この恋は期限付き。余命宣告されたふたりの儚い純愛ストーリー『余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話』

慌ただしい日々に、体も心も少し疲れたなと感じた時におすすめしたいのが、Netflixでも映像化された話題作のコミカライズ『余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話』（沖野れん：漫画、森田碧：原作/KADOKAWA）だ。切なくも美しい物語から得られる感動は、あなたの心を癒してくれるだろう。

高校生の早坂秋人（はやさかあきと）は心臓病で余命一年と宣告される。絶望で投げやりになっていた秋人は、通院先の病院で桜井春奈（さくらいはるな）と出会う。春奈もまた余命宣告を受けており、秋人より短い半年の命だった。限られた時間を共に過ごす中で、ふたりは愛を育んでいく。

余命を受け入れられず投げやりになっていた秋人。彼は余命を受け入れた春奈と出会うことで少しずつ変わっていく。残された時間の中で何をしたいのか、春奈と向き合う中で自分自身の想いとも向き合っていく。

変わっていくのは秋人だけではない。春奈もまた秋人と出会うことで変わっていく。諦めて終わりに向かっていた自分から、強く1日1日を生きる自分になろうと。ふたりは互いの存在を支えに生きる力を見つけ出していくのだ。

限られた時間の中で育まれるふたりの愛。彼らが過ごす日々は幸福感と切なさが交錯し、読者も涙なしにはいられない。儚くも美しいふたりの日々は、沖野れん先生の美しい絵や繊細な表現によって視覚化され、感情や雰囲気がより直接的に伝わってくる。

中でもふたりが花火を見るシーンは最たるものであろう。押し寄せる幸福感と切なさは、マンガ表現によってより一層深い感動を与えてくれる。

本作は、生と死の狭間で輝く命の美しさを描いている。余命を宣告されながらも愛を育み、生きる力を見つけ出していくふたりの、涙なしでは見られない感動の純愛ストーリーだ。限られた時間の中で、あなたなら誰とどんな時間を過ごすだろうか？ 読み終えた後には、きっと温かい気持ちが心に湧き上がってくるだろう。