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「バス待ちのときに…」漢みせたJ2千葉MF横山暁之は、サポーターに団結呼びかける

  • 2024.9.22
「バス待ちのときに…」漢みせたJ2千葉MF横山暁之は、サポーターに団結呼びかける
「バス待ちのときに…」漢みせたJ2千葉MF横山暁之は、サポーターに団結呼びかける

Text by ライター

【J2第32節ジェフユナイテッド千葉4-1レノファ山口FC、21日、千葉・フクダ電子アリーナ】

千葉は勝点1差で追いかけていた山口との決戦を制し、J1昇格プレーオフ(PO)圏内の6位に浮上した。大一番を前にしたスタジアムは試合前からボルテージ全開。千葉のサポーターは選手たちを乗せたバスを待ち構え、今季最大級の声援を送った。

とある古参サポーターは「きょうは一発目から声量がすごかった」と、自分たちの応援を振り返った。言わずもがな、選手たちもこの一戦の重要性は理解していたが、のどをからして出迎えたサポーターの姿が、選手たちの覚悟を一層強いものにした。

「バス待ちのときに…」漢みせたJ2千葉MF横山暁之は、サポーターに団結呼びかける
「バス待ちのときに…」漢みせたJ2千葉MF横山暁之は、サポーターに団結呼びかける

この日トップ下で先発出場し、リーグ戦26試合ぶりの得点に感情を爆発させたMF横山暁之(あきゆき)はサポーターへの感謝を口にした。

「バス待ちのときにチャントを歌ってくれたり、ウォーミングアップのときから僕個人のチャントをしてくれていて、とても後押しを感じました」

今季千葉に加入した横山は、シーズン中に何度も得意のドリブルとパスでチャンスに絡んでいたが、なかなか得点やアシストに結びつけられずにいた。背番号16は結果を出すための試行錯誤を続けていたが、チームは天皇杯ラウンド16のJ1北海道コンサドーレ札幌戦を機に、トップ下をMF風間宏矢へとチェンジ。チームはそこから4連勝を飾っていた。

「つらい時期ではあったと思います。人間なのでサポーターの声も気になりますし、結果によって気持ちが左右されてしまうこともありますね」と吐露した。

リーグ戦5試合ぶりのスタメン復帰となった横山のプレーを後押しするように、サポーターは「ヨッコヤマ!」の掛け声を大にした。

「バス待ちのときに…」漢みせたJ2千葉MF横山暁之は、サポーターに団結呼びかける
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声援を受けたトップ下は相手の配置を見ながらピッチを駆け回り、フリーのスペースを見つけては顔を出し続けていた。前からはめようとしてくる山口に対して、背番号16の動きは効果的に働いた。

「ロングボールだけにならず、下からパスを繋いで前進した方がチャンスを多くつくれると思っていたので、相手のボランチとの駆け引きを意識して動き続けました」と、テクニシャンが見せた献身性に、ゴール裏は沸いた。

ビルドアップでチームに貢献した横山は、チャンスメイクでも違いを生み出した。ピッチ中央でボールを受けると、すぐに反転。これまでであればドリブルによる前進を試みていたテクニシャンが真っ先に探した場所は、この日ハットトリックを記録し、J2得点ランキングトップに躍り出たFW小森飛絢(ひいろ)の位置だった。

「自分が1番手ごたえを感じた部分は飛絢との関係です。彼には、僕が前を向いたときは落ちてこないで、裏に抜けてほしいと伝えていました。ただ押し込むだけではなくて、二人だけで攻撃を完結できればいいですし、きょうもカウンターのときに何本かいいスルーパスを出せました」と、エースとの相性に自信を深めた。

残り6試合

待望の瞬間は、後半6分に訪れた。

前半までは中継役としてバイタルエリア付近でのプレーが多かった横山が、“ここぞ”とばかりにゴール前へ侵入した。

背番号16が空けたスペースは攻撃の起点となった。ゴール前中央でボールを受けたDF小川大貴が、ポケットに向かって走るMF田中和樹に絶妙なスルーパスを送った。そのままダイレクトでマイナスぎみに折り返されたボールを、横山は左足でネットに突き刺した。

「バス待ちのときに…」漢みせたJ2千葉MF横山暁之は、サポーターに団結呼びかける
「バス待ちのときに…」漢みせたJ2千葉MF横山暁之は、サポーターに団結呼びかける

「左サイドからうまく突破してくれて、自分もゴール前に入っていけました。飛絢がこぼれ球からよく点を取りますが、あの才能を見ていると、自分もゴール前から常に足を動かしてやり続ける必要があると思っていました」と、エースのプレーが参考になったと明かした。

千葉で「圧倒的な存在になる必要がある」と語っていた漢が、仲間たちの力を借りて結果を残した瞬間だった。横山はゴールを決めるとそのままサポーターが待つゴール裏へまっしぐら。スタンドとピッチを隔てる高い壁をもろともせずに、ゴール裏最前線で応援していたファンに向かって歓喜のジャンプをした。

「思わずやってしまいました。(ゴール裏付近の溝に)落ちそうでしたけど(笑)」と、背番号16の気持ちのいい笑顔がはじけた。

「バス待ちのときに…」漢みせたJ2千葉MF横山暁之は、サポーターに団結呼びかける
「バス待ちのときに…」漢みせたJ2千葉MF横山暁之は、サポーターに団結呼びかける

今季残り6試合。トップ下を務める横山は、16季ぶりのJ1復帰に向けてサポーターに団結を呼びかけた。

「残り6試合。うまくいかないこともある。きょうだって、そんな時間があった。でも僕たちはチャレンジャーなので、リスクを冒して挑戦し続けます。失敗もあるかもしれませんが、チームの一員であるサポーターにはネガティブな発言ではなくて、きょうみたいな鼓舞する声を届けてほしい」

大勝の翌日にクラブが風間宏矢の離脱を発表した。背番号8は左アキレス腱断裂により約6か月間ピッチから遠ざかる予定であり、今季中の復帰は絶望的だ。

それでも同じトップ下を務める今季千葉に加入した漢は、残り試合でやるべき仕事を理解している。

最後の正念場だからこそ、選手たちがチャレンジできる環境をつくりたい。「みんなでカバーをし合おう」と意気込んだ横山は、千葉のサポーターが持つ力の大きさを感じている。16季ぶりのJ1復帰に向けて、過去最高の「WIN BY ALL」が必要だ。

(取材・文 浅野凜太郎)

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