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「運命の出会いなんかじゃなかった」“直感”に導かれて結婚した女性たち、数年後に訪れた「後悔」

  • 2024.9.23
直感を信じて結婚…その末路は?
直感を信じて結婚…その末路は?

あなたは普段、自分の「直感」を信じていますか? 生活のあらゆるシーンにおいて「直感」をもとに判断した経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。こと恋愛においても、初対面時に「この人だ」「運命の相手だ」と直感して、そのまま結婚へと至る人は少なからず存在するものです。

“直感で結ばれた夫婦”は果たして、永遠に幸せでいられるのか――。「恋人・夫婦仲相談所」所長の三松真由美さんは、そうした結婚で幸せが続くと思い込むのは「ファンタジー」と断言します。2人の女性の実例から、直感を信じた結婚の現実をひもといていきましょう。

お見合いで出会った男性に「この人!」

平成の時代、「ビビビ婚」という言葉がありました。歌手の松田聖子さんが結婚を決めた理由を「ビビビと来た」と表現したのです。「運命の相手だと直感した」ということでしょう。

初対面時の直感から結婚に至る夫婦は少なからずいます。恋愛や結婚の相手を探す際は本来、五感を研ぎ澄ますことが大事です。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚…どれも恋愛要素に欠くことはできません。ところが、見た目は好きなタイプではない、触れた感じもイマイチ…でも、「この人と一緒にいたい」と五感以外がささやく――。それを「運命の出会い」と感じる人もいます。

五感以外の“第六感”に従って結婚する、いわば「シックスセンス婚」。初対面時に「この人と結婚するかも…」と直感したシックスセンス婚カップルは果たして、永遠に幸せなのでしょうか。実例を紹介します。

信子さん(仮名、60代)は小学生の頃から、「22歳で9歳年上の男性と結婚する」と信じていたそうです。子ども向け雑誌の占いに書いてあったのか、大好きな漫画の主人公がそうだったのか、子ども時代のインプットが彼女の恋愛観を形成しました。

20代前半の時期、信子さんは職場の同僚だった男性にプロポーズされました。当時は「交際の申し込み=結婚を前提としたプロポーズ」だったようです。その同僚はとても優しくて真面目な男性でしたが、年齢は信子さんの3つ上。9歳上ではありません。そのため、信子さんはお断りしたそうです。徹底して運命を信じる性格でした。

その後、信子さんにお見合い話が持ち上がります。その男性はまさかの9歳年上。ワクワクしながらお見合い場所に直行し、会った瞬間、まさに「この人!」とシックスセンスが訴えてきました。そして、2人は結婚します。

彼はいわゆる「THE 昭和男」でした。家事や育児は一切やらず、仕事ばかり。部下を引き連れ、酔っぱらって帰ってきて、部下をもてなすことは日常茶飯事。さらに、モラハラ的な言葉も浴びせます。

しかし、信子さんは「自分が結婚すべき相手と結婚した」と信じ切っていました。3人の子どもたちにも「ママは大好きな相手と結婚したから幸せ。結婚するなら、自分が大好きだと思う人と結婚しないと不幸だよ」と言っていました。

しかし、子どもたちが思春期を迎えた頃のこと。夫の帰りが遅いある晩、一本の電話がかかってきました。娘が出ると、電話の相手は女性。「お母さんいる?」と言われ、信子さんが代わると「あなたの旦那、今どこにいると思う? うちにいるのよ」。電話を切った後、娘たちは「パパはかっこいいし、浮気してもしょうがないよね」と言います。

信子さんは「パパは真面目な人だから、絶対にそんなことしないよ」と言い切りましたが、夫から連絡はなく、眠れない夜を過ごします。翌朝帰ってきた夫を、信子さんはとがめませんでした。

