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大学生と起業家、二足のわらじで作る気鋭ジュエリー【北欧で働くおしゃれガールのキャリア連載 #7】

  • 2024.9.18

デンマーク・コペンハーゲン在住のエディターFUMINAが、ファッション/デザイン/アート業界など、憧れの仕事に就いて働くおしゃれな北欧ガールたちに急接近。オフィスや自宅、作業スペースにお邪魔し、普段の業務内容や就職に至るまでの経緯、お仕事ファッションやバッグの中身など、気になるあれこれを徹底解剖する新キャリア連載!

第7弾は、デンマークの気鋭ジュエリーブランド「Cehofski」を手がけるルイーズ・セホフスキにインタビュー。ヴィンテージのような雰囲気と退廃的な美しさ、アートピースのようにユニークなデザインが魅力で、最近ではジュリア・フォックスが着用するなど話題沸騰中。学生起業するまでの道のりや、やりたいことが見つからない不安を払拭してくれたジュエリーとの鮮烈な出会いなどについてASK。

Q1. プロフィールを教えて!

ELLEgirl

「デンマーク南部出身の28歳。兄弟や姉妹がいなかったこともあり、幼い頃はひとり遊びが基本。お絵描きや木登り、写真、そしてバービー人形の髪を切るのが好きな(お母さんお父さん、ごめんなさい)少し変わった子でした。高校卒業後は何をすればいいか見当もつかず、新たな挑戦や、自分と同じような興味をもつクリエイティブな人々と出会うために地元を離れコペンハーゲンへ。大学に入ったものの、入学から2カ月後には挫折。自分は学問に向いていないと認めざるを得ませんでした」

ELLEgirl

「その頃から、落ち着かない気持ちや不安から逃避するためにインスタグラムをよく使うように。自分は才能のない、ちょっとした美的センスと人生への楽しいアプローチをもつ“不適合者”だと思っていました。大きな転機となったのは、2018年に祖母からアンティークのジュエリーを譲り受けたとき。職人技の美しさを初めて目の当たりにした私は、『これこそ本当にやりたかったことだ!』とジュエリーデザイナーになることを決意。まさに青天の霹靂でした」

「とはいえ未経験だったため、まずは当時勤めていた幼稚園での仕事を退職。しばらくは受験やコースの受講に専念しました。2020年、銀・金細工のプログラムを履修できる専門学校に合格。パンデミックを経て、現在は別の大学でジュエリー、テクノロジー、ビジネスを総合的に学ぶコースに在籍中。学校に通いながら自分のブランド『Cehofski』を手がけています」

Q2. 具体的な仕事内容は?

ELLEgirl

「私は『Cehofski』のファウンダーであり、デザイナーであり、コンテンツクリエイターであり、職人でもあるので、仕事内容はずばり“全部”。シルバーや宝石の仕入れ、ウェブサイトの管理、DMやメールの返信、荷物の発送と受け取り、3Dスケッチ、手描きスケッチ、ワックスモデルの制作、デザインテストなど……最初にアイディアが生まれた瞬間から完成したジュエリーが誰かの元に届くまで、その間にあるすべてのプロセスをひとりで行っています。もちろん必要なときには助けを求めることも。お金や数字に関わる作業は苦手分野なので、周りに手伝ってもらいながら少しずつ勉強しています」

Q3. ジュエリーデザイナーになる前はどんな働き方をしていた?

ELLEgirl

「モデルやフリーランスのフォトアーティストとして数年間働いていました。デイケア施設に勤めていたことも。混沌とした生活のなかで“安定した仕事”をすることは、ある種の安心を得ることができたからです。父は工具職人で、子どもの頃はよく父の仕事場についていきました。金属を扱う大きな機械や、地面に落ちてきらきらと輝く細かな削りくずに魅了されたけれど、当時は『男の仕事だから』とバッサリ」

ELLEgirl

「祖母からアンティークの指輪を譲り受けたときから、これは自分のやりたいことであり、得意にならなければならないことだと直感。ノコギリでシルバーを切り、銀色の粉や削りくずが革の受け皿に溜まっていく様子を見るのは、子どもの頃を連想させて懐かしくもあり、同時にまったく新しい体験でもありました。ジュエリーのデザインと制作は、私にとって人生で一番楽しいことだと断言できます」

Q4. 「Cehofski」の世界観やデザインのインスピレーション源について教えて!

「カラフルで風変わり、遊び心があって、限界を押し広げるようなスタイル。見る人の好奇心を刺激し、惹きつけるようなジュエリーを作ることを心がけています。インスピレーションは、何気ない日常的なモノやシチュエーションから。伝統的な美意識やステレオタイプに挑戦するような姿勢も『Cehofski』の特徴」

ELLEgirl

「一般的に“醜い”とされるものに美しさを見出すことが多くあります。例えば、ビーチにたむろする人の背中で汗、海水、日焼け止めが混ざり合うような瞬間。壁のひび割れ。ゴミ箱からのぞくしおれた花。私のデザインアイデンティティは、自分の直感にあえて従うことの興奮を探求する絶え間ない旅であり、制作の過程で十分な説得力さえもたらせば、どんなものでもデザインになりえると信じています」

Q5. 一日のタイムスケジュールを教えて!

