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『ラストマイル』が2週ぶりに首位返り咲き!好調の実写オリジナル邦画に、国内アニメ映画が猛追

  • 2024.9.25

9月20日から9月22日までの全国映画動員ランキングが発表。公開から3週連続で首位をキープし、先週3位まで後退した『ラストマイル』(公開中)が週末3日間で観客動員23万7000人、興行収入3億5800万円と、前週比92%の好成績を収めて首位へ返り咲き。「秋分の日」を含めた公開32日間の累計成績は、動員315万人&興収45億円を突破している。

【写真を見る】IMAX先行上映も好調の『劇場版 オーバーロード 聖王国編』が2位に初登場

国内アニメ映画4タイトルが存在感!カギはやっぱり“入プレ”?

【写真を見る】IMAX先行上映も好調の『劇場版 オーバーロード 聖王国編』が2位に初登場 [c]丸山くがね・KADOKAWA 刊/劇場版「オーバーロード」聖王国編製作委員会
【写真を見る】IMAX先行上映も好調の『劇場版 オーバーロード 聖王国編』が2位に初登場 [c]丸山くがね・KADOKAWA 刊/劇場版「オーバーロード」聖王国編製作委員会

『ラストマイル』や先週1位に初登場を果たした『スオミの話をしよう』(公開中)と、夏の終わりごろから国内の実写オリジナル映画が好調を保っていることは先週の当記事でも紹介したが、今週は逆に、秋シーズンのアニメ映画を中心に取り上げていきたい。もっとも、現在の日本の映画興行において実写や海外作品よりも国内のアニメ作品が優勢であることはいまに始まったことではなく、なにかしらのアニメ作品、とりわけ一定の支持層を得ているテレビアニメの劇場版作品が常にランキング圏内にいることが当たり前となっているのだが。

2位に初登場を果たした『劇場版 オーバーロード 聖王国編』(公開中)も、テレビアニメの劇場版作品の一本。丸山くがねの同名ライトノベルを原作に、2015年にテレビアニメ第1期が放送されたあと、劇場版総集編を経て2018年に第2期と第3期が放送。2021年に第4期と完全新作劇場版の製作が発表され、前者は2022年に放送。後者が今回ランクインした『聖王国編』ということになる。

製作発表から3年。原作ライトノベルでも人気の高いエピソードをアニメ化! [c]丸山くがね・KADOKAWA 刊/劇場版「オーバーロード」聖王国編製作委員会
製作発表から3年。原作ライトノベルでも人気の高いエピソードをアニメ化! [c]丸山くがね・KADOKAWA 刊/劇場版「オーバーロード」聖王国編製作委員会

初日から3日間の動員は19万8000人、興収3億1800万円で、9月13日から行われていたIMAXの先行上映を含めればすでに累計動員27万人&興収4億5700万円に到達。まさにファンが長いこと公開を待ち望んでいたことが数字にあらわれているといえよう。例によって近年のこうした作品には欠かせない入場者プレゼントも、通常上映とIMAX上映それぞれで用意されており、リピーター戦略も万全なことが窺える。

ダークファンタジー作品である『オーバーロード』がファン待望の完全新作劇場版であることに対し、今週のトップテンにランクインしている4作品の国内テレビアニメの劇場版は、いずれも作品のジャンルや性質が異なっている点で興味深い。公開2週目で4位にランクインした『わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー! ドキドキ・ゲームの世界で大冒険!』(公開中)も完全新作劇場版であることには変わりないが、「プリキュア」シリーズの映画版は秋の風物詩。

テレビスペシャルを放送に先駆けて劇場上映する『五等分の花嫁*』 [c]春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁*」製作委員会
テレビスペシャルを放送に先駆けて劇場上映する『五等分の花嫁*』 [c]春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁*」製作委員会

また、5位に初登場を果たした『五等分の花嫁*』(公開中)は、テレビスペシャルとして制作されたものを放送に先駆けて期間限定上映しているものであり、9位にランクインした『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM 特別版』(公開中)は、今年1月に公開され大ヒットを記録した内容から500カット以上のアップデートとエピローグカットを追加した“特別版”での期間限定上映。ちなみに異なるエピローグカットが見られる特別版の第2弾も11月に控えているという。『わんぷり』の場合は年齢が限定されているが、いずれの作品も『オーバーロード』と同じように入場者プレゼントが用意されている点で共通している。

国内のオリジナル実写映画が巻き返しを図るなかで、熱烈なファンダムの支持を集めるかたちであらためてその強さを見せつけた国内テレビアニメの劇場版作品たち。一方で、対する『ラストマイル』もこの週末に全国50万名限定でステッカーの入場者プレゼントを配布しており、それが先述の安定感ある興行につながったとみることができる。こうした戦略が日本の映画興行の支えになっていることは間違いないが、純粋にクチコミで広がるタイプのはずだった『ラストマイル』もその流れに乗ったというのは、少々考えものかもしれない。

『トランスフォーマー/ONE』と『あの人が消えた』も初登場!

前週1位の『スオミの話をしよう』は3位に [c]2024「スオミの話をしよう」製作委員会
前週1位の『スオミの話をしよう』は3位に [c]2024「スオミの話をしよう」製作委員会

さて、三谷幸喜監督の『スオミの話をしよう』は週末3日間で動員17万3000人、興収2億4500万円を記録し3位にランクダウン。前週対比は動員・興収ともに55%と、作品評価の伸び悩みも相まって少々苦戦を強いられているようだ。祝日までの公開11日間の累計成績では、動員81万人&興収11億円を突破。まずは動員100万人の大台に到達させることがカギとなるだろう。

先に紹介した国内アニメーション作品以外に、2作品が初登場を果たした。8位にランクインしたのは、世界的大ヒットシリーズ「トランスフォーマー」の最新作で、シリーズのはじまりを3DCGで描いた『トランスフォーマー/ONE』(公開中)。オリジナルではクリス・ヘムズワースとスカーレット・ヨハンソンが、日本語吹替え版では中村悠一と木村昴、吉岡里帆が声を務めるなど、声優陣の豪華さが話題を集めているようだ。

高橋文哉主演のミステリー『あの人が消えた』は10位にランクインしている [c]2024「あの人が消えた」製作委員会
高橋文哉主演のミステリー『あの人が消えた』は10位にランクインしている [c]2024「あの人が消えた」製作委員会

そして10位には「ブラッシュアップライフ」を手掛けた水野格監督がメガホンをとり、話題作への出演が相次ぐ高橋文哉が主演を務めたミステリー『あの人が消えた』(公開中)がランクイン。上映館数は157館と、ほかの作品よりも少なめながら大健闘。ここでも国内のオリジナル実写映画の勢いを感じることができる。

以下は、1~10位までのランキング(9月20日〜9月22日)

1位『ラストマイル』

2位『劇場版 オーバーロード 聖王国編』

3位『スオミの話をしよう』

4位『わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー! ドキドキ・ゲームの世界で大冒険!』

5位『五等分の花嫁*』

6位『Mrs. GREEN APPLE // The White Lounge ㏌ CINEMA』

7位『インサイド・ヘッド2』

8位『トランスフォーマー/ONE』

9位『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM 特別版』

10位『あの人が消えた』

今週末は、ティム・バートン監督の5年ぶりの長編最新作となる『ビートルジュース ビートルジュース』(9月27日公開)、鬼才ヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンが3度目のタッグを組んだ『憐れみの3章』(9月27日公開)、黒沢清監督が菅田将暉を主演に迎えたサスペンススリラー『Cloud クラウド』(9月27日公開)などが控えている。

文/久保田 和馬

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