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小籔千豊が「コヤソニ」を続ける意味、大人たちに否定された過去

  • 2024.9.20

お笑い芸人・小籔千豊が主宰をつとめる、音楽とお笑いを融合させたフェス『KOYABU SONIC 2024』が9月14日から16日まで、「インテックス大阪」(大阪市住之江)で開催される。

2008年にスタートし、今や大阪を代表するフェスへと成長。2023年からは世界的な人気ゲーム『フォートナイト』のエリアを新設するなど、進化し続けている。今回はそんな『コヤソニ』をおこなう原動力などについて、小籔に話を訊いた。(取材・文/田辺ユウキ)

お笑い芸人・小籔千豊

■ 千鳥のノブが「ずっと出たいんですけど」って(小籔)

「KOYABU SONIC 2024」のプロモーションも一人でこなす小籔

──5月におこなわれた『KOYABU SONIC 2024』の記者会見で、小籔さんが「こんな調子にのったイベントをいつまでやんのかなという不安もある」とおっしゃっていたのが印象的でした。

『コヤソニ』の最初のころは、レイザーラモンと組んでいた下ネタラップグループ「ビッグポルノ」を大きくするために、吉本の社員さんらにも「すんません、これを流行らせたいんでお願いします」というモチベーションでやっていました。ビッグポルノ解散後は、座長をやっていた「吉本新喜劇」を知ってもらうためにやっていたけど、それも退いてからは「自分にとって『コヤソニ』をやる意味はなんなのか」と考えることがあって。

あと、たとえば出演する芸人も、『コヤソニ』のステージが終わったらすぐ飛び出して、劇場公演へ行ったりせなあかんし。吉本の社員さん含め、みんな『コヤソニ』があるから仕事量も増えてしまい、「迷惑をかけてるんちゃうかな」と思うんですよね。

──でも、例えば笑い飯さんなんかは毎年出演していますし、ある意味『コヤソニ』を1年のスケジュールの中心のひとつとして捉えていらっしゃるように思えます。

いえいえ、笑い飯は義理堅くて仲間思いやから、きっと「小籔が言うなら」ってことですよ。中川家さんかって、「小籔が直で言ってくるからな」ということやろうし。千鳥とか売れっ子たちについては「忙しいから出てもらうのも悪い」となって、2023年はオファーしなかったんです。そうしたらノブが「僕らってもう『コヤソニ』に出れないんですか? ずっと出たいんですけど」と言ってくれて。大悟とは話してなかったけど、ノブがそう言うなら出てもらおうかってなって(笑)。

──そんなエピソードがあったんですね!

で、千鳥がそう言ってくれるなら、かまいたち、ダイアンも、もろとも出てもらおうかとなったんです。でも基本的には「みんな、出たいなんて思ってないやろ」という風に考えておかんと、こっちの都合のええ感情でオファーをするのは厚かましすぎる。だから昔から知っている人であっても、後輩であっても「今年出演してほしいです」ということを相手にちゃんと伝えましょうと、会議のときも話をしていますね。

──ただ、そういった小籔さんの気づかいもあり『コヤソニ』は回を重ねるごとに充実度が増している気がします。特に家族で楽しめるフェスになったのは大きいですよね。

もともとうちの家族も『コヤソニ』にずっと来ていたんですけど、子どもがウロウロできるくらい大きくなったタイミングで、「じゃあ滑り台でも作ろうか」と置いてみたんです。そうしたらうちの子が、2回くらい滑って「飽きた」となって。そのときの滑り台は本当に簡易なものだったんですね。うちの子がそう感じたということは、よその子もきっと同じはず。だから、どうやったら子どもが楽しめるか改めて練り直しました。

──心から楽しめるように、と。

で、うちの子がテーマパークへ行ったらピョンピョン飛び跳ねる遊具が好きだったから、お金はかかるんですけど、それを取り入れたんです。そうしたらみんな遊んでくれて。ほかにも、30年くらい前から僕のファンでいてくれる人らとメール交換して、『コヤソニ』が終わったら「忌憚のない意見をください、なんなら悪いところを言って」と。そういう風にして改善箇所を見つけていきました。

──先ほど「自分にとって『コヤソニ』をやる意味」について話していらっしゃいましたが、その点では、小籔さんが好きなゲーム『フォートナイト』のエリアを2023年からスタートさせましたね。

1回目はお客さんの数が想定より少なくて。最初やったんで、きっとイメージが湧きづらかったはず。でも今回は割と早めに売り切れました。『コヤソニ』が続くかどうかは別として、3年、5年とやっていけばもっと良いエリアになる気がします。

