1. トップ
  2. 恋愛
  3. 「男性二人が愛し合うことは、何も特別なことじゃない」──ダイ&シュンの愛の言葉【私たちのパートナーシップ Vol.5・後編】

「男性二人が愛し合うことは、何も特別なことじゃない」──ダイ&シュンの愛の言葉【私たちのパートナーシップ Vol.5・後編】

  • 2024.9.18

本気でぶつかり会える人と出会って

2023年11月、グリーンルームを出て一週間後の、初めてのお泊まり。Photo_ Courtesy of Dai & Shun
2023年11月、グリーンルームを出て一週間後の、初めてのお泊まり。Photo: Courtesy of Dai & Shun

VOGUE(以下、V) 素直に思っていることを言わないシュンさんの言葉を、ダイさんはどう引き出してきたのでしょうか。

中井大(以下、ダイ) シュンが僕を安心させないと、おさまらない状況を作る。たとえば、寂しいと感じたり、シュンがどう考えているのかがわからないと思ったときには、それをシュンがわかるようにする。本当に悲しかったら、涙が流れるときもありますし、シュンが「どうしたの」ってなるくらい、無視し続けることも。そうすると、シュンも僕と向き合わざるを得なくなるので、そういうのを繰り返しています。

中西瞬(以下、シュン) かまってちゃんになるね。

ダイ 番組で映し出されている僕とシュンの関係は、本当に心を閉ざしていたシュンと、それをどうにかこうにか開かせたい僕みたいな感じでしたが、それは僕たちのほんの一面でしかありません。今はどっちもどっちくらいな感じで、僕はなるべく自分の感情を伝えるようにしています。

V すれ違いや意見が合わなかったときは、どのようにして話し合っていますか。

シュン 最初のころは、互いに主張が多いし、尊重がなくて……相手の意見が間違っていて、自分が正しいと考えている二人だから、ここぞとばかりに突いたり、否定したりで喧嘩はヒートアップしていました。

ダイ 超頑固なんです。

Photo_ Courtesy of Netflix リアリティシリーズ「ボーイフレンド」独占配信中
Photo: Courtesy of Netflix リアリティシリーズ「ボーイフレンド」独占配信中

シュン でも最近は、落ち着いて話せることが増えました。言ったら傷つくことがわかるようになったし、感情を制御できるようになったと思います。

ダイ 第三者の目線から僕らの喧嘩を見ると、絶対にほぼ五分五分なんです。それは僕たちのことを気にかけてくれている周りの大人がいるからわかったことでもあるのですが、「僕だけが被害者じゃない」という意識を持てるようになったことが一番大きい。喧嘩しているときに、自分にも改善できる点があったんじゃないかと思えると、ヒートアップする前に落ち着くことができる。

シュン トゲとトゲなので、すり減って丸くなってきました(笑)

ダイ 僕は、今まで何を言っても聞いてくれる人が多かったから、こんなにうまくいかない人に出会ったことがない! シュンはなんでそんなトゲトゲなの?

シュン 知らない。性格。

ダイ でも、ぶつかり合いは必須だと思う。8割はいらない喧嘩だけど、残りの2割は大きな成長につながっている。意見の食い違いや、すれ違いは絶対にあることなので、難しいけど本気でぶつかり会える人であることは大事なこと。そういう人と出会うためにも、ある程度頑固でいいと思う。

心配性な僕と、素直になれない君と

Photo_ Courtesy of Dai & Shun
Photo: Courtesy of Dai & Shun

V お互いのことで、特に尊敬しているところや好きなところは?

ダイ シュンのすごい光る部分でもあり、仇になることもあるのかもしれないけど、あまり周りを気にしないで、自分がこれだと信じるものを徹底的に追求する行動力。その勇気と自信を持つ姿勢を尊敬しています。僕は考えすぎちゃうタイプで、しょうもないことで落ち込んで、時間が止まってしまっているときに、シュンがそばにいてくれることは大きい。

シュン ダイはすべてに真面目だから、見てて可愛い。僕があまり考えないようなことにもめっちゃ悩むし、考える。まっすぐでいいなと思います。時々、気にしすぎて生きづらそうなのは垣間見えるけど。

ダイ 自分のキャパシティの有無にかかわらず、気になることを限界までみようとするせいで、頭の中の整理が追いつかなくなり、何もする気が起きないことがあります。僕は何事にも慣れが必要。半年くらい時間が経ってから振り返ると、僕のそのときの悩みは、ケーキを食べるか食べないかくらいの悩みなんだけど、そのときは崖から飛び降りるか降りないかくらいの一大事なので大騒ぎするんです。周りの人に落ち着かせてもらいながら、思いついたらノートに書き出したり、頭の中を整理する時間を作ったりして、ようやく大したことじゃなかったって思える。

シュン ダイが心配性すぎて、最初のころはやってられないから「まだ悩んでるの?」とか毒を吐いて自分まで不機嫌になっちゃってたから、僕に悩みを言えないときもあったでしょ?

