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ハタチの私へ。29歳の私は「20代をやり切った」と思えているよ

  • 2024.9.20

来年で30歳になる。なので「かがみよかがみ」に投稿できなくなる。

29歳の今年、自分の心に大きな変化が起きた。20代の間ずっとモヤモヤしていたことが、スッと思わぬ形となり落ち着いたのだ。その変化を、「かがみよかがみ」に投稿できなくなる前に書き残しておきたいと思う。

◎ ◎

その心持ちとは「私は20代を自分のためにやり切ったな」という達成感である。
こんな思いを29歳になった自分が抱くとは、10代でも20代中頃でも全くもって想定していなかった。この心持ちの大事なポイントは「自分のために」である。

私は20代が3回欲しいと常々思っていた。
大学院など自分の勉強のため、働いてキャリアを積むため、妊娠出産というライフイベントを過ごすための3回。

でも20代は3回来ないし、この3つを、たったの10年に詰め込むことは難しい。いや、正確には詰め込めるのだけど、3つ全部を満足にできるとは到底思えない。若いうちに子供を産んでおいた方が自分の身体的にも両親にとっても良いともわかっている、でも若いうちにしか仕事は無茶ができないだろうし、転職や旅行も身軽な単身のうちにしておきたいし、自己研鑽の学びも自分に時間を使えるうちに好きなことを好きなだけ学んでおきたいと思っていた。

◎ ◎

20代を3回過ごせないなら、どうしたらいいのか。
24歳くらいに私は「20代を自分のために使う」と決めた。
「自分のために」とは具体的に何かというと、子どもを産んで親になる選択を捨てること。家族のことを考えて自分の仕事や学びの選択肢を狭めないこと。

だから子どもを欲しいとは今思えない、そしてあなたの転職先が遠い場所だからと私の仕事を辞めてついていくこともしない、とパートナーに伝えていた。この思いを受け止め、「やりたいことをやってくれていたらいいよ」と言ってくれた彼に支えられていた。

「自分のために使う」と思い始めたものの、私は焦っていた。自分のため、と思っておきながら、いろいろなことを私はしっかりとやり切れているだろうか?何者かになることはできるのだろうか?“ただの普通の人”で終わらないだろうか?「自分のために」と“大見栄を張った”のに結局何も形にならなかったらどうしよう。

◎ ◎

職歴に書くとしたら大学を卒業後に大学院に進学し、自分のやりたかったテーマで英語論文を書いた。臨床経験を積みたいと病院で医療職として働いた。その後思い切ってベンチャー企業に飛び込んだ。28歳できっと新しい業界への転職の最後のチャンスだと思い、営業職に転職した。プライベートでは長年付き合った彼と結婚した。

でも頑張りすぎると、どこかでガタがくる。一時仕事を休職したり、論文を書きながらもカウンセリングに通院したり、新人の頃に腎炎で倒れて入院したりした。

振り返ればできるだけ後から思い返して合っていると信じられることを選びたいと思い、その時の精一杯を選んできた。でもこんなのまるで空回りだ、全然うまくいっていないと悲しくなることもあった。頑張り切れず、心身疲れて倒れてしまうような時には、特に。順風満帆とは何かをずっと考えた。同じ仕事を続ける友人や、子どもにも恵まれた友人を見て、「自分のために」は正しかったのかとも考えた。

◎ ◎

20代後半、そうやってどこかモヤモヤとしていたのだが、29歳の今年、ふっと「私頑張ったな」と思える時がきた。

小さくても私だけのキャリアを歩んでいること、色々な話ができるパートナーがいること、ガタがきてしまった時に頼れる家族や友人がいること、興味があることに関連し繋がった知人がいること。まだ明確に何か成し遂げたわけでもないけれど、10年考えながら過ごしてきた自分がいて、それで一旦十分じゃないか、と何か腑に落ちた気がした。30歳が見えてきた時、自分は焦ったり心配になるのではないかと思ったけれど、そうじゃなかった。

一つのきっかけになった、今朝ドラの「虎に翼」で、優三さんが主人公の寅子に語りかけるシーンの言葉がある。

「トラちゃんが僕にできることは謝ることじゃないよ。トラちゃんができるのは、トラちゃんの好きに生きることです。また弁護士をしてもいい、別の仕事を始めてもいい、優未のいいお母さんでいてもいい。僕の大好きな、あの何かに無我夢中になってるときのトラちゃんの顔をして、何かを頑張ってくれること。いや、やっぱり頑張らなくてもいい。トラちゃんが後悔せず、心から人生をやり切ってくれること。それが僕の望みです」(引用:NHK 連続テレビ小説『虎に翼』心に響く名言ブック)

頑張らなくてもいい、後悔せず、心から人生をやり切ること。

“頑張らなくてもいい“というその言葉がとても嬉しかった。そして同じような言葉をパートナーも家族も私にかけてくれていたことを思い出した。「自分のために20代を過ごす」という自分の思い自体に後悔をしていないし、やれるだけ頑張ったのだし、弱いところもたくさん見せたしかっこよくなんてなかったけれど、やり切ったことに間違いはない。

◎ ◎

「自分のため」に過ごした20代、やり切ったという達成感を感じることができた。次の30代はどう生きていこうか。

まだ何者でもないし、同じようにいつも考えて悩みながら過ごしていくんだと思う。
「誰かのために」生きる目標を立ててみようか、まだわからない。“頑張らなくてもいい”という言葉に甘えてしまいたい気持ちもある。でも、やっぱり人生をやり切りたい。

人生は計画通りにいけるとは思っていない。自分はこうしたいな、こうなっていたいな、と言う正直な思いは持ち続けながら、今後は時々にその思いを大事な人と話し合って相談して決めていきたいと思っている。

ハタチの焦っていた自分に伝えたい。ずっと焦ったり不安になり続けるだろうけれど、29歳の私は20代をやり切ったと思えるようになったよ、と。

■ばんびのプロフィール
新米助産師。女性が生涯を通じて健康でいてほしい、そのためにどんな支援や関わりができるか考えています。好きなものはジブリ。

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