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友人に50万円貸した…ある日、弁護士事務所から「債権調査票」届いた 返金可能か専門家に聞く

  • 2024.9.23
友人に貸した50万円は戻ってくるのでしょうか…
友人に貸した50万円は戻ってくるのでしょうか…

友人に50万円ほどを貸していたら、ある日、代理と名乗る弁護士事務所から「債権調査票」が送られてきた……という実話を耳にしました。そこで、オトナンサー編集部のスタッフが、そのような時はどうすればいいのか、また、返金される可能性があるのかなど、さまざまな疑問について、佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に聞いてみました。

「債権調査票」は、お金を借りている人の借金の種類や残高などを調査する書類

Q.「債権調査票」とはどのようなものなのでしょうか。

佐藤さん「『債権調査票』とは、借金の額が大き過ぎて約束通りに借金を返すことが難しくなった、債務者(お金を借りている人)が債務整理(借金を整理する手続き)をする際、弁護士などから債権者(お金を貸している人)に送られてくる書類です。

債務整理を進めるためには、債務者が誰からどのような借金をして、いくら借金が残っているのかといった情報が必要になります。そこで、債権者に対し『債権調査票』を送付し、借金の種類や残高などを調査します。

Q.よく耳にする「任意整理」「個人再生」「自己破産」の違いを改めて教えてください。

佐藤さん「『任意整理』『個人再生』『自己破産』は、いずれも債務整理です。

『任意整理』は、裁判所を介さず、カード会社などと交渉することにより、将来利息のカットや3~5年の長期分割払いができるように借金を整理する方法です。

一方、『個人再生』と『自己破産』は、裁判所を介して借金を整理する方法になります。『個人再生』は、住宅などの財産を残しながら、借金の元本を大幅にカットする手続きです。借金を返済できないおそれがあることを裁判所に認めてもらい、大幅に減額された借金を3~5年の長期分割で返済していくことになります。

『自己破産』は、借金がゼロになる手続きです。借金を返済できる見込みがないことなどを裁判所に認めてもらい、原則、借金を返す義務を免除してもらうことになります。債務者に財産がある場合、それを換金して債権者に公平に分配し(『破産手続』)、分配後も残った借金について返済義務が免除されることになります(『免責手続』)」

Q.友人に貸していたという50万円は、もう取り戻せないことになるのでしょうか。

佐藤さん「友人から50万円を取り戻すことは難しいでしょう。貸金業者からの借金だけでなく、友人や家族からの借金も自己破産の対象になります。友人が弁護士に自己破産を依頼した後 は、友人はすべての債権者へ返済することができなくなります。そのため、弁護士から受任通知と共に債権調査票が送られてきた段階で、友人に50万円の返済を求めることはできません。

友人の資産に家や車、一定額以上の預金などがある場合には、債権者全員に債権額に応じて公平に分配することになりますが、法人ではなく個人が自己破産する場合、財産がなかったり、少なかったりすることが多く、大きな配当は期待できないでしょう。

保証人をつけていれば、保証人へ請求することが考えられますが、保証人をつけずに友人への信頼から50万円を貸しているケースでは、回収は困難でしょう。また、「借用書」など、金銭の貸し借りの証拠があったとしても、同様の理由により、50万円の回収は困難だと思います」

Q.「債権調査票」が送られてきてしまった場合、どのような対処をすればよいのでしょうか。

佐藤さん「『債権調査票』が送られてきた場合、書式に従い、債権の種類や残高などの情報を書き込み、期限内に送り返しましょう。先述したように、債務者に資産がある場合、債権額に応じた配当を受けることができるので、正確に記載してください。

なお、債権調査票の返送は義務ではなく、債務者の状況によっては、借金の回収をあきらめ、返送しないケースもあります」

「お金の切れ目が縁の切れ目」ということわざがあります。信頼のおける友人であれ、人にお金を貸す際は、慎重にならないといけませんね。

オトナンサー編集部

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