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プロテインフードの正しい選び方&摂り方は?

  • 2024.9.22

タンパク質の合成・分解のサイクルをいかに保つかが、最大の老化対策に

Photo_ aamulya/123rf
Assortment of healthy protein source and body building foodPhoto: aamulya/123rf

今さらではあるけれど。水分と脂分を除くと私たちの体のほとんどはタンパク質でできている。筋肉やさまざまな臓器も皮膚や爪、髪も、主成分はたんぱく質だ。だからこそ重要なのが、三大栄養素のひとつであるタンパク質を栄養として摂取すること。

「私たちの体内で、タンパク質は合成と分解が繰り返されているのですが、年齢を重ねるほど、合成のために分解される量が増える……つまり必要な摂取量が上がるのです。だから高齢者はアスリート並みにタンパク質をたくさん摂ったほうがいいと言われるんですね」と語るのは抗加齢医学や栄養学にも詳しい松宮詩依先生。

「体は筋肉も皮膚も細胞も、酵素もあらゆる組織がタンパク質でできている。食物を分解するための胃酸もタンパク質がないとできないので、いかにうまくタンパク質を取って、合成と分解というサイクルを回すかが生命活動に必須であり、それによって臓器の再生やそれを覆う筋肉を保つことが最大の老化対策なんです」。とはいえ多忙なライフスタイルにあって、必要なタンパク質をコンスタントに食事から摂るのはなかなか難しい。

基本は食事。プロテインはあくまで補助と考える

1日に必要とされるタンパク質の推奨量は、成人女性の場合で約50g。食材に例えると鮭の切り身なら2枚、ゆで卵なら7.7個、納豆10パック、200gの鶏肉なら1.3枚……と、なかなかに手強い量だ。現に、日本人のタンパク質摂取量は減少傾向にあるというデータもある。

そこで手を伸ばすのがプロテインだ。今やスーパーマーケットやオーガニックスーパーにも陳列コーナーがあるほど、身近な存在。体力維持のために筋肉を増やしたい、筋トレの効果アップを図りたい、ダイエットや美容のため、あるいは未来のサルコペニア(筋肉量の減少によって筋力や身体機能が低下した状態)、フレイル(加齢により心身が衰えた状態)予防のためetc.と人によって目的はさまざまだろうが、しかしちょっとお待ちを。あなたが選んでいるプロテイン、本当に体に合っている? その量は? 摂り方は?

「プロテインはあくまで加工品であって、食品ではありません。ですからプロテインを主にタンパク質を摂取しようと考えるのは間違いです。本来、食事でタンパク質を摂るのがナチュラルであり、理想的。ある世界的な調査では、朝ごはんを抜く人は筋肉量が少ないというデータ結果があるので、例えば、どうしても朝食の献立で十分にタンパク質が摂れない場合にプロテインで補うなど、あくまでプロテインは補助で使うという考え方がいいですね」

基本は食事から。それを補う脇役がプロテインと考えるのが鉄則だ。

何由来かによっても違う、プロテインのメリット&デメリット

Photo_ rhj2017/123rf
whey or casein shake, whey smoothie with protein chocolate bar, weight training dumbbell on the side, creatine blend for muscle mass gainPhoto: rhj2017/123rf

プロテインにも原料によって種類がある。牛乳からできている「ホエイ」や「カゼイン」、卵白製の「エッグ」、大豆製の「ソイ」、えんどう豆からなる「ピー」、玄米による「ライス」、そして麻の実から作られる「ヘンプ」。それぞれに消化吸収の速度や注意成分、特徴、そしてアレルギー症状なども異なる。一般的に入手しやすいのがホエイやカゼインが原料の製品だが。

「遺伝子的に日本人の3人に1人は、ホエイの分解に耐性があると言われており、特に女性には分解できない人が多いですね。牛乳系は筋肉を増やすのにはいいのですが、消化しづらいという特徴もあり、またアレルギーの可能性も。プロテインを取ったあとでお腹が張る、というのは分解できていない証拠。体質に合うなら別ですが、牛乳が素材のものを毎日摂るのはすすめられないです」

牛乳はホルモン剤や抗生剤などの問題も気になるポイント。それを含まないという観点から言えば、グラスフェッドのホエイをチョイスするのは手だそうだが、どうやら入手しやすさで選ぶのは問題がありそうだ。

