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ミスターイット、親密な空間で行われた最終フィッティング【2025年春夏 東京コレクション】

  • 2024.9.19

楽天ファッション・ウィーク東京が閉幕してちょうど1週間が経ち、ロンドンコレクション真っ最中の9月14日、東京拠点のミスターイット(MISTER IT.)が東京・代々木のTEN10 STUDIOにてプレゼンテーション形式で2025年春夏コレクションを発表。どこか親密な雰囲気を醸す会場にゲストたちを招き入れた。

地下一階の会場へ向かう階段を降り廊下を進むと、先シーズンのブランド初のショーに登場したウール地に包まれた自転車が置かれており、その奥に位置するプレゼンテーションが披露される空間の両端には座席とスタンディング席、中央にモデルが歩くスペースがあり、こぢんまりとはしているものの、いわゆるランウェイショーの会場のように仕立てられていた。

2024-25年秋冬の“クチュール リズム”と題したランウェイでは、強みであるクチュールのテクニックを駆使しブランドの世界観を存分に披露した。今シーズン、デザイナーの砂川卓也は「ブランドが何をしたいか、どういう考えを持って洋服を作っているか」を伝えたいと着席するゲストに向けて語った。“オープン フィッティング”と題されたプレゼンテーションは、ショーの前日に大事な人達を招き、最終フィッティングを一緒にチェックしていくというコンセプトで、砂川が各ルックの最終調整を行った後、モデルがゲストの前を歩いていく。

ファーストルックのホワイトのシャツドレスは、表紙に来場者それぞれの名前が書かれた約45ページのブック(とショー中に流れた各ルックを説明する音声)によれば、ブランドを周囲の人達に広めてくれるNadineのためのアイテムで、PRチケットがたくさん入るマチ付きポケットをデザインし、5ルック目のインド産テーブルクロスの刺しゅうの要素を取り入れたチェックシャツは、インド出身のSylviaの夫Amnayeに向けたもの──。というように、ミスターイットは大切な友人や身近な人々にインスピレーションを得ている。砂川は「ブランドが成長したとしても作り方は絶対変えずに、とことん人のことを考えて作り続けていきたいです」と話した。

そして、曽祖父の代からスカーフを作る仕事を営む家系に生まれた砂川らしいスカーフ製のドレスをはじめ、デザイナーのルーツでもある奄美大島の泥染職人によって繰り返し染色されたアイテム、立体裁断で作り上げたクチュールのシルエットを日常的に着られるよう仕上げたTシャツドレスやシグネチャーともいえるハートのモチーフを用いたドレスシャツなど、これまでブランドが取り入れてきた多様なエッセンスも多分に織り交ぜた21ルックが登場し、デザイナーの挨拶と共に幕を閉じた。周囲の人々や自身のバックグラウンドへの愛が伝わる丁寧なプレゼンテーションは、終了後の会場を和やかなムードに包み込んでいた。

Photos: Courtesy of MISTER IT.

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