もしかして両想い…?」と思ったら裏切られました…#70

  • 2024.9.25

はーい皆さん、ごきげんよう!満島てる子です。

いやはや、北の大地はすっかり空気が秋。
しっかりとした肌寒さに、夜なんてこごえるとまではいかなくても「やだちょっと震えちゃうじゃん!」ってなっちゃうぐらい。

先日まで、さっぽろレインボープライド2024の開催実現に奔走していて、周りのちょっとした変化に気づく余裕があまりなかった身としては、いつの間に季節が切り替わっていたのかとびっくりするところもありつつ。

Sitakke
ライター・満島てる子

この毎年恒例のように感じさせられる独特のひんやり具合を、こころのどこかで楽しんでいたりもするのでした。

とはいえ涼しさが訪れるということは、ぬくもりが欲しくなることと実はセットだったりもして(え?そうでもないって?)。
なんだか昔あったロマンスを、いいことばかりではなくしんどいエピソードまでをも含め、ひょんな拍子に突然思い出しちゃったりもしたり。これ、やぁよねぇ。

今回は、そんな最悪な恋のフラッシュバック的なものに苦しんでいる方からのお手紙みたい。読んでみましょう。

読者のお悩み:ずっと好きだった人と急接近!「もしかして両想い…?」と思ったら裏切られました

Sitakke
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なんとまぁ!中学生から成人するまで好きだったなんて。
あたしも1回誰かに強く惹かれたりすると、その気持ちが数年単位で持続しちゃうので、じっくり時間をかけて片想いの炎に丸焼きにされる経験は、割と豊富なタイプなんだけれど(10年選手もちらほらいたりするわね)。

ぴょおさんの場合はまさに青春時代をまるまる捧げているに等しいわけだから、期間の長さだけでなく想いの特別さもあいまって、おそらく相当重度のダメージをこころに負っていらっしゃるんじゃないかしら。

そして……手紙に書いてくれている事の顛末、あまりにも残酷すぎる……。
個人的には「そうよ!そんなクズ男とくっつかなくてマジでよかった!」と、思いっきりあなたに、できたら直接エールを送ってあげたいぐらいなんだけれど。
ともあれぴょおさん、まずはこのコーナーを見つけてくれて、ありがとうございます!

不思議なもんだよね。傷ついた過去だったり嫌な記憶だったりって、どこかに置いていっちゃいたいのに(なんならそうしたつもりだったとしても)、ひょんな拍子に「よ!お待たせ!」って舞い戻ってきちゃうというか。

誰かと話している時、自販機で飲み物を買う時、街を歩いていてふと懐かしいかおりがした時。
そんなささいなきっかけで芋づる式に当時の思い出が呼び覚まされて、その内容のしんどさに「うわぁ……もうだめだぁ……」とノックアウト。
その日1日何やってもだめになっちゃうこと、あたしは割としょっちゅうあります。

とはいえ思い出す内容は、自分の場合おそらく他の人からすればしょーもない&むしろ笑ってしまうようなことだったりもするんだけれどね。

例えば「あの夜、交差点の真ん中で突然あいつにバックドロップ決められて、しばらくガチで立てなかったんだよなぁ……」とか(実話です)、「あの人が美味しいって言ってくれた手料理、ろくに調理してないトマトぐらいだったなぁ……」とか(これも実話です)。

あたしにとっては、結構真剣に「なんなのよ!もう!」って感じた内容ではあっても。
他の人からしてみたらどうやら面白エピソードらしいと、後から気付かされたりもしています。

Sitakke
イメージ

と、おのれの話が出過ぎてしまったけれど。笑
にしてもぴょおさんの今回の思い出の場合は、そう簡単に「面白エピソード」とは名付けられない代物よねぇ。

一瞬手持ち無沙汰になったクソ野郎(やだ、「クズ男」から昇格させちゃってるわあたし)に、真剣な気持ちだけでなく大切なからだまでをも、その場のノリでもてあそばれ、捨てられたなんて。

あたしも内容としてかなり近しい経験をしたことがあるので、その痛み、悲しみ、なんなら怒りについても、ぴょおさんには共感しかありません。

なんなのかしらね。下半身で動く方々って。
「てめぇ人間のことエログッズとして見てんのか?」って、がっつり説教してやりたくなるわよね(憤怒)。

……やだやだ、積年の恨みつらみがマグマ化するところだったわ。危ない危ない。笑

ともあれぴょおさん。あたしあなたのモヤモヤ、本当によくわかるの。
だからこそここからは、ちょっとでもその気持ちを晴らせるような文章を綴ることができるよう、自分なりにチャレンジしてみようと思います!

