1. トップ
  2. 恋愛
  3. 70歳独身男、はじめての子育てでどうなる!?想定外だらけの3歳児とのドタバタ共同生活

70歳独身男、はじめての子育てでどうなる!?想定外だらけの3歳児とのドタバタ共同生活

  • 2024.9.19

ひとり暮らしの独身男性70歳。子育て経験ほとんどなし。そんな男性が突如として3歳の女の子を養育しなければならないとしたらどうなるだろうか?

そこには想像のとおり様々な問題が起こる。でも周りの人たちの協力を得ながら、そんなトラブルを愛情をもって乗りこえていくハートウォーミングな物語が本作『ハルとゲン 〜70歳、はじめての子育て〜』(大島由果/KADOKAWA)だ。

主人公のゲンは70歳の男性。離婚して現在はひとり暮らし。サクラという名の娘がいるが、まだ小さいころに離婚し、妻のほうに引きとられたため、ほとんど育児の経験はない。そんなゲンのもとに、ある日突然、サクラから電話が入る。その電話で自分は余命3カ月であること、ハルという娘がおり、自分が亡くなったあとハルを養育してほしいことを告げられるのだ。

その言葉のとおり遠からずサクラは亡くなってしまい、満足に準備する時間も与えられないままゲンは、孫にあたる3歳の女の子を育てていくことになるのだった。

ゲンの子育ては容易にはいかない。経験があっても簡単ではないのに、経験もない高齢の男性がひとりで子育てするのが大変でないはずがない。

それは精神的な面でもそうだ。第2話にハルが遊んでいてゲンの大切にしていたツボを割りそうになるエピソードがあり、ゲンはツボと一緒に倒れそうになったハルを見て、思わずツボのほうを心配してしまう。

落語に「厩火事(うまやかじ)」という話がある。壊れたツボと倒れた妻、どちらを先に心配するかで、その愛をはかろうとする話だ。そんな有名な落語になぞらえ、ゲンの心の奥底ではいまだハルを「大切なもの」として受けいれられていない姿が描かれている。

いたらないスタートラインが描かれているからこそ、そこから時間をかけ本当に大切な家族になっていく様が胸をうつ。周囲の人間もそんなゲンを積極的に助けてくれる。そしてハルとすごすことで娘のサクラの面影を感じる場面もあり、家族の温かさ、周囲の人たちの温かさを感じることができる作品になっているのだ。

子育てを経験したことがある人も、そうではない人もゲンとハルの行く末を見守ってほしい。

元記事で読む
の記事をもっとみる