1. トップ
  2. 恋愛
  3. 「私だってまだ未熟なのに…」新任教師の指導に悩む中堅の先生の悩みに対し、メンタル激強な保健室の先生が放った力技なアドバイスとは?

「私だってまだ未熟なのに…」新任教師の指導に悩む中堅の先生の悩みに対し、メンタル激強な保健室の先生が放った力技なアドバイスとは?

  • 2024.9.23

『メンタル激強保健医の力技カウンセリング』(霰屋/KADOKAWA)は、保健室の先生が主人公の物語だ。保健室を訪れる人たちの悩みを、クセが強めの言葉でカウンセリングしていく。

主人公・逢沢真人は、女子多めの明美川高校に赴任してきた男性の養護教諭。怪我の手当てなどの体のケアはもちろん、その人が抱える悩みを引き出すのもお手の物だ。しかし、生徒や先生からの相談へのアドバイスは、その激強メンタルから生まれる何とも“力技”な発想だった。

筆者が特に共感できたのは、初めて3年生の担任になった先生の悩みだ。30歳を過ぎ、後輩を指導する立場になった大崎先生。受験や就活に不安を抱える生徒からの悩み相談が止まないうえ、新人育成まですることになってしまった。キャリア的にも「わかりません」「助けてください」とは言いづらい…。共感できる人も多いのではないだろうか。

自分自身でも「未熟」だと感じるのに、上の人間として人の人生や仕事のやり方を教えなければならない。大崎先生は、そんな責任とプレッシャーで押しつぶされそうだった。それでも、生徒のため、後輩のため、こんな自分でもどうすれば「より良い指導」ができるのかと悩んでいたのだ。

想像するだけで胃が痛くなりそうな真剣な悩みに対し、逢沢は「自分を棚に上げればいいんじゃないですか?」とアドバイスする。生徒や保護者から「できないくせに偉そうに」と思われないために、自分ができることしか教えないのはもったいないというのだ。

確かに、人を指導する人が聖人君子のような立派な人である必要はない気がする。逢沢がいう通り、生徒にとって何より大切なのは「自分のために誰よりも真剣に考えてくれる人間」なのだ。例えだらしのない人だったとしても、真剣に向き合ってくれる先生を嫌う生徒は少ないだろう。

本作には、こうした「明日から生きるのが楽になる(かもしれない)」アドバイスがたくさん詰まっている。良い話の余韻を破壊するような“クセが強すぎる”ひと言も楽しめるので、ぜひ本作を読んで逢沢の「力技カウンセリング」を体験してみてもらいたい。

文=ネゴト / 押入れの人

元記事で読む
の記事をもっとみる