その後、電話はなく、平穏な歳月が過ぎ、子どもたちは成人して独立。信子さんは、義両親の介護のために、夫の実家で暮らすことになりました。

ワンオペ介護の中、また一本の電話が信子さんの携帯にかかってきました。相手は女性で「あんたが健さん(仮名)と離婚しないから、健さんは不幸なのよ。さっさと離婚しなさいよ」と怒鳴る声。動揺した信子さんはすぐ、夫の携帯に電話します。

夫は浮気相手だと認めました。ただ、「さっき別れ話をした」と言います。それに逆上した女性が信子さんに電話してきたのです。

信じてきた夫の裏切り行為によって、過去のいろいろなことも全て信じられなくなった信子さん。夫は謝りましたが、自分の人生全てが否定された気になってしまいました。信子さんは、「裏切り夫の親の介護をするなんて、お人よし過ぎる」と情けなくなり、離婚の道を選びました。

ドラマのようなプロポーズに舞い上がり…

優さん(仮名、40代)は20代前半の頃、現在の夫と合コンで出会いました。合コンの翌日、彼は「付き合おう」と早めの告白。「まだ知り合ったばかりだし、友達からならいいよ」と答えた優さんに、彼は日夜アプローチの電話をし、毎週末、デートに誘いました。そして、4回目のデートで再び「どう? 付き合ってくれない?」と告白します。

すごく好きというわけではないけれど、可もなく不可もなく、「まあいいか」とお付き合いをスタート。その後、彼の優しさや、一途(いちず)に思ってくれるところがうれしくて、優さんも彼をどんどん好きになっていきました。しかし、「彼の方が好きな気持ちが勝っている」とも思っていました。

出会って半年余りたったクリスマスの夜、婚約指輪とともに、ドラマのようなプロポーズをされます。優さんは舞い上がり、すぐに「はい」と返事をしました。出会ってから1年足らずでの結婚です。

結婚後、「どうして私と付き合いたいと思ったの?」と優さんが聞くと、夫は「分からないけど『この人と結婚するな』と直感したから、すぐに『付き合って』と言ったんだ」と答えたそう。つまり、シックスセンス婚です。小さなけんかはあるものの、2人の子どもに恵まれ、家も購入し、幸せな家庭を築きました。

ところが、子どもが10歳と6歳になったある日、青天のへきれきのような事件が起きました。夫が突然、「好きな人ができたから別れてくれ」と告げ、家を出ていったのです。

しばらく別居が続き、その間に夫は好きになったという女性と別れました。しかし、優さんは「この結婚は運命の出会いなんかじゃなかった」と離婚を考えているそうです。

人はお互いに変わっていく

この2組のお話、どうでしょうか。「運命の人」と思っていても、人はお互いに変わっていくもの。持って生まれた性格は変わらないといいますが、周囲の影響や環境の変化で、行動や好みが変わる場合もあります。職場仲間や友人、本、セミナー、宗教…いろいろなフックが出現して思考回路を変えていく場合もありますし、年齢も重ねます。つまり、“キャラ変”する人もいるのです。

浮気性の人が、相手によって一途な体質に変わるという事例を、私は男女問わずいくつも見てきました。今回の2組のように、逆もまたしかりです。「絶対に浮気しないキャラ」の人が突然、家を出ていくこともあるのです。

人は間違いを起こすことがあるもの。自分が起こしたとき、パートナーに起こされたとき、どう行動するかを決めるのは自分自身です。不倫をされたとき、「最低!」と叫んで泣きわめいたり、相手に皿を投げて傷つけたりすることもできれば、相手を寛容な気持ちで許すこともできます。

そんなとき、「自分軸」がないと、いちいち腹を立てたり、無視したりして話し合いが進行しません。生活を共にすれば、相手の嫌なところが目に付くようにもなるでしょうが、そこにばかりフォーカスして、いいところを見つけようとしないのもまた、自分自身です。

「運命の人だから」「シックスセンス婚だから」といって、幸せな結婚が継続できると思い込むのはファンタジーです。“運命の人”と運命的な結婚生活を続けるためには、「自分軸」の強化が必要です。思わぬ事態に備えて、地道に心の自主トレをしておきましょう。

「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美

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