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子育てが終わったら何が残るのだろう? 『うちの母は今日も大安』は、自分の人生を生きるためのヒントが詰まったお守り本

  • 2024.9.20

毒親、親ガチャといった言葉も聞かれるが、やはり母は偉大だ! と思わされるのが『うちの母は今日も大安』(ありま/KADOKAWA)である。人気刺しゅう作家ありま氏の初コミックエッセイは、著者の母親を中心に描かれた日常のエピソードを通じて、生き方のヒントがもらえる心温まる1冊だ。

夫の転勤で初めて母と離れて暮らすようになった著者。話す相手がいなくて母が認知症になってしまうのではと不安になるも、新しい趣味を始める母の姿にすぐに思い直すこととなる。47歳でバイク免許取得、49歳でフルマラソン挑戦、60歳を過ぎてからの和裁や三味線の習得など、常に新しいことに挑戦し続ける母の姿が生き生きと描かれる。

年を重ねてからもさまざまなことに挑戦する母は「コツコツ」が得意だ。コツコツ続けることが苦手な人でも、イメージを風船にたとえ、同時に複数膨らませていてもいいし、時には距離を置いたっていいという母の考え方は、自分も何か始めてみようかなと思わせてくれる。

前向きな生き方はもちろんだが、「なんでもやればいいじゃん!」がモットーの母から発せられる言葉や考え方がとにかく魅力的。特に、子育てが終わったら何が残るんだろう? ふとそんな不安にかられる子育て中の親にとっては、好きなことを思い出すきっかけをもらえる。また思春期の子どもとの接し方や、悩む子どもへの対応など、育児に関する参考にしたいエピソードが多く含まれており、読むほどにありまさんのお母さんのファンになってしまう。

何事も否定せず、ポジティブに全力で楽しむ魅力的な存在である母に「こんな風に年を重ねたい」と思う人も多いはず。また、自分の母親のことを思い出し、支えてくれた言葉や存在の大切さを再認識する機会にもなるだろう。

本作は、読み終えると幸福感で満たされ、何度でも読み返したくなる「お守り本」と呼ぶにふさわしい作品である。自分の人生を豊かに生きるためのヒントが詰まった本書は、年齢を重ねることへの不安を抱える人や、子育て中でも自分らしい生き方を模索している人にとって、道標となる1冊だ。

文=ネゴト / Ato Hiromi

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