1. トップ
  2. ヘア
  3. 【元美容師が解説】ヘアカット中、ぜんぜん“関係ない”質問をしてくるワケ 客「…答える必要ある?」

【元美容師が解説】ヘアカット中、ぜんぜん“関係ない”質問をしてくるワケ 客「…答える必要ある?」

  • 2024.9.22
「なんでそんなことまで……」美容師の質問の意図とは?
「なんでそんなことまで……」美容師の質問の意図とは?

美容室へ行ったとき、カウンセリング中や施術中にヘアカットと関係のない質問や会話をフラれた経験はありますか? なぜそんなことまで聞いてくるのかと、疑問に思っている人もいるかもしれません。これについて元美容師の筆者が解説します。

美容師の質問の意図とは?

まず利用客に対する質問は、その人の好みの髪型や似合う髪型に近付けるためにとても重要です。例えば、切りたい長さ、希望の髪型、髪の悩み、家でのヘアケア……といった質問。これらは、その客がどのような髪型を希望しているのかを把握するためのヒアリングであり、理想の髪型を実現するためには欠かせない質問です。

また一方で、美容室でよく聞かれることのある「お仕事は何をされているんですか?」「これからどこか行かれるんですか?」といった、一見ヘアカットと関係のなさそうな質問も、実はヒアリングを兼ねているのです。

こうした質問から客のライフスタイルを知ることにより、似合う髪型を提案したりカット後のスタイリングを決めたりできます。

しかし、それならストレートに「仕事でNGな髪型・髪色はありますか?」「スタイリング剤を使ってもいいですか?」と聞けばいい話でもありますが、これらの質問を通して美容師は客とのコミュニケーションを図ろうともしています。ただ単にNGな長さ、色、スタイリング剤を聞き出す以外にも、相手の人となりや嗜好につながる会話を探っている可能性もあるのです。

とはいえ、髪を切るための美容室でコミュニケーションは必要ないと思う人もいるかもしれません。しかし少しでも美容師と打ち解けることで、「もっと短くしてほしい」「そこは切らないで」といった要望を言いやすくなり、思わぬミスを防ぐなど理想の髪型に近づけやすくなります。

髪型の希望を把握するだけでなく客の話しやすい環境を整えることが、理想の髪型を作る上で大切であり、美容師の重要な役割だと筆者は考えます。

このように美容師からの質問には、ヒアリングとコミュニケーションという目的がありますが、中にはどう考えても髪型とは関係のないことや聞かれたくないことまで突っ込んで聞かれた、という経験をした人もいるかもしれません。

実際のところ美容室ではどのような質問がされるのでしょうか。X(旧ツイッター)を検索すると、

「どこに住んでるの?……って、それ答える必要あります?」「私の趣味の話を聞いてくるけど、どこまで話せばいいか分からない」「担当の美容師さんが毎回、彼氏できた?って聞いてくるから気まずい」

といった声が見られました。こうした、聞いて何になるの?と言いたくなるようなプライベートに関する質問をしてくる理由は、大きく分けて二つあると考えられます。

一つ目の理由は、美容師が「会話は仕事であり、接客の一部」と考えているためです。また、親しくなることで「指名につなげたい」「商品を購入してほしい」といった仕事上の目的から、会話を広げるような質問をすることがあります。

二つ目の理由は、美容師自身が「楽しく会話したい」と思っているためです。もともと人と話すのが好きな性格であったり、個人的に興味を持っている内容であったりした場合、話を聞きたいと思って質問することもあるでしょう。

ただ、どこまでプライベートな話題に踏み込むかは、美容師の人柄や人間性によります。あまりに不快に感じるような質問であれば、無理に答える必要はありません。

さらに、美容師だけでなくアシスタントまで話し掛けてくる場合は、美容室の方針の可能性が高いです。

かつて筆者が勤めていた美容室では「とにかく会話しよう」といった営業方針がありました。また、商品の販売ノルマもあったため、会話を通じて商品を売る必要がありました。もちろん、会話が好きで話し掛けるアシスタントもいますが、アシスタントがしつこく話し掛けてくる場合は、オーナーやスタイリストからの指示かもしれません。

美容師や美容室によって、会話に対する考え方は異なります。美容室によっては「プライベートを聞くのはNG」と、指導されることもあるそうです。

※ ※ ※

近年では会話をしない美容室が話題になったり、予約画面から「会話なし」を選択できる美容室も増えたりしています。髪を切るために行く美容室では、必ずしも楽しい会話が求められるわけではないのかもしれません。

会話をしたくない場合は、カウンセリングシートに「日常会話をしたくない」と記載したり、受付で伝えたりしてみてください。言いにくい場合は、寝たふりをしたり、単行本を持ち込んで本に夢中になったりと態度でそれとなく伝えるのも良いでしょう。

(蛯原もえ香)

元記事で読む
の記事をもっとみる