ダイ 「そんなことで悩んでるの?」と言われると悲しいし、自分が非力に感じる。同じ温度感で僕の悩みをシュンが受け取ってくれないから、「俺と付き合うならそれくらいできて当たり前なんだけど」ってよく言ってたよね(笑)。でも最近のシュンは、「いいんだよ、気にしないで」って言ってくれることが多くなった。

シュン 自分自身に余裕が増えたので、寄り添えるようになったと思う。ダイが抱えていることに、一緒に集中できるときが増えたし、アドバイスもできるようになったかな。

そばにいてくれるから、生きやすくなった

Photo_ Misaki Kawabe / Courtesy of Netflix リアリティシリーズ「ボーイフレンド」独占配信中
Photo: Misaki Kawabe / Courtesy of Netflix リアリティシリーズ「ボーイフレンド」独占配信中

V 出会って影響を受けたと感じることはありますか。

ダイ 一番大きいのは、やっぱりメンタル面。気にしている時間があったら、何か別のことを考えようというマインドセットはできるけど、心が追いつくかは別の話。でも、ちょっとずつその切り替えが早くなり、引きづられる時間が短くなってきていると思います。それは、シュンがそばにいて、もう起きたことに引きづられないタイプだから。

シュン 素直に感情を伝えるダイの真っ直ぐなところ。「コミュニケーションを取らないと伝わらない!」と言われたので、喧嘩するたびにリハビリみたいな感じです。そして、コミュニケーションの大切さ、素直に伝える大切さを学んで、確かに生きやすくなったと思います。ダイのおかげで、常識のある人間への第一歩を踏み出せた気がする。マイペースさは変わらないけど、通じない社会と対峙したときに、ちゃんと対話をしていかないとダメだなと思う。

V 付き合って一番驚いたことは?

シュン 甘えん坊なところ? でもそれは40日間でもうわかってたかな。

ダイ 子ども好きなところ。僕は家族が多く、姪っ子や甥っ子がたくさんいて、シュンはお世話上手。姪っ子たちと一緒にお出かけすることもあり、新たな一面を知ることができました。

同性愛は何も特別じゃない

Photo_ Courtesy of Netflix リアリティシリーズ「ボーイフレンド」独占配信中
Photo: Courtesy of Netflix リアリティシリーズ「ボーイフレンド」独占配信中

V 互いにとって、どんな存在でありたいですか?

ダイ 僕はシュンの安心できる場所であり続けたい。社会も人も、いい方向へと変わろうとしているし、変わってはいるけれど、まだまだ温かみに欠けると感じてしまう世の中を僕らは生きていると思う。なので、シュンがわがままを言えて、ホッとできるスペースでいられたらなと思います。

シュン 僕も、ダイの精神安定剤のような存在でありたい。

V 最後に、将来についてワクワクしていることを教えてください。

ダイ 個人的には、大自然に日光がいっぱい入ってくるお家を建てて、そこで暮らしたい。そういう未来を想像すると楽しくなる。

シュン それは確かにワクワクする!

12月25日、付き合った翌日に撮影したツーショット。Photo_ Courtesy of Dai & Shun
12月25日、付き合った翌日に撮影したツーショット。Photo: Courtesy of Dai & Shun

ダイ そして真面目な話をすると、今はまだ同性だと日本みたいに結婚ができなかったり、同性愛禁止法がある国もあり、公正な社会からはまだ程遠い現実があります。だから、「同性愛が何も特別じゃない」ということが、世の中に浸透する小さなきっかけになれたらいいなって思う。だから、僕らが僕らであることを発信していくことを続けていきたい。

シュン 僕らのような存在をみて、男性二人が愛し合うということがスタンダードになれば、ちょっとずつ変わっていく気がする。

ダイ ゲイであることは、その人の一部でしかないのに、まるでそれがその人全体を表すかのように見られることに違和感を感じます。ただ恋愛をしているだけで、ゲイだから特別に違うわけではありません。

シュン 『ボーイフレンド』では、人が恋愛しているのを、みんなが違和感なく観れたと思うんです。なんら特別じゃないカップルであると感じる人が増えていったら、いい方向に進むと思うし、楽しみです。

Text&Interview: Mina Oba Editor: Mayumi Numao

>>「私たちのパートナーシップ」連載のアーカイブはこちらから。

元記事で読む
の記事をもっとみる