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ジェンダーレス時代の⼦育てって?親に意識してほしいこと

  • 2024.9.20

令和は「ジェンダーレス時代」。ランドセルの色ひとつとっても、男の子は黒、女の子は赤、という時代に育った人にとっては、戸惑いを感じることも多いかもしれません。今回はジェンダーレス時代の子育てについて、大阪教育大学教授で大阪教育大学附属天王寺小学校元校長の小崎恭弘さんに教えてもらいました。

出典:あんふぁんWeb

その人らしさを大切にする社会

読者の皆さんはどのような時代に育ちましたか?現代の社会は男女共同参画の実現を強く求めています。「男女共同参画社会基本法」が制定されたのが1999年。それから四半世紀が経ちました。

「男女共同参画社会基本法」の附則には以下のような文言があります。

「男女共同参画社会の実現を二十一世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付け、社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図っていくことが重要である。」

ちょっと固い文章ではありますが、男女共同社会の実現は最重要課題であるということが述べられています。「男らしく・女らしく」よりも「その人らしさを大切に」ということです。まさに「ジェンダーレス」を求めている社会に対応している法律です。特に子育てにおいてのこの視点は、とても大切だと感じています。

昭和の価値観からの変化

昭和という時代では、男性には「男らしさ」が強く求められてきました。

・男は泣いてはいけない

・男は強くなければいけない

・男は外で稼がなくてはいけない

・男は女に負けられない

挙げればキリがないのですが、このような文化や価値観が社会の一般的な感覚でした。もちろんこれらは裏返せば女性にも同様に存在しており、様々な形でそのような価値観を強要してきました。

特に子育てにおいては「女性として母親が絶対的に担うモノ」とされてきました。つまり男性が育児に関わること自体が考えられておらず、女性が子どもに対する全ての責任と育児を担うことが、当たり前とされていたのです。

しかしそれらの考え方が、社会の中で少しずつですが変化してきました。背景には、共働き家庭の増加や社会の多様化に合わせた文化の多様化、また性別よりもその人の個性や一人一人の想いを大切にする生き方の希求などがあります。

特に令和は、一人一人の人権や個性を尊重する文化が作られてきています。そのような中において、育児に積極的に関わる父親や、子育て自体を楽しむ父親の存在も大切にされ始めています。育児休業の父親の取得率が昨年初めて30%を超えたのは、そのような背景があるからだと思います。そのことはとても素晴らしいことだと感じています。

ジェンダーレス時代に意識してほしい2つのこと

そこでこの「ジェンダーレスの時代」に、パパたちには2つのことを意識してほしいです。

男性として子育てやケアに積極的に関わる

まだまだ昭和のにおいや文化が存在している社会です。特に会社などでは、企業や業種によるかもしれませんが、「男性の育児」自体が行いにくいところもあります。それでも子どもを育てる素晴らしさを大切にしてほしいですし、同時に家族の病や親の介護など、いわゆる人を人がケアをする行為を大切にしてほしいです。それは、自分の生活と家族を大切にするという、人としてとても基本的なことです。

これまで多くの男性は、そのケアから遠ざけられ仕事のみの生き方を求められてきました。それは時としてとてもしんどくまたつらい生活でもあります。これからは父親として仕事と同じくらい家族と、そして自分を大切にしてください。それが“ケアする”ということです。

わが子らしさを大切にしてあげる

わが子を性別だけでいろいろと判断したり、区分したりするのではなく、その子の本質や個性を大切にしてあげてください。やんちゃな女の子もいます。またおとなしい男の子もいます。以前にはそのような「男の子らしくない男の子」「女の子らしくない女の子」の振る舞いや価値観は、否定的に捉えられた時代がありました。男の子がピンクを好んだり、女の子がスポーツを好んだりすることが、許されにくい社会でした。

しかし子ども達の感性や可能性は無限のものであり、決してその可能性を大人が狭めたり否定をしたりはできないと思います。ましてそこに古い価値観や慣習が影響するのは、もったいないですし残念なことです。わが子の成長と可能性を信じてあげましょう。「男の子なんだから…」「女の子なんだから…」で、生き方の幅を狭めないように、広く大きく構えて受け止めてあげてくださいね。

教えてくれたのは

出典:あんふぁんWeb

小崎恭弘さん

大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校元校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。

▶http://kasei.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/teachers/5.html

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