〈左から〉きなこのような香ばしい味わい。CBDを同時摂取することで効率良くタンパク質を吸収し、体全体を健やかに。オーガニックプレミアムヘンププロテイン 400g ¥3,500/エリクシノール(0120-870-420) 栄養価の高いえんどう豆と玄米を独自に配合したヴィーガン認証取得のプロテイン。7つのフレーバーから選べる。アノマプロテイン 抹茶フレーバー 600g ¥6,500/アノマ プロテイン カスタマーサポート (03-6276-5111)
〈左から〉きなこのような香ばしい味わい。CBDを同時摂取することで効率良くタンパク質を吸収し、体全体を健やかに。オーガニックプレミアムヘンププロテイン 400g ¥3,500/エリクシノール(0120-870-420) 栄養価の高いえんどう豆と玄米を独自に配合したヴィーガン認証取得のプロテイン。7つのフレーバーから選べる。アノマプロテイン 抹茶フレーバー 600g ¥6,500/アノマ プロテイン カスタマーサポート (03-6276-5111)

「食事では、肉、卵etc.と色々な食材からタンパク質を摂りますよね。プロテインの原料についても食品のように捉えて何種類か用意して、その日の食事内容を考えて摂るのがいいと思います」。ちなみに松宮先生自身は、オーガニック製の「ピー」「ライス」「ヘンプ」を取り揃え、その日の状況で飲み分けているそう。

「朝食でタンパク質が少なかった日は、グリーンスムージーにプロテインパウダーをミックスするなど、そんな摂り方もおすすめです」

メーカーのこだわりや成分も要チェック!

タンパク質に限らず自分の栄養状態──どの栄養素が足りていないかを知るのは難しいこと。原因不明の体調不良などがあるなら、一度、栄養外来で血液検査を受けるのもいいだろう。いずれにしろ大切なのは自分の体と向き合うこと。

「自分の体の取り扱い方を知り、よく観察しながらバランスをみることが大事です。プロテインを摂るタイミングは自分の体調や食事内容を鑑みて決めて」

量に関しても、多く取ればいいというものではない。適切な量を守ること。過剰摂取はかえって体に負担をかけることになり、危険だ。「タンパク質の過剰摂取は腎臓や肝臓に負担がかかり機能低下を引き起こす可能性があります。また、体臭や口臭の悪化につながることも。消化しきれなかったタンパク質が原因で腸内の悪玉菌が増え、腸内環境が悪化し臭いガスや便の原因となります」

摂取におすすめの時間帯は? 「プロテインは摂取してから分解・再合成に1時間はかかります。これから活動を始める朝や、三食の間に摂る。通常、ランチ後にすぐ運動するのはきついですが、食事に比べ分解・再合成がスピーディなのでプロテインなら30分後に運動しても大丈夫です」

成分チェックも必須だ。容器や包装に記された成分表記で、メインの原料以外の成分も注意したいポイントだ。「プロテイン製品に含まれるタンパク質以外の成分や栄養素もチェックすべきです。人工甘味料などが入っていると血糖値の急上昇を招いたり、膵臓の働きが悪くなったりすることも。野菜の産地を選ぶように、プロテインもメーカーがどういう思いやポリシーで作っているかをチェックしたいものです」

買いやすさだけで求めるのではなく、作り手のこだわりなども把握した上で選ぶのが肝要だ。「プロテインを摂ったら、自分で自分の体調をフィードバックして、以前より体が軽いとか、胃にもたれていないかといったことを観察してから、続けるかどうかを判断する。今、アレルギーが起きていなくても、同じものを過剰に継続するとアレルギーを引き起こす可能性もあります。あくまでも食材の補助として、あまりストイックになるのでなく、栄養バランスをとるために少しいいものを取り入れる。そんな形がいいと思います」

話を聞いたのは……

松宮詩依

美容外科・形成外科・抗加齢医学専門医。医師、アンチエイジングの専門家として活動する傍ら、ダンサー活動と機能性医学の実践を行う。よしき銀座クリニック、東京皮膚科・形成外科勤務。アメリカ機能性医学機構認定医・ピラティスインストラクター。@shiematsumiya @bendingbeauty

Text: Midori Kurihara Editors: Rieko Kosai, Makiko Yoshida

Photo_ belchonock/123RF
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