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暖房シーズン前に「エアコンの掃除をしない」と、どんなデメリットがある?

  • 2024.9.24

お手入れをしないままに暖房シーズンに突入してしまうと、暖房費がかさむだけでなく、健康デメリットも起きやすくなります。パナソニック エアーマイスターの福田風子さんが、冬前にエアコンの掃除をしない場合のデメリットを解説します。

暖房シーズン前に「エアコンの掃除」をしないと、どんなデメリットがある?

冷房稼働終わりの「夏じまい」は、暖房稼働後の「冬じまい」より念入りに行っていただきたいと、福田さんは語ります。

その理由は、暖房よりも冷房の方がエアコン内部にカビが発生しやすいため。

冷房はエアコン内部にカビが発生しやすい

カビは気温20~30℃、湿度60%以上でもっとも繁殖しやすく、多くの胞子を作ります。とくに湿度60%以上では湿度が上がるほどカビが発生しやすくなります。

仕組み上、エアコン暖房は熱交換器を加熱し暖めるため、エアコン内部は乾燥した状態になるのとは対照的に、冷房運転は熱交換器を冷やし、温度を下げるとともに空気中の湿度を結露させて排水するため、エアコン内部は高湿度の状態になります。

エアコン内部に結露が発生し、カビの育成を助けることになってしまうので、冷房時は特に内部のカビに注意が必要なのです。

秋はカビの繁殖条件が揃っている

さらに、真夏より湿気が多く気温が下がる秋は、カビの繁殖条件と合致しており梅雨どきと似ているので、これからの秋シーズンにもカビ発生の注意が必要です。

エアコン内部にカビが発生しているとどうなる?

室内に浮遊するカビの例として、エアコン内部にカビが発生した場合の「カビ風(エアコンの風に乗って放出されたカビが空間へ広がる動き)」を高感度カメラの撮影により可視化しました。

普段なかなか意識しないカビの浮遊ですが、エアコン内部にカビが発生していると、冷暖房の風によってこのように空間を漂ってしまうことが分かります。

「夏じまい」をサボったら冬の暖房代が上がるワケ

エアコンの汚れが電力消費量の増加につながる

衛生面以外では、経済面の問題も出てきます。

エアコンは室内の空気を取り込み、冷風や温風にして放出します。ところが、フィルターにホコリが溜まっていると十分な量の空気を取り込めません。多くの空気を取り込もうと、余計なパワー=電力を使うことになるため、エアコンの運転効率は低下し、電気代を余計に消費する状態に陥ってしまいます。

実際にエアコンフィルターを1年間掃除しないと年間で約25%も消費電力量がアップしてしまうという実験結果もあり、フィルターの目詰まりや冷暖房能力の低下で、金額にして1万円以上も電気代がムダになってしまう場合があります。

※パナソニック製品「CS-F401D2」を使用。電気代31円/kWhでの実験

エアコン内部にカビが発生する原因

では、なぜエアコン内でカビが発生してしまうのでしょうか。

原因1.ホコリや油分がカビの栄養源に

エアコンは室内の空気を取り込み冷やしているため、空気中に浮遊している油分やホコリもエアコン内に取り込んでしまいます。

フィルターでブロックできないホコリや油分が内部にたまり、カビの栄養源となり増殖する原因に。

原因2.エアコン内部の湿気

冷房や除湿運転では熱交換器を冷やし、空気を冷やすのと同時に空気中の湿気を結露させて排水するため、内部の湿度が高まり、カビの成長に適した環境になってしまいます。

暖房稼働時にカビが吹き出してしまうことも…

夏のエアコン稼働時間が長ければ長いほど、エアコン内部に湿気がたまり、カビのエサであるホコリもたくさん付着してしまいます。

フィルター部分は掃除機で吸えばケアができますが、エアコンの内部はそういうわけにはいきません。

エアコンを掃除せずに放置をしておくと、使用していない秋の間にエアコン内で繁殖したカビが冬の暖房稼働時に吹き出す可能性があります。

次:エアーマイスターが伝授!正しいエアコンの夏じまい方法

エアーマイスターが伝授!正しいエアコンの夏じまい方法

ポイント1. フィルターの定期的なお手入れ

フィルターの汚れは、能力の低下、消費電力の増加につながります。掃除機でホコリを吸い、それでも汚れが落ちない時は薄めた中性洗剤で洗い、陰干しをしてしっかり乾燥させてください。

ポイント2. 内部クリーン機能や送風運転を活用

冷房中の結露により水分がたまったエアコン内部を乾燥させることが、実はカビ対策に効果的です。内部クリーン機能がエアコンに搭載されていれば使用しましょう。

また、内部クリーン機能が搭載されていないエアコンの場合は、冷房運転の後に「送風運転」を3~4時間行い、エアコン内部を乾燥させましょう。

ポイント3.拭き掃除でカビ菌を防止!

エアコンに汚れがたまるとカビ菌のエサになるため、汚れている場所(通風路、フラップ等)を拭き掃除してください。このときのポイントは、見える部分のみです。

※お手入れはそれぞれのエアコンの取扱説明書に従って行ってください。

※ご自身での掃除が心配な方、掃除がしづらい箇所の汚れが気になる場合やすでにカビが生えている場合は、専門業者にご依頼ください。

これはやっちゃダメ!NGなお掃除とは?

エアコンのクリーニングは高い専門知識が必要です。自身でエアコン内部の洗浄は避けましょう。

誤ったクリーニング方法(除菌剤やお掃除スプレーをするなど)を行うと、内部に残った洗浄剤で故障の原因につながる恐れがあります。専門業者に依頼しましょう。

解説者プロフィール

パナソニック エアーマイスター 福田 風子

パナソニック株式会社 空質空調社 日本マーケティングセンター 空気事業マーケティング統括部

自宅に異なる4機種のエアコンを設置し、機能の違いや風の違いを感じ分ける。スマホを使って家中のエアコンを遠隔操作したり、時にはカビの発生したエアコンを自ら入手・分解して調べるなど担当の枠を超えてちょっとしたエアコンマニア。

<Edit:編集部>

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