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【インタビュー】FC琉球をけん引する元日本代表DF藤春廣輝、サイドバックとして嫌だった伊東純也との対戦…古巣ガンバ大阪戦での「涙」のワケ

  • 2024.9.25
【インタビュー】FC琉球をけん引する元日本代表DF藤春廣輝、サイドバックとして嫌だった伊東純也との対戦…古巣ガンバ大阪戦での「涙」のワケ
【インタビュー】FC琉球をけん引する元日本代表DF藤春廣輝、サイドバックとして嫌だった伊東純也との対戦…古巣ガンバ大阪戦での「涙」のワケ

Text by 奥崎覚(編集部)

明治安田J3リーグは第29節が終了。試合数にばらつきはあるものの、FC琉球OKINAWAは11位につけている。

J3は現在、首位の大宮アルディージャが独走状態。2位のFC今治と3位のカターレ富山もやや抜け出しつつ一方、4位ギラヴァンツ北九州から11位FC琉球までは勝点5の間に8チームがひしめきあっている。

琉球は今週末、28日(土)にホームのタピック県総ひやごんスタジアムで9位FC大阪と対戦予定。J3でも今季から3位~6位によるJ2昇格プレーオフがスタートするため、昇格争い生き残りをかけた一戦は大きな注目を集めるに違いない。

そんなFC琉球に今季、ガンバ大阪から加入したのがDF藤春廣輝。日本代表歴もある35歳は、開幕からここまで全29試合に先発、チームトップの2604分に出場している。

しかも、プロ入りから13年間を過ごしたガンバ時代での定位置である左サイドバックだけでなく、センターバックのポジションでもプレー。DFとして新たな一面も見せている。

【インタビュー】FC琉球をけん引する元日本代表DF藤春廣輝、サイドバックとして嫌だった伊東純也との対戦…古巣ガンバ大阪戦での「涙」のワケ
【インタビュー】FC琉球をけん引する元日本代表DF藤春廣輝、サイドバックとして嫌だった伊東純也との対戦…古巣ガンバ大阪戦での「涙」のワケ

そこでQolyは、FC琉球の主力として活躍する藤春に単独インタビューを敢行!

インタビュー前編では、FC琉球へ移籍した理由やYBCルヴァンカップで早くも実現したガンバ大阪戦「涙の勝利」の裏側、さらにはサイドバックというポジションの面白さ、対戦して嫌だった選手などをたっぷりと聞いた。

早々に実現した古巣ガンバとの対戦「涙の勝利」

――FC琉球では今季、3バックの左でもプレーされています。慣れました?(※インタビューを行った7月時点)

だいぶ慣れましたね。

――センターバックで起用されるにあたって、金鍾成(キン・ジョンソン)監督からは最初どんな感じで言われたんでしょう?

「3バックの左もちょっとやってほしい」みたいな感じで言われてやりだしました。

――ウィングバックもやられたりしていますけど、藤春選手というとやはり左サイドのイメージがある分すごく新鮮です。

そうですね。今までやっていたプレーとは全然違うかなと思います。

――気候も気になります。沖縄の夏はいかがです?

めちゃくちゃ暑いですし、湿度もすごいです。沖縄に試合に来たチームは本当に苦しみますね。どこのチームも。後半は特に。

――Jリーグ全60チームが参戦する形となった新生YBCルヴァンカップでは、1stラウンド2回戦で古巣のガンバ大阪と対戦されました。対戦することが決まった時の気持ちはどうでしたか?

まさかガンバとやれるとは思っていなかったのですごく嬉しかったです。「できる」となって楽しみだったので、かなり勝ちにはいきました。

――あの試合は3バックの左で先発されました。富所悠選手のゴールで先制し、一度は追い付かれましたけど、76分に白井陽斗選手の勝ち越しゴールが決まり2-1で勝利。試合終了前からウルウルきていたとうかがいました。

きていました。「こんなに早くガンバとできて、勝てるんや」という、そういうのを思うとウルっときましたね。

――どんな感情が湧いてきた感じでしたか。

13年間いて、今まで当たり前のようにユニフォームを着ていたのに、「相手の選手が着ている」という今までにない…一番は羨ましかったというか、「あのエンブレムをつけてプレーできるのはすごく羨ましい」というのが一番思いました。

それになんやろ。勝てたというのもすごく申し訳なさもありましたけど、やっぱり上にいってタイトルを獲ってほしいというのが今の…(ガンバを)応援するファンでもありますし。申し訳ない部分もありましたけど、試合になればやっぱり真剣勝負なので勝ちにはいっていました。

【インタビュー】FC琉球をけん引する元日本代表DF藤春廣輝、サイドバックとして嫌だった伊東純也との対戦…古巣ガンバ大阪戦での「涙」のワケ
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※試合終了直後、決勝点の白井(こちらも以前ガンバに在籍)と抱き合う藤春。

――今季のガンバ大阪も好調です。対戦してみて、肌感覚としてどういう印象を受けました?

