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妻が「女性用風俗」へ…夫は“離婚できるのか” 弁護士に聞いてみた

  • 2024.9.23
「女性用風俗」が原因で離婚になってしまうのか…
「女性用風俗」が原因で離婚になってしまうのか…

近年、インターネットやSNSなどで話題になっている「女性用風俗」。もし、妻が「女性用風俗」へ行っているのを発見した夫が離婚を申し出ることはできるのでしょうか……。離婚へとつながりかねない事象のため、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に、さまざまな疑問を聞いてみました。

一般的に“事実”だけでは不貞を証明できない可能性も

Q.ずばり、妻が「女性用風俗」へ行っていた場合、夫は離婚できるのでしょうか?

牧野さん「まず、夫が離婚したいと申し出て、妻が離婚に応じれば、協議離婚をすることができます。

妻が離婚に応じない場合には、『配偶者に不貞な行為があった』こと、あるいは、『その他婚姻を継続し難い重大な事由がある』ことを理由に、夫は離婚の訴えを提起して裁判所に認めてもらう必要があります。

民法770条1項では『夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる』とあります。1号『配偶者に不貞な行為があったとき』、5号『その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき』とあり、一般に、1号の『不貞』とは、『配偶者以外の異性と性交渉(男性器の女性器への挿入行為)又はその類似行為をすること』をいうため、女性用風俗の具体的な内容が性交渉を伴うものであった場合には『不貞』に該当する可能性がありますが、それを伴わない場合には『不貞』に該当しないことになります。

例えば、具体的に、女性用風俗店でその従業員との間で性交渉を行ったり類似行為をしていた場合は『不貞』に該当する可能性がありますが、エステやマッサージを施されただけという場合であれば『不貞』にはあたりません。一般的には、女性用風俗店に通っていた事実だけでは、『不貞』を証明することは難しいでしょう。

2021(令和3)年11月29日東京地裁判決では、夫の風俗通いのケースですが、ピンクサロンのポイントカードを所持していた夫に対して、『被告が風俗店を利用した事実は,これをもって被告に不貞行為があったとは認められず,婚姻を継続し難い重大な事由に当たるとも直ちには認めることができない』と判示し、離婚請求を認めませんでした。また風俗通いの事実は、風俗通いの期間、程度によっては、以下で述べる様に、5号の『その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき』にあたる可能性があります」

Q.仮に夫が「行くのをやめてほしい」と訴えても、妻が行くのをやめなかった場合、離婚の申し立てはできるのでしょうか。

牧野さん「5号の『その他婚姻を継続し難い重大な事由』とは、客観的にみて、夫婦関係=婚姻関係が回復の見込みがない程度に破綻している場合を指します。

例えば、風俗通いを止めるよう懇願しても妻が聞き入れなかったことで夫婦関係が冷え切って夫婦間の性交渉がなくなったり、長期間の別居に至った場合には、5号の離婚事由として認められる可能性があります」

Q.改めて、離婚が成立する可能性があるケースを教えてください。

牧野さん「妻が『女性用風俗』へ行っていた本事例では、性交渉があったことの証明は難しいですが、裁判所は、性交渉があった可能性が高い状況が存在していた証拠があれば、『不貞』があったと認定する可能性があるでしょう。

裁判所が『不貞』があったと認定する可能性がある証拠の例としては、風俗店への出入りを証明する写真、性交渉を持つ関係にある男女間のやり取りとしか思えないメール・LINE・SNSのやり取り、会員証やポイントカードなど風俗店を利用した証拠などがあります」

Q.過去にそういった事例はあったのでしょうか。

牧野さん「男性の風俗店利用の事例はありますが、女性の風俗店利用についても同様の基準で考えることができるでしょう。

また、通常の不倫の場合には、不倫相手に対して慰謝料を請求することができますが、風俗嬢へ慰謝料を請求する点については、令和3年1月18日東京地裁判決では、『風俗店の従業員と利用客との間で性交渉が行われることが,直ちに利用客とその配偶者との婚姻共同生活の平和を害するものとは解し難い』として風俗嬢へ慰謝料の請求を認めませんでした」

オトナンサー編集部

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