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『光る君へ』は吉高由里子、『スオミの話』には長澤まさみ…人気脚本家“お気に入り俳優”の傾向は?

  • 2024.9.23

人気脚本家ドラマの常連俳優、その傾向は?

大石静氏脚本のNHK大河ドラマ『光る君へ』、クドカン節がさく裂するフジテレビ系『新宿野戦病院』など、昨今放映されている連続ドラマの中でも、実力派の脚本家や監督が手掛ける作品はやはり安定した面白さを見せています。

これらのドラマを見ながら思ってしまうのが、「この脚本家(監督)の作品は、いつも似たような人が出てるよなぁ~」ということ。そんなわけで、有名な脚本家・監督のそれぞれの作品に出演するおなじみの役者さんに注目してみます。

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宮藤官九郎――癖のあるクドカンの世界観にハマる個性派

型にハマらない女性の役はお手の物(C)日刊ゲンダイ
型にハマらない女性の役はお手の物(C)日刊ゲンダイ

9月11日に最終回を迎えた『新宿野戦病院』も評判だったクドカンこと宮藤官九郎。松尾スズキ主宰の劇団・大人計画出身であることから、目立つのは大人計画に所属していたり客演していた役者さんが多いようです。

阿部サダヲ(TBS系『不適切にもほどがある』、NHK『いだてん』)、荒川良々(NHK『あまちゃん』、TBS系『俺の家の話』)、平岩紙(『新宿野戦病院』、TBS系『マンハッタンラブストーリー』)をはじめ、猫背椿、皆川猿時など数え上げたらきりがありません。

大人計画界隈以外で目立つのが、尾美としのり(『あまちゃん』、TBS系『タイガー&ドラゴン』、Netflix『離婚しようよ』)、森下愛子(TBS系『IWGP』『ごめんね!青春』)、薬師丸ひろ子(『あまちゃん』、TBS系『木更津キャッツアイ』)などの個性あふれるベテラン勢。ほか、小泉今日子や長瀬智也などもよく出演しています。

個人的に「この人を見るとクドカン作品だ」という印象が強いのが尾美としのり。どこにでもいるおじさんのようでありながらも、なぜか印象に残ってしまうとぼけたキャラクターがクドカンの世界観にピッタリとハマっています。

2023年前半は、配信で『離婚しようよ』、NHKの再放送で『あまちゃん』、他、クドカン以外の作品ですが地上波のドラマも出演していた関係で、1日中彼の顔を見ていたような気がします。クドカン作品を支える隠れた名バイプレーヤーのひとりです。

大石静――恋愛作品の名手が愛する色気あふれる俳優多し

『光る君へ』では艶めかしいラブシーンも(C)日刊ゲンダイ
『光る君へ』では艶めかしいラブシーンも(C)日刊ゲンダイ

近年の大石静脚本作品の常連と言えば、まず挙げられるのが『光る君へ』でも主演をしている吉高由里子でしょうね。日本テレビ系『知らなくていいコト』、テレビ朝日系『星降る夜に』と、立て続けにヒロインを務めています。

また、大石作品の常連として特筆すべき俳優と言えば、先日までNHK―BSで再放送されていた朝の連続テレビ小説『オードリー』にも出演している段田安則。近年の『光る君へ』、テレビ朝日系『和田家の男たち』はもちろん、出世作のNHK『ふたりっ子』、TBS系『長男の嫁』にも出演し、付き合いの息の長さがうかがえます。

同じく『オードリー』『光る君へ』に出演している佐々木蔵之介も常連と言っても過言ではないほどよく出演していますよね。恋愛ドラマの名手と言われる大石静氏だけに、常連の俳優さんはどことない色気があるのが特徴です。常連俳優さん自身も、なぜか大石作品では他の作品のドラマでは感じない独特の艶っぽさが出ているような…。

段田安則は、他のドラマでは実直でカタブツな中年男性のイメージの役柄が多いですが、『光る君へ』の兼家、『オードリー』『ふたりっ子』の主人公の父親役など大石作品では男としての魅力や人間味あふれる重要な役柄を演じています。