やっぱり新加入選手がすごく大きいのかな。チームに新しい、プラスになっているかなというのは思いました。

――ダニエル・ポヤトス監督のもとで昨年1年間プレーされました。どんな監督だと感じています?

しっかりボールを握って、そんなに前は細かくなく、攻撃は自由という感じで。もう本当に楽しくと言ったらおかしいですけどそういう感じです。人としても良いですし。

今年は特に調子も良いですし、優勝を狙えるんじゃないかなと思います。

「ベテラン選手は走れなくなったら終わり」

――そうしたなかで今季、藤春選手がFC琉球への移籍を決断した理由はどんなところですか?

35年間大阪を出たことがなかったので、初めての引っ越しになりました。

すごく心配で不安な時もありましたけど、もう思い切って。オファーが一番早かったのが琉球だったので。そのあと待って、やっぱりオファーがこなかったらアレですから、一番早く来てくれた琉球にしました。

――FC琉球は金鍾成監督のもと、攻撃的なサッカーを展開しています。

すごく楽しいサッカーです。自分自身も今までと違ったプレースタイルを出せていて、どんどん縦パスを当ててという、オーバーラップではなくパサーみたいになっているので。

この歳でも成長はできるのかなというのを感じられましたし、すごく今までと違った感覚でサッカーやっています。そういう部分でも楽しくやれているのかなというのはあります。

【インタビュー】FC琉球をけん引する元日本代表DF藤春廣輝、サイドバックとして嫌だった伊東純也との対戦…古巣ガンバ大阪戦での「涙」のワケ
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――ここまでほぼフル出場。相変わらず運動量がすごいです。

ベテラン選手は走れなくなったら終わりだと思っていますし、自分の中ではまだまだ…ベテランかもしれないですけど全然そういう感覚もないです。

とりあえず若い選手には走行距離とかも負けたくないですし、そこはいつも若い選手と戦っています(笑)。

――FC琉球で今シーズン、成し遂げたいことは何ですか?

まず、ここへ来た意味として、本当にJ2に昇格して「上げる」ということが一番自分の中で目標です。若い選手が琉球には多いので、そういう選手がJ2へ行ったりJ1へ行ったり、ステップアップできる選手がどんどん増えていけばいいなと思います。

自分の中の経験などを話したり、「自分もまだまだできる」と背中を見せて、若い選手に伝わればいいかな、という。今は本当にそういった思いでプレーしているので、そういうところを琉球でやっていければいいかなと思っています。

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サイドバックとして対峙して嫌だった3人の選手

――藤春選手はいつ頃からサイドバックに?

本格的にやりだしたのは大学(大阪体育大)の1年です。あと、高校2年(東海大学付属大阪仰星高)の時に新しくコーチにきた人が左サイドバックで、その人に教えられたというか、

「やれ」と言われてやりましたかね。初めてサイドバックを。

――それまでは左サイドの一つ前のポジションとかです?

一つ前というか、ボランチをやっていました。

――サイドバックをやってみて、最初の印象というかフィーリングはどうでしたか。

走らないといけないし、ディフェンスもしないといけないし。全然なんか…あまり楽しくないなという印象でしたね(笑)。

――サイドバックとしてプレーしていく中で、モデルにしたり参考にした選手はいました?

やっぱり長友(佑都)選手じゃないですか。上下運動もできて、オーバーラップしてクロスを上げてと。どちらかというと自分にはそちらが合っているのかなと思ったので、長友選手のプレーを見ていたかなと思います。

【インタビュー】FC琉球をけん引する元日本代表DF藤春廣輝、サイドバックとして嫌だった伊東純也との対戦…古巣ガンバ大阪戦での「涙」のワケ
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――サイドバックが「自分の天職だな」と感じた瞬間はありましたか?

やっぱりマッチアップというか、サイドバックは上下運動が一番求められていたので、そこでは絶対に負けない。上がっても下がれるしという、その部分では負けないと感じてからは「自分はこのポジション一番合っているのかな」と思いました。

――プロになってから対峙して一番やりづらかった選手は?

サンフレッチェ広島にいたミハエル・ミキッチ選手や、柏レイソルにいた伊東純也選手。

あと、アルビレックス新潟にいたホニって覚えていますか?あの選手はめちゃくちゃ速かったです。伊東純也選手よりも速かったです。

昨年(2023年)にブラジル代表にも入っていました。あの選手はすごかったですね。その3人が嫌でしたね。

――ミキッチ選手はどのあたりが嫌らしかったです?

いやもう、あんなに仕掛けてくる人はいない(笑)。縦、縦に来て、嫌なタイミングでクロスを上げてきたりするので、最初はすっごく嫌でした。

――伊東純也選手は、やはりインパクトがありましたか?

