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世界からお届け!SDGs通信 トロント編。教育格差を埋める、本のシェアサービス

  • 2024.9.21
世界からお届け!SDGs通信トロント編。教育格差を埋める、本のシェアサービス。

気に入った本はもらえる!寄付で成り立つ、子供のためのBOOK BANK

トロントに3カ所ある〈THE CHILDREN’S BOOK BANK〉は18歳以下なら誰でも訪れることができる少し特別な本のシェア施設。返却が必要な図書館とは違い、一回の来訪につき気に入った本を一冊自分のものにできる。予約も登録もいらず、毎日訪れてもいい。

カナダの義務教育制度は整っているが、習い事やサマーキャンプは高額かつ何を買おうにも物価が高く、家庭環境による教育格差は必然的に開いてしまう。〈THE CHILDREN’S BOOK BANK〉はどんな環境の子供にも本だけは平等に与えたいという、企業や個人の財団からのドネーションで成り立つ。

たとえばカナダ最大の子供向け書籍出版社SCHOLASTICは彼らに5年以上の支援を続けており、2024年だけでも3万冊の書籍を寄付。トロントに拠点を置く大手児童書籍出版社Annick Pressは今年の7月に3万5000冊の書籍を寄付し、一度の寄付の最大冊数を更新した。

個人寄付も定期的に受け入れており、新品同様または新品の本のみ受け入れ可能だ。BOOK BANKから識字センターや各種保護施設などへさらなるドネーションも行い寄付の循環も生まれている。

学校の遠足地としても人気で、生徒一人一人が好きな本を選ぶ時間はエキサイティング。本を買ってもらう経験が少ない子には特別な体験だ。子供同士で新たなシェアも生まれるだろうし、それぞれが本に思い出を宿していくことだろう。

Annick Pressが35,411冊の新品の本を寄贈
Annick Pressが35,411冊の新品の本を寄贈。©️THE CHILDREN’S BOOK BANK
貰った本にはラベルかスタンプを押してもらえる
貰った本にはラベルかスタンプを押してもらえる。自分の名前も書ける。
充実の読書スペース
充実の読書スペース。赤ちゃん用のおもちゃもある。
夏休みの来訪回数を競い合う
夏休みの来訪回数を競い合う。優勝者はメダルをもらえる。

Information

THE CHILDRENS BOOK BANK

2008年に非営利団体として設立。個人、企業、財団からの寄付により運営されており、これまでに150万冊以上の本を子供たちに無料で提供してきた。読み書き率の向上に伴う社会経済の成長を目指す。

HP:https://www.childrensbookbank.com/

profile

松井葉月

まつい・はつき/ライター。米系オーガニックコスメ会社のマーケティング・PRを経て2017年よりエルサレム、2022年からトロントに在住。主に持続可能性のあるプロダクト・テクノロジーの記事をてがける。

Instagram:@hatsuki_matsui

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