1. トップ
  2. エンタメ
  3. 二宮和也“天城”が迎える結末が泣ける…特別なドラマになった理由とは? 『ブラックペアン シーズン2』最終回考察レビュー

二宮和也“天城”が迎える結末が泣ける…特別なドラマになった理由とは? 『ブラックペアン シーズン2』最終回考察レビュー

  • 2024.9.18
日曜劇場『ブラックぺアン シーズン2』最終話より©TBS

二宮和也主演の日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』(TBS系)が放送中だ。前作から6年後を舞台に、東城大学医学部付属病院に現れた、“悪魔”のような世界的天才外科医・天城雪彦の活躍を描く。今回は、第10話の物語を振り返るレビューをお届けする。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

ーーーーーーーーーー

【著者プロフィール:あまのさき】

アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。

封印された手術

日曜劇場『ブラックぺアン シーズン2』最終話より©TBS
日曜劇場『ブラックぺアン シーズン2』最終話より©TBS

【写真】二宮和也演じる天才外科医・天城の雄姿が堪能できる伝説の最終回、劇中写真。日曜劇場『ブラックぺアン シーズン2』劇中カット一覧

天城雪彦(二宮和也)という天才外科医の登場ではじまった『ブラックペアン シーズン2』。8年前に医療過誤があった可能性のある徳永(井上肇)、そして結衣(堀越麗禾)の手術が同時に行われることになった最終回は、複数の衝撃とともに幕を閉じた。

開胸してみたものの、悪性高熱を発症し、どんどん状態が悪くなっていく徳永。しかも、過去の手術の影響でダイレクトアナストモーシスに使用できる動脈がない。公開手術という性質上、術死は避けたいと考える桜宮市医師会会長の真行寺(石坂浩二)は手術の中止を命じるが、天城は「これは僕のオペです」と言って聞かない。

そこへ佐伯(内野聖陽)がやって来て、8年前の顛末を天城に語る。もともとは真行寺が生み出し論文に記したダイレクトアナストモーシスだったが、あまりに人間離れした手術ゆえ封印されることに。それでも司(大和田伸也)は、預かった天城の命を救う術としてなんとか成功させようとした。

そんな折、同じ外科チームで働く徳永が心臓を悪くし、司は封印されていたはずのダイレクトアナストモーシスに挑戦。いくつもの動脈を使用したものの、結局手術は成功しなかった。佐伯の手で、徳永はなんとか一命をとりとめたものの寝たきりの状態になってしまう。

司は、天城を助けたいという一心だったのだろう。渡海の手術のために天城の動脈を使用したこと、8年前に徳永に対して行った手術はやや暴走している感はあれど、命を救うことに対する並々ならぬ執念には頭が下がる。

●“命を救うため”
それぞれの医師たちの思い

日曜劇場『ブラックぺアン シーズン2』最終話より©TBS
日曜劇場『ブラックぺアン シーズン2』最終話より©TBS

そしてこの熱い想いは佐伯と敵対している菅井(段田安則)にも伝染。結衣のスナイプ手術に手間取っていた世良(竹内涼真)に対し、アドバイスを送ったのだ。司、佐伯、菅井…それぞれの立場やポリシーこそ異なるものの、みなが“命を救うため”に動いていく様子は感動を誘った。

しかも、司はただ暴走しただけでなく、徳永の下腹壁動脈だけは温存していた。これは佐伯に言わせると、必ずやダイレクトアナストモーシスを成功させるだろう天城に、徳永の命を託すため。医学の進歩の裏側に、多くの挑戦と苦労、そして悔しさが秘められていることを実感した。

全員の団結により、徳永と結衣の手術は成功。しかし、佐伯は藤原(神野三鈴)の裏切りによって、東城大病院の医院長選には落選してしまう。これにより、天城がスリジエハートセンターのセンター長になる話はなくなり、東城大からも去ってしまった。

半年後、東城大から去っていた世良は、天城からの手紙を受け取りオーストラリアへ渡る。するとそこで、天城が亡くなったことを知らされるのだった。徳永の手術中にも不整脈を起こしていた天城は、恐らく自身の状態を悟っていたことだろう。世界で唯一の手技を行える天才医師の最期にしては、悲しいものに感じられた。

だが、その数年後、天城の遺志は受け継がれていく。天城が植えた桜の木が見守るスリジエハートセンターには、「私を忘れないで」とのタイトルがついた天城が飾っていた絵がかけられる。センター長を務めるのは高階(小泉孝太郎)で、医学会会長の立場から佐伯が現場をバックアップしていく。

●悪魔のような2人の天才に愛された世良

日曜劇場『ブラックぺアン シーズン2』最終話より©TBS
日曜劇場『ブラックぺアン シーズン2』最終話より©TBS

シーズン1から、権力と地位を得るために数多の戦いが繰り広げられてきたが、まずは一旦収まるところに収まったのだろう。ここからは、その力をどう行使していくか。最終回で見せてくれたそれぞれの命に対する想いがあれば、きっと悪い方向にはいかないはずだ。

終わってみれば、軸こそ天城であったものの、今シーズンも世良の成長を中心に描かれていた。渡海という天才の前になす術をなくして泣いていたあの頃から研鑽を積み、一人前になったところで天城という天才によりさらに磨かれた。

「お前はいい医者になる(渡海)」から、「お前はいい医者だよ(天城)」へ。悪魔のような2人の天才に愛された世良は、普通の医師とは比べ物にならないほど成長しているはずだ。それは技術面だけではなく、命に対する向き合い方という意味でも。

二宮の二役に注目してしまいがちではあったが、青臭く、ひたむきに世良を演じた竹内涼真にも拍手を贈りたい。壁にぶつかったり迷ったりしながらも、最後は信じた道を進むまっすぐな眼差しに、何度も勇気をもらった。天才がずっと先を走っていく中でも、彼がいてくれたからこそ、わたしたちは地に足をついて観ることができ、ゆえに物語にリアリティが生まれた。

ラストには天城の桜の木を見つめる渡海と猫田(趣里)の姿も。佐伯は、「東城大を引っ張っていくのはお前(=世良)のような医者かもしれない」と言い、医療を推し進めるのは「天才の暴走」だと言った。東城大の白衣に袖を通す渡海は、世良がさらなる高みに上るために送り込まれた佐伯からの刺客だろうか。

続編への期待が高まる最後となったが、まずはいま一度、この最終回を噛みしめたい。

元記事で読む
の記事をもっとみる