ショーン・コムズ、恐喝と性行為目的の人身売買で逮捕

ショーン・“ディディ”・コムズが恐喝と性行為目的の人身売買で逮捕、起訴された。9月17日（現地時間）にニューヨークの裁判所で行われた罪状認否で、コムズは無罪を主張し、弁護士のマーク・アニフィロはマイアミの不動産を担保にして保釈金5000万ドル（約70億円）を用意すると訴えたが、裁判官は保釈を認めず、判決が下るまで拘留される見通しとなった。

起訴状によると、コムズは長年にわたり、女性に対して暴力、虐待、意思に反することを強要する行為を行ってきたという。数日間にも及ぶ「フリーク・オフス」という乱交パーティーを主催して、女性たちに男性セックスワーカーとの性行為を強要し、その様子をカメラに収めることもあったとされる。検察では、この「フリーク・オフ」を「練り上げたセックスパフォーマンス」と表現しており、女性たちはケタミンなど薬物を与えられ、パーティー後には回復のために点滴を受ける必要があったそうだ。「フリーク・オフ」は2009年から2024年まで行われていたことを確認し、目撃者や被害者の証言を得ているほか、ホテルの記録や使用された備品、録画映像も入手したとしている。

また、コムズは女性たちに対し、殴る、蹴る、髪をつかんで引きずるなど、暴力行為を行った容疑、そして2011年に彼と仲間がある人物に銃を突き付けて誘拐し、別の人物の車に火炎瓶を投げつけて炎上させた容疑でも起訴されている。この日の法廷では、2016年にコムズが当時の恋人でR&Bシンガーのキャシーに対し、ホテルの廊下で暴行する映像も公開された。コムズは2024年に映像が流出すると謝罪したが、それまでは否定し続けていたことを検察は指摘し、「隠蔽のために嘘をついてきた」過去があると主張。さらに、コムズがホテルの警備員に口を閉ざすよう金銭を渡そうと試みたが、警備員に拒否されたとも訴えた。

これに対し、コムズの弁護士は「フリーク・オフス」は完全なる同意のもと行われたとし、参加者は「望んでその場にいた」ため性行為目的の人身売買などなかった、政府が「男の寝室に侵入している」と反論。キャシーに対する暴力を捉えた映像は、人身売買とは何の関係もなく、むしろ「コムズ氏が複数の恋人を持っていたために、捕らえられたことの証拠である」と訴えた。

なお、コムズは有罪となれば、最低で15年の実刑、終身刑となる可能性もある。

Text: Tae Terai