三谷幸喜――長年苦楽をともにする強固なファミリー

コメディエンヌとして評判が高い(C)日刊ゲンダイ
コメディエンヌとして評判が高い(C)日刊ゲンダイ

映画監督として最新作『スオミの話をしよう』も公開された三谷幸喜。映画・ドラマ・演劇にかぎらず、三谷作品では同じ俳優さんを繰り返し使うことで有名です。『スオミ~』でも、2022年に放映されたNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演した役者さんが揃っています。

主要キャストだけでも、長澤まさみ、小林隆、坂東彌十郎、宮澤エマ、瀬戸康史などの顔ぶれ。ほか、西村まさ彦、梶原善、相島一之など主宰していた劇団・東京サンシャインボーイズの盟友たちはもちろんのこと、西田敏行、香取慎吾、大泉洋などが常連俳優として目立ちます。

形式的に「前も起用したから」と役者を当てはめているのではなく、彼の持つコメディの世界観をちゃんと表現してくれる役者さんをちゃんと選んで起用しているのでしょう。

なかでも、梶原善は、三谷作品の映画では皆勤賞だとか。梶原善といえば脱力感ある地味なキャラクターが持ち味ですが、『鎌倉殿の13人』では今までのイメージとはがらりと違うニヒルな仕事人の善治を演じ話題に。「梶原善ならどんな役でもこなしてくれる」という三谷氏の信頼を感じさせます。

また、梶原さんの三谷さんへの忠誠心は絶大で、『鎌倉殿の13人』が向田邦子賞を受賞し、その受賞を祝って梶原さんがスピーチをした際、「三谷さんの脚本が役を引き立たせてくれるように書いていただけているから」と涙ながらに語っていたのが印象的でした。

福田雄一――フレッシュな俳優たちとのざっくばらんな交流も

マンガの実写映画には欠かせない存在に(C)日刊ゲンダイ
マンガの実写映画には欠かせない存在に(C)日刊ゲンダイ

“福田組”という呼称が業界内で当然のように通用しているほど、監督/脚本家・福田雄一の作品には常連の俳優が数多くいます。福田組の風神・雷神も言われているのが、ムロツヨシと佐藤二郎。テレビ東京系『勇者ヨシヒコシリーズ』、日本テレビ系『今日から俺は!』など、代表作には必ずといっていいほど二人が出演しています。

また、山田孝之、賀来賢人、安田顕など常連俳優が多数。また、近年では、橋本環奈、戸塚純貴など若い俳優さん達も、積極的に起用されています。なかでも戸塚純貴は今秋、福田雄一が演出を手掛けるミュージカルにも出演予定です。福田組の顔のひとりとして常連の仲間入りをするのは時間の問題かもしれません。

先日、福田監督が、自身のX(旧Twitter)で「来年、20代の若い役者さん集めた映画を予定してるんですけど、誰か、オススメの役者さんいたら、是非教えてください!」とポストし、多くのフォロワーから推しをすすめる返信が殺到したことが話題になりました。その間違いない個性あふれる作風や役者への面倒見の良さはファンとしても推しをいれさせたい監督さんなのでしょうね。

ただ、そのファミリー感から、少しでも役者さんのことを呟くと単なる番組の感想でも「仕事に関する匂わせなのでは?」「ファミリーに入り?」と疑いが向けられてしまうのが悲しいところです。

信頼感で結ばれた、脚本家と役者の関係

このように、名のある脚本家や監督さんの作品は、キャストの顔ぶれも似通っていることが改めてわかります。その理由として挙げられるのは、やはりお互いの信頼感に尽きます。

監督・脚本家も自分の思い描いた世界に沿った演技をしてくれる役者さんを求めているでしょうし、キャスティングの担当も役者側が「○○さんの作品なら」と受けてくれる可能性が高く安心してオファーしやすい、役者側も未知の場所に飛び込むより作品に信頼を持って役に臨める方がやりやすいでしょう。

これから監督・脚本家と役者さんの関係性に注目しながら、作品を見ていくと新たな発見があるかもしれませんよ。

(小政りょう/ライター)

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