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「天上天下唯我独尊」の特攻服を着たヤンキー。住職がその意味を知っているかと問うと!? ヤンキーが教えを説く仏教コメディ

  • 2024.9.20

ヤンキーの着ている特攻服には字面の強そうな漢字が並んでいるものだ。例えば「天上天下唯我独尊」。これは仏教由来の言葉だが、そんな漢字のあしらわれた特攻服を着ているヤンキーは、はたして本当にその単語の意味を理解しているのだろうか?

そんな疑問を具現化したのが『ヤンキーと住職』(近藤丸/KADOKAWA)だ。ただし、本作のヤンキーは非常に仏教にくわしく、ヤンキーが住職に対して仏教の教えを説く、立場逆転の仏教コメディなのだ。

主人公の住職が、お寺の仕事がうまくいかず思い悩んでいたとき、たまたま出会ったのが茶髪のリーゼントにサングラス、そして「天上天下唯我独尊」の刺しゅうのはいった特攻服のヤンキー。

住職が「その意味を知っているのか?」と尋ねると、住職以上にくわしい回答が返ってくる。対話をかさねるうちに、いつしか住職は、豊富な知識と深い思慮をもつヤンキーのことを師匠とあがめるようにさえなるのだった……。

いわゆる「ヤンキー」には勉学全般が苦手なイメージがあるものだ。だが、彼らは特攻服などの形で仏教に関連するワードを日々、何気なく身にまとっている。そこから興味を持ちはじめ、住職よりも深い知識を習得してしまったヤンキーがいても不思議ではない。

しかも、過去に一緒にバイクで走っていた友人の死をきっかけに「諸行無常」を感じたり、刑務所から出てきたばかりの友人と「娑婆(しゃば)」について語っていたり。みずからのヤンキー人生を通して、つかみ取ってきた言葉の意味を教えてくれるので説得力も抜群だ。

むずかしい本を読むのは億劫だけれど、仏教にちょっと興味がある人には特にオススメできるし、ちぐはぐなふたりのかけ合いを見ているだけで、菩薩のように笑みを浮かべてしまうことだろう。

そんな「天上天下唯我独尊」(誰とも代わることのできないひとりの人間であり、そのままで尊い)的な尊さを持ちあわせた本作を読んで、ヤンキーの博識さと、仏教の奥深さにぜひふれてみてほしい。

文=ネゴト / たけのこ

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