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まさかの鬼になりきる鬼“ごっこ”!? 天才だけどお馬鹿な「紙一重」な少女のにぎやかな日常

  • 2024.9.25

子どもは、大人が思いもよらないような話をすることがある。子どもならではの豊かな発想力から生まれる言動に、驚いた経験がある人も多いだろう。『紙一重りんちゃん』(長崎ライチ/KADOKAWA)では、そうした子どもならではの奇天烈で愉快なエピソードを楽しめる。

主人公のりんちゃんは、目で見た物すべてをビデオのように映像で丸々記憶できる天才である一方、お馬鹿な言動も多い「紙一重」な女の子。将来の夢は「ひよこ鑑定士」か「総理大臣の影武者」の2択という、何とも不思議な小学5年生である。本作では、そんなりんちゃんの親友・こだまちゃんや家族、クラスメイトたちとの“クセ”が強めのにぎやかな日常がたっぷり描かれている。

特に注目したいのは、こだまちゃんのノリの良さだ。1巻の「鬼ごっこ」のお話では、そんなノリの良さを象徴するエピソードが描かれている。こだまちゃんを鬼ごっこに誘うりんちゃん。しかし、ふたりでの鬼ごっこはただの「鬼交代制」になるから嫌だと断られてしまう。断られたショックで、りんちゃんはだらりと腕を下げ、まるでゾンビのようになってしまう。そんな姿を見て「うわー」としっかり引きながらも、1回だけ鬼ごっこに付き合ってくれることに。

何より面白いのは、その鬼ごっこの内容だ。普通なら、追いかけて捕まえたら鬼が交代する、あの鬼ごっこを想像するだろう。だが、りんちゃんの鬼ごっこはふたりとも鬼に「なる」ことからはじまる。これは、「キャーいくら鬼とはいえそんなに豆を投げないで下さいっ」と、リアルな鬼サイドに立った鬼「ごっこ」なのだ。

そして、りんちゃんが突然はじめたごっこ遊びに「なんだこれ」と思いつつも、しっかり合わせてくれるこだまちゃんの適応力も素晴らしい。コンセプトを瞬時に理解して「あ、私たちちゃんと外に出ますんで落ちついて下さい」と鬼側の冷静キャラを演じ、鬼を迫害する人間たちへの対応をしてくれるのだ。

本作にはこうした「そんな発想あり!?」と驚くような奇想天外なお話が満載なので、常に新鮮な気持ちでりんちゃんの日常を覗けるのが楽しい。2巻では白髪を抜かれたくないあまり、パパの失業保険で海外旅行に行くエピソードをはじめとした、さらにパワーアップしたお話が盛りだくさん。

お馬鹿なようで核心をついているようで、やっぱりお馬鹿なりんちゃんを中心に繰り広げられる4コママンガを、たっぷりと堪能してもらいたい。

文=ネゴト / 押入れの人

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