──小籔さんは、日本の『フォートナイト』の競技人口がもっと増えてほしいと常々おっしゃっていますね。

ゲームってやっぱり、負けたら「おもんないな」となる人が多いし、新しいゲームが発売されるとそっちへ流れたりする。特に『フォートナイト』は小中学生が中心層なので。だから競技人口を広げるのも難しいと思うんです。でも競技人口が減ると、僕が『フォートナイト』をプレイするとき、(ネット対戦の)マッチングがしづらくなるんです。平日夜中とか1時間待っても全然マッチングしなかったりするし。自分がずっと『フォートナイト』をやり続けるために、競技人口を増やす活動をしています。

──自分がやるためなんですね!

そう、お金のためでも、仕事のためでもなく。だから新喜劇内でも、すっちー、川畑(泰史)さんらに「あんたらもやりなはれ」とNintendo Switchを勧めて、宇都宮(まき)、諸見(諸見里大介)、吉田(裕)もそれを知って「そんなにおもろいんですか」となって。みんな台本をやらなあかんのに、『フォートナイト』をやり出したんですよね(笑)。

■ 「見とけよ、お前ら」という気持ちで(小籔)

──『コヤソニ』を始めるきっかけになった「ビッグポルノ」は、いずれ復活はないんですか? 2014年、レイザーラモンのRGさんとの「教育方針の不一致」で解散してちょうど10年。それぞれのお子さまも大きくなってきたら、下ネタラップをやることへの理解も出てくるんじゃないかなって。

そこはレイザーラモン次第ですね。僕は全然、嫌じゃないんで。でもあそこは2人とも今、すごく忙しいですから。ただ、ビッグポルノって最初は会社の人らにもめっちゃナメられていて、そのときの経験や光景をいまだに思い出すことがあります。

──具体的にどんなことが?

100人キャパの会場でライブをやるときも、「それは自分らでやってくれ」と。グッズをひとつ作るのも細かくチェックする会社なのに、「ビッグポルノ」はそうじゃなかった。もちろん会社としては、わけの分からんもんに関わりづらいですから、そうなるのは当然のこと。しかも下ネタのラップグループなんで。だから当時、会場探しも、小道具の準備もやって、舞台監督さんもこっちで頼んで、照明さんらとの話も全部やりました。その悔しさをモチベーションにして、「いつか3人で1000人以上のところを埋めたるぞ」と目標を立てて、実現させたんです。

──それが『コヤソニ』をはじめとする、小籔さんの「イベント作り」のまさに原点になった気がします。

「ビッグポルノ」についてはそういう戦いがありました。「大人の世界やから仕方ない」ということもいっぱいありましたし。そのなかでの「見とけよ、お前ら。否定したことを絶対に後悔させたるからな!」という気持ちは、『コヤソニ』の規模が大きくなってもやっぱり持ち続けていますね。

「えげつないアーティスト、えげつない芸人、えげつないフォートナイト配信者の方々に集まって頂いております」とアピールする小籔。「毎年同じクオリティでやる」のがモットーとのこと

──『コヤソニ』の成り立ちをあらためてうかがいましたが、そんな2024年開催で特に注目したいのが、9月15日のコヤソニSPセッション(わかざえもん、赤飯、小籔、KSUKE)のライブステージです。

僕以外の3人が在籍していたコロナナモレモモ(マキシマム ザ ホルモン2号店)が2024年2月に活動終了して。2023年の『コヤソニ』にも出てもらったから、「もう見れへんのか」と残念に思っていたんです。でもそれやったらそれぞれを一人のミュージシャンとして呼んで、「このメンバーでやってくださいという形やったらどうやろう」と反則なことを考えたら、まさかのOKしてくれて。だからあくまで「コピバン」です。

ただ僕は、一人のファンとして普通に3人のステージを見たかっただけやのに、赤飯さんから「小籔さん、ドラムを叩いてください。わかざえもんさんもそう言っています」と頼まれたんです。出演者さんの希望なんでそこは断れへんかったけど、こんなすごい人らと一緒に演奏するのはほんまに嫌なんです・・・。

──ハハハ(笑)。

最近はずっとその練習ばかりしていて。ですので、みなさんが思っているほど僕はコヤソニSPセッションは楽しみではないです(笑)。僕が今回、ほんまに楽しみなのはコロッケさんです!

『KOYABU SONIC 2024』は、9月14〜16日の3日間、「インテックス大阪」(大阪市住之江区)にて開催される。出演者などの詳細は公式サイトにて、チケット発売中。

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