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「なんでそこまで?」。卒業は、休むとLINEをくれた彼女のおかげ

  • 2024.9.25

「これ、今日の分。見づらいところあったら遠慮なく言ってね」

高校時代、私が学校を休むと必ず来るLINEだ。この子の存在があったから、私は高校を卒業できたと思っている。

中学生の時に難病と診断された私は、学校生活と治療の両立を余儀なくされた。正直に言えば、両立なんてできなかった。通院や体調不良のため、遅刻、早退、欠席は日常茶飯事だった。特に高校時代は何度も入院した。当たり前のことだが、休めば授業に出られない。出られなければ、勉強は遅れていく一方だった。遅れを取り戻すために友達にノートを見せてもらっていたけど、それが毎日のこととなると、申し訳なさで頼みにくくなっていく。毎回毎回ノートを貸すのが面倒だとか、私がノートを借りているが故に、友達がその教科の勉強をしたいときにできないだとか思われているんじゃないだろうか。迷惑ばかりかける自分が嫌になる。体調が思い通りにならないもどかしさも相まって、高校一年目は身体的にも精神的にも苦しい毎日を過ごしていた。

◎ ◎

高校二年に上がるときにクラス替えがあった。私の体調は思わしくなく、体調と、勉強について行けるかという大きな不安を抱えてのスタートとなった。しかし、ここで素晴らしい出会いがあった。新しく同じクラスになったとある女の子が、私の持病のことを知るやいなや、私のことをサポートしたいと言ってくれたのだ。

「毎日『ノート見せて』って言うのも、気持ち的に大変じゃない?迷惑じゃなかったら、あなたが何も言わなくてもノートの写真を送るよ」と彼女は言う。私は持病があるということしか話さなかったのに、彼女は私の悩みを一発で言い当ててしまった。

それから彼女は本当に毎日ノートの写真を送ってくれた。高校二年生の間に三回ほど入院したが、その間もずっと送ってくれた。休んでしまって受けられなかった実習などがあると、彼女は自分の休み時間を使って私と一緒に再実習を受けてくれた。そして高校三年生の三月、出席日数的に厳しいと言われていた私は高校を卒業することができた。何度も学校をやめてしまおうと思っていた。現実的に通い続けるのは無理だと感じていた。それでもやめたくなくて、何回彼女に泣きついたかわからない。その度に彼女は、「あなたがやりたいと思うことは何でもサポートするから。一緒に頑張ろう」と言ってくれた。この言葉に何度救われただろう。

◎ ◎

卒業後、「なんでそこまでしてくれたの?」と私が聞くと、「頑張り続けるあなたに勇気をもらったから。応援したくなったんだよ」と彼女は言う。頑張り続けてこられたのは、彼女がいたからだ。

私の中でどれだけ感謝してもしきれないかけがえのない存在。彼女は今、看護師として働き、毎日多くの患者と向き合っている。彼女にぴったりの職だなと常々思う。彼女に救われる患者はきっと多いだろう。彼女の存在があって、今の私がいる。いつか私も、自分のできることで彼女に恩返しができたらいいなと思っている。

■シオヤキのプロフィール
難病と生きる20代前半女性。

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