あたしなりのAnswer

とは言ったものの。

ぴょおさんの願いとは真逆のことを書くようだけれど、あたし正直な話、嫌な思い出を忘れることって、ほとんど不可能に近いんじゃないかしらって思っているの。

だってその思い出も含めて、その人の歩んできた歴史そのものであり、人生そのもの。
だとすれば、それを完全に「忘れる」あるいは「消す」ことって、おのれの生きてきた道を否定することに近しいわけで。
もし万が一ひょんなきっかけでそうできたとしても、その後その人のこころには、なんらかの歪みが生じたりするんじゃないかしらって、あたしは想像しちゃうのよ。

いいことも悪いこともひっくるめて、自分の経験してきたこと、そのすべてから自分自身という存在は構成されている。
だとすれば、距離の取り方は様々あれど、あたしたちは自分を作っているそのひとつひとつの記憶と、うまく付き合っていくより他にないんじゃないかって個人的には思うんです。

だからぴょおさん。本来求めていたテイストの回答とはちょっと異なるかもしれないけれど。
このコラムでは、あたしなりに普段から実践している記憶との「寄り添い方」(忘れ方ではなく)を、あなたにはお伝えさせていただこうと思うの。
お口に合うかはわからないけれど、どうかごめんくださいね。

で、なんだけどね。
あたしの考えでは、嫌な記憶に寄り添う一番の方法って、その記憶を"料理"して、できれば誰かと一緒に"消化"しちゃうことだと思うの。
あえて食べて、血肉にしちゃうというかね。

Sitakke
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「どゆこと?」って思ったかもしれないわよね。笑
いや、具体的に言葉にしてしまえばすごくシンプルな手段なんけれど、ぴょおさんのその思い出、ぜひあえてほかの人に聞いてもらってみては?って。あたしはそう思うの。
しかも、話す際に単なる愚痴として語るのではなく、面白くて美味しい鉄板ネタにしてみるといいんじゃないかって。

これ、簡単にできることではないかもしれません。
そもそも自分の体験を面白おかしく語ることって難しいし、ぴょおさんのパターンは、まずもって記憶の内容が調理しがたい上級者向けの素材。
さっきご紹介したあたしの「面白エピソード」が、カプレーゼのような簡単な調理で間に合うものに例えられるとするなら、ローストビーフを仕込むぐらいには味付けに時間と手間ひまをかける必要がありそうですよね。

でもね。
材料の鮮度を確認したり火の通り具合を見るようにして、自分のトラウマに手を加えようとすると、「ああ、あの時の経験からこんな味わいも織りなせるんだ」と、段々と憎々しかった思い出からアクが抜けていき、その記憶が愛らしく思えてくるはず。
そして、ずっと味わってきた苦みを別のかたちにし、アウトプットして親しい人と一緒に楽しみながら咀嚼してしまえば、もうその思い出は嫌なものではなくなっているんじゃないかしら。

だから、ぴょおさん。
あなたぜひ、近しい友達にその思い出、ネタとしてどんどん披露していってみてください。
冗談めいて聞こえるかもしれないけれど、確実に効果があるの。しかも、回を重ねるごとにどんどんうまみが増していくから。
(あたし実際、この方法で手酷い失恋を乗り越えたことあります)

どんな道のりであったとしても自分の歴史を否定せず、おのれの歩みを愛せるようにみずからを調律してみること
そのトライが、きっとぴょおさんを新しい地平に連れていってくれるはず。

クズ男の存在もひとつのステップにしちゃって、前に歩んでいってほしい。
ぴょおさんと似たような経験をしたことがある仲間として、あなたのことをこれからも全力で応援していますよ!

ま・と・め♡

というわけで、今回は嫌な思い出との向き合い方について、自分なりに実践している方法をご紹介しながら考えてみました。

ここで取り扱ったのは、主に恋の話題だったけれど。
生きてると「なんなわけ?!」ってネガティブな残り方をする記憶って、仕事や友達関係といったいろんな角度から、しかもわんさか生まれてくるよね。

でも、そんな一見暗くて苦い体験も、最終的に肝心なのは生かし様。
その存在自体を消そうと躍起になるでもなく、くさいものに蓋的な放置に徹するでもなく、積極的にそれらをおのれの糧に変えていくのが大事なんだろうなと、常々思っています。

季節の変わり目は、こころの整理を行うこともできるいいタイミング。
読者の方々もこの秋、自分の過去を少し振り返ってみるなどしてみてはいかがかしら。

さっ!あたしもお風呂入りながら、パレード開催までのここしばらくにちょっと思いを巡らせてみようかしらねぇ(単にお風呂入りたいだけってのは内緒)。
どなた様も、それぞれの「それまで」を、どうか優しく愛せますように。

ではでは皆さん、Sitakkeね〜!

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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部 ナベ子
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「 さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。

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