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ひさびさに会えたあの子の、見たことのない横顔。ざわつく心を伏せて、彼女の幸せを願った

  • 2024.9.21

本当にひさひざに、とある友達に会いました。

離れた土地で就職した彼女といつかは会いたいねと連絡していたのですが急遽タイミングが合い、そういえばその子とは一度も遊んだことがなかったことに気づきました。学生時代は同じクラスで仲良くしてくれて、たまにインスタのDMをするくらい。元気にしているのかなとふと考えていたので、会えるのを心待ちにしていたのです。

◎ ◎

最初は若干のぎこちなさがあったものの、すぐにけらけら笑いながらおしゃべりしていました。そうだこの子とはこんな感じだったよね。
どんな仕事してるの?とか最近のことを言い合って、次第に思い出話に花を咲かせました。えーそうだったっけ?とか、あー覚えてるとか、話しているうちにたくさん思い出して懐かしい気分です。

私はその子との出会いのことをすごく覚えていて、何だか仲良くなれそうな子だな〜とぼんやり感じていたのでした。言葉では言い表せないけれど心地の良い空気感。仲の良い友達もグループも全然違うけど、なんか一緒にいると落ち着く感じ。なんで学生の頃遊ぼうってならなかったんだろう?と思うぐらい。無言も苦痛にならなくて、またこの子に巡り会えてよかったなと嬉しい気持ちです。

その子と私との間で大きなエピソードは特にないのですが、とても些細でくだらなくて楽しかった出来事があります。パリッとした制服に黒髪で化粧っけのなかったおこちゃまの頃に引き戻されて、ほんと社会人になったなんて信じられないよねと5回くらい言っていました。

◎ ◎

ふと流れで恋愛の話に。彼女には今好きな人がいるらしく、頑張って口説き落としているそう。就職を機に親元を離れてから、いろんなことがあったんだ〜とはにかみながらいう彼女の横顔を見つめます。

その口説き落としている相手、よくよく聞いてみるとだいぶ自分勝手なやつなのです。相手の好意にあぐらをかいてうまく利用するような、私の大嫌いなタイプ。

でも好きになってしまったのならしょうがないし、私に止める権利もないのです。その子からしたら彼とすごく気が合うらしいのですが、自分の利益しか考えてないようなやつじゃんと喉元まで出かかります。そんなやつに傷つけられてほしくないけど、やめときなよとも言えない。というか多分言っても意味がない気がします。彼女もそいつがひどいやつだってことはわかっているのです。

過去、彼女が好きだった人の話にもなりました。それもまた、先の彼のような傍若無人なやつで。平気で人の気持ちを蔑ろにするような人のどこがいいのか全くわからない。なんでそんな男の人ばっかり好きになるんだろう?と口には出せないモヤモヤで私の心が覆い尽くされます。

◎ ◎

私がそんなやつやめときなよと言えないのは、彼女との再会が久しぶりだからという理由だけではありません。ほとんど誰かを好きになったことない私が口出しする権利はないんじゃないかという後ろめたさがあるからです。まともに誰かと向き合うのが怖くて、バリアを張り心の奥底に入ってこないようにしている私。対して、傷つくと分かっていても好きな人にまっすぐ向き合う彼女の姿は頼もしくて眩しいのです。

6年ぶりに会って、私の知らない彼女を見てしまった気がして、それを受け止めきれなくて。でもいつまでも変わらないのは私の方かもしれません。それに、彼女の全てを知っている気になっている時点でとても傲慢だなあと、自分に呆れます。

一通り話し終えたあと、彼女は「こんな私の話ばっかりしちゃってごめんね」と言いました。歴代の自分勝手野郎じゃなくて、あなたのことを本当に大事にしてくれる人とどうか幸せになってほしいと思いながら「そんなことないよ」と答えます。

◎ ◎

会ってくれてありがとう。次またいつ会えるかわからないけれど。すごく良いタイミングで、たくさん話ができて本当に楽しかったのは紛れもありません。

彼女を傷つけるそいつらには、悪霊退散!とこっそり念を送っておきます。

■ななころびのプロフィール
中高女子校で育ち、大学は絶対に共学!と思って入学するもなんだかちょっとしんどい。現在も変わらずしんどい心と身体に鞭打って、会社員をしています。

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