対戦したときは(自分の)背後のケアとかを常に気にしていました。4バックだったら自分一人だけラインを下げていることも全然ありました。

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やっぱり伊東選手とマッチアップするためには距離を開けないと。並んで背後に行かれたら負けるというのはありましたから。そこはセンターバックとかにも一番言っていましたね。「自分のラインに合わせて」と(笑)。

“出し手”にいつも伝える 「使いたいと思ったら使えばいい」

――サッカーキャリアにおいて「監督が求めるプレー」をすることを徹底してきたとガンバ大阪時代のインタビューで話されていました。

それは一番心掛けています。監督が求めるもの。それに応えられないとやっぱり試合にも出られないですし、確実に使ってもらえないというのは思っていました。だから、まずは監督が言うことをやりながら、プラスアルファで自分の持ち味などを出す。

まずは求めることをやらないと。そこに反抗するというのはやっぱり良くないというか、実際そういう選手も見てきたので。そうなるとやっぱり、監督批判ではないですけど、監督としても自分が求めることをやらなかったら使えない。そうなると思うのでそこだけは心掛けてきました。

――徹底するようになったきっかけはあったんでしょうか?

本当に昔から、小中高大と言われていたことはまずやっていたかな。それがプロでも生きていたのかなと思います。

――サイドバックは走っても使ってもらえなかったりすることが多々あるポジションです。藤春選手はそのあたり、出し手とのコミュニケーションに関してどういうところを意識しています?

いつもサイドハーフの選手に言うのは…だいたいサイドサーフの横をオーバーラップするじゃないですか。だから「別に出しても出さなくても全然いい。ボールを持っている人の判断やから。俺がまわっても、使いたいと思ったら使えばいいし、使いたくないと思えば、自分を利用して中にカットインしてシュートして」といったことは常に言っています。「使わなくても俺は全然怒らないし、文句も言わないから。ボールを持っている人の判断に全然任せるから」と。

だから「出せよ!」みたいな感じには全然…そう思うくらいなら、自分の中では早く守備のポジションに戻れという風にはしてきましたね。今までずっと。

――前の選手にとってはそう言ってもらえると気が楽になりますね。

多分そうやと思います。(外を)まわるからといって使わないといけないとは全然思わんといてと言っていたので。サイドハーフがやりやすいようには心掛けていました。

――藤春選手は日本代表でもヴァイッド・ハリルホジッチ監督のもとで3試合にプレーされました(2015~2016年)。ハリルホジッチ監督がサイドバックに求めたことは何でした?

まさにそのオーバーラップ。「どんどんまわれ」と。当時たぶん自分自身も一番オーバーラップしていたんじゃないかと思うくらいやっていたので。それをもうどんどん求められていました。

【インタビュー】FC琉球をけん引する元日本代表DF藤春廣輝、サイドバックとして嫌だった伊東純也との対戦…古巣ガンバ大阪戦での「涙」のワケ
【インタビュー】FC琉球をけん引する元日本代表DF藤春廣輝、サイドバックとして嫌だった伊東純也との対戦…古巣ガンバ大阪戦での「涙」のワケ

――とにかく行け、と。

はい、「行け」って。「オーバーラップしろ」って。サイドチェンジすると分かっている…サイドハーフにボールが入るなという瞬間には「行け」というのは要求されていましたね。

――藤春選手が感じるサイドバックの面白さは?

ポジションとしては守備なんですけど、守備のことをしっかりしながら良いタイミングがあればオーバーラップしてという。やっぱり3人目の動きで裏、背後がとれたらすごく気持ちいいです。

ガンバでやっていた時は本当に倉田(秋)選手からヤットさん(遠藤保仁)に落として、ヤットさんがワンタッチで背後にという。自分の中で描いた通りに、走って、まさにパスが出てきてということできていました。

その楽しさがあるから本当にサイドバックはやめられない気持ちがあります。DFの中では一番攻撃にも絡めるのがサイドバックだと思うので、そういう気持ちよく崩せたりしてアシストできる。それがサイドバックの一番楽しさかなと思います。

【インタビュー】FC琉球をけん引する元日本代表DF藤春廣輝、サイドバックとして嫌だった伊東純也との対戦…古巣ガンバ大阪戦での「涙」のワケ
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9月27日(金)配信予定のインタビュー後編では、ガンバ大阪入団やサイドバックにとっての遠藤保仁、伝説となった2015年CS浦和レッズ戦での「丹羽大輝オウンゴール未遂」からの劇的決勝弾、さらにはオーバーエイジとして出場したリオデジャネイロ五輪、コロンビア戦でのオウンゴールなどについて聞いているので、こちらもお楽しみに。

藤春廣輝

1988年11月28日生まれ(35歳)
FC琉球所属

明治安田J3リーグ第30節
FC琉球 vs FC大阪 @タピック県総ひやごんスタジアム
9月28日(土)18時キックオフ!

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