ELLEgirl

「ブランドの運営と並行して、ほとんどの時間を勉強に費やしています。ジュエリーに特化したコースを専攻しているので、教授たちは学業の傍らビジネスを始める生徒をよくサポートしてくれます。一日のスケジュールはかなりフレキシブル! ものすごく忙しい日もあれば、寝坊してボーイフレンドと遅い朝食をとる日も」

ELLEgirl

「基本は朝7~8時に起きて、家のすぐ隣にある墓地を散歩。それから大学の工房に向かって作業開始。『Cehofski』の注文を優先しつつ、それが終わり次第新しいデザインの制作とテストに取りかかります。絵を描いたり、コラージュしたり、スケッチしたりと、最初の数週間はインスピレーション集めに専念」

「デザインの方向性が決まり実際に制作が始まると、工房に入り浸って作業に没頭。いいアイディアが浮かばなかったり、エネルギーがなかったりする日は昼過ぎに帰ることもあるけれど、夜遅くまで過ごすこともしばしば。完成したコレクションはウェブサイト、もしくはイベントなどでお披露目します」

Q6. ジュエリーデザイナーとして働くうえで重要な“3つのルール”は?

ELLEgirl
【RULE 1】流行を追うのではなく直感に従う

「SNS上のトレンドはめまぐるしいスピードで消費され、数週間で廃れてしまう。使い捨ての流行に左右されるのではなく、TikTokからログオフして、身の回りで自分なりのインスピレーションを見つけることが大切」

ELLEgirl
【RULE 2】目は命!

「鋭利な工具やガスバーナーなど、ジュエリー制作中のケガや事故の危険性には要注意。特に目を守るための保護ゴーグルはマスト。煩わしいと思っても、まずは安全第一がジュエリーデザイナーの鉄則」

ELLEgirl
【RULE 3】徹夜はクリエイティビティの敵

「疲れた状態でジュエリー制作を続けていると、たいていの場合すべてが台無しに。家に帰って、次の日にフレッシュな目と頭で再度取り組むこと。『最後の仕上げが必要だから』と集中力を欠いた状態で作業を続け、作品全体を溶かしてしまったことも」

Q7. 自分のジュエリーブランドを起業するにあたって困難だったことは?

ELLEgirl

「ブランド立ち上げ当初、インスタグラムのフォロワーは100人程度。顧客はおろか、ターゲットとなるオーディエンスもいませんでした。『自分が何をしているのか』『このまま続けていいのか』と悩んだけれど、数年後にはオーストラリア、アメリカ、ドイツなど世界各国から注文が入るように。今振り返ってみても『Cehofski』がどうやってここまで辿り着いたのかは謎(笑)。起業する際の心構えとしては、自分を信じることはもちろん、決意、練習、忍耐など、些細なことの積み重ねが肝心」

Q8. お気に入りのお仕事ファッションを教えて!

ELLEgirl

「細かい作業をするのでメガネは欠かせません。服は快適で、汚れてもいいもの。ホコリや研磨剤で指が真っ黒になるので、着心地のいい黒いズボンをよくはいています。ストライプ柄のパッチワークシャツは『Save The Queen』のヴィンテージ。機械に巻き込まれる可能性があるので、髪は結んでアップに」

Q9. お仕事バッグの中身を教えて!

ELLEgirl

「バッグ=道具箱。シルバーの切れ端から古いスケッチ、鉛筆、メガネ、鎮痛剤、リップクリーム、ハンマーまで……ありとあらゆるものが入っています。典型的なお仕事バッグではないかもしれないけれど、私にはぴったり!」

Q10. 将来ジュエリーデザイナーになりたい人にアドバイスするなら?

ELLEgirl

「自分のスタイルを見つけ、貫き、流行を追いかけないこと。基本的なテクニックは、経験豊富なジュエリーデザイナーや金細工職人の講習をたくさん受けて身につけること。そして何より、自分の直感を信じて、自分らしいと思えるデザインを探求すること。始め方に正解も間違いもありません。私もまだ旅の途中だけど、いつかこの旅が私をどこへ連れて行ってくれるのかすごく楽しみ」

ELLEgirl
ELLEgirl

Louise Cehofski(ルイーズ・セホフスキ)

ジュエリーブランド「Cehofski」ファウンダー

Instagram

デンマーク出身の28歳。2019年からジュエリーデザインのスキルを磨き、大学に通いながら自身のブランド「Cehofski」を立ち上げる。ひとつひとつ手作業で作られたアイテムはユニークかつ独創的。見落としがちな日常のモノ/コトからインスピレーションを得た唯一無二の世界観で、注目度が急上昇している。

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