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【六本木】特別展 昭和モダーン モザイクのいろどり 板谷梅樹の世界 同時開催「特集展示 住友コレクションの茶道具」@泉屋博古館東京9月29日(日)まで

  • 2024.9.19

美術館初の板谷梅樹回顧展

六本木にある泉屋博古館東京では「特別展 昭和モダーン モザイクのいろどり 板谷梅樹の世界 」同時開催「特集展示 住友コレクションの茶道具」展が9月29日(日)まで開催されています。板谷梅樹作品を一堂に集めた美術館では初の回顧展となります。旧日本劇場のモザイク壁画、瀟洒な飾箱や飾皿、帯留やペンダントヘッドなど、エキゾチックで斬新なデザインの作品が展示されています。

出典:リビング東京Web

板谷梅樹(いたやうめき 1907-1963)

父は日本の近代陶芸の開拓者であり、陶芸家としては初の文化勲章受章者である板谷 波山(いたや はざん)。18歳で明治大学を中退し、単身ブラジルへ渡航しました。ドイツ人経営の農場で働くものの、一年後に帰国します。帰国後、梅樹は波山の友人で、日本のステンドグラスの先駆者・小川三知の工房に出入りするうちに、ステンドグラスやモザイクの制作を始めます。

昭和8(1933)年、日本劇場一階玄関ホールのために、陶片などを用いて高さ3mの巨大モザイク壁画を制作しました(現存せず)。第14回帝国美術院展覧会(帝展)に同作を元にした壁画を出品・初入選し、その後、帝展(帝国美術院展覧会)、日展(日本美術展覧会)などにモダンな工芸作品を出品し、晩年は日展評議員としてその地位を確立します。昭和38(1963)年5月5日、逝去しました。

出典:リビング東京Web

※主催者側の許可を得て撮影しています。

現存する梅樹作品最大のモザイク壁画 高さ約370cm重さ400kgの大作

美術館ホール内には一際存在感を感じさせる板谷梅樹の作品が展示されています。《三井用水取入所風景(みいようすいとりいれじょふうけい)》は、昭和29(1954)年に横浜市の依頼で梅樹が制作し、同年、第10回日展にも出品された作品です。 本作は、明治20(1887)年、日本初の近代水道施設としてつくられた三井用水取入所を中心に、富士山麓の豊かな自然が表現されました。富士山の山麓に位置する相模川と道志川の合流地点に佇むレンガ造りの三井用水取入所は、蒸気機関で駆動する揚水ポンプを使って水を汲み上げる画期的な施設でした。作品の高さは約370cm、重さ400kgの大作です。

富士山の山麓からの水流には躍動感と立体感が感じられ、とても見応えのある作品です。

出典:リビング東京Web

板谷梅樹《三井用水取入所風景》昭和29(1954)年 板谷波山記念館蔵

出世作ともいえる日本劇場のモザイク壁画

モザイクは、石やガラスなど小片を寄せあわせ埋め込んで、絵や模様を表す装飾美術の技法です。《展示室1》には旧日本劇場のモザイク壁画の一部が展示されています。昭和8(1933)年、日本劇場一階玄関ホールのために、陶片などを用いて制作した高さ3mの巨大モザイク壁画の一部が展示されています。古代ギリシアに着想を得た洋画家・川島理一郎(1886-1971)が下絵を手掛けた大作です。梅樹は、白磁や青磁など波山の陶片をアクセントに、様々な陶片やガラス片を組み合わせ、本作を制作しました。当時大変な話題となり、出世作ともいえる作品です。梅樹は、白磁や青磁など波山の陶片をアクセントに、様々な陶片やガラス片を組み合わせ、本作を制作しました。当時大変な話題となり、出世作となった作品です。

出典:リビング東京Web

会場展示風景

板谷梅樹のモザイクの作品です。現代でも洗練されたデザインかと思います。展示室内には彼がモザイク作品作りに使用していた道具類も展示されていますので、こちらにも注目です。

出典:リビング東京Web

会場展示風景

こちらのモザイクの作品は、色使いがとても華やかです。板谷梅樹は若かりし頃ブラジルに滞在歴があり、エキゾチックな雰囲気を感じさせてくれる作品です。

出典:リビング東京Web

展示風景

板谷ファミリーの作品展示

板谷梅樹の家族写真です。梅樹は板谷家の五男になります。陶芸家であった父・波山の作品作りは完璧主義でした。波山が焼き損じの美しい破片を土中に埋めるのを梅樹は度々見て色々な形に砕いたり、寄せ集めて玩んだりしていたそうです。父・波山の制作活動を間近で見る事で、芸術家として、またモザイク作家としての才能が培われたかもしれません。

出典:リビング東京Web

会場展示風景

展示室には母、板谷まる(玉蘭)の花瓶や日本画の作品も展示されています。板谷家の才能溢れる作品が展示されており、見所のひとつとなっています。

出典:リビング東京Web

展示風景

波山の代表作の一つ、重要文化財 《葆光彩磁珍果文花瓶》は、大正6(1917)年、波山芸術を愛した住友家15代当主・住友吉左衞門友純(号・春翠、1864-1926)によって購入され、泉屋博古館東京に継承されています。

出典:リビング東京Web

重要文化財 板谷波山《葆光彩磁珍果文花瓶》大正6(1917)年 泉屋博古館東京

板谷波山と梅樹 親子コラボ作品

板谷梅樹は、生涯を通じてモザイク画だけではなく、日常を彩る身近な作品を制作しました。ランプシェードはブラジルから帰国した昭和2(1927)年、父・波山と東京美術学校時代の同期であった小川三知(1867-1928)のもとで、アメリカ式(ティファニー方式)ステンドグラスを学びます。波山の辰砂釉の作品を応用し、欧米風の邸宅には欠かせないランプシェードを制作します。展示作品のランプシェードは、板谷波山と梅樹の親子コラボ作品です。現代でもモダンな印象を感じさせてくれる作品です。

出典:リビング東京Web

会場展示風景

銀座和光で販売されたアクセサリー

昭和12(1937)年、30歳頃には、ガラス作家の各務鑛三(1896-1985)や鋳金作家の香取正彦(1899-1988)と共に若手工芸家グループ「六色会」を結成します。この頃より美術展への出品を続ける傍ら、洋装用のペンダントなども制作されています。銀座・和光にて色とりどりのアクセサリーを販売しました。

出典:リビング東京Web

会場展示風景

こちらは和装用の帯留めになります。とてもモダンなデザインです。

出典:リビング東京Web

会場展示風景

特集展示 住友コレクションの茶道具

《展示室4》では板谷梅樹展と同時に「特集展示 住友コレクションの茶道具」も開催されています。住友コレクションの茶道具の多くは、住友春翠によって収集されました。明治から大正時代にかけて政財界では、同好の士と茶の湯の世界を楽しむ人々が増え、春翠もその一人でした。

出典:リビング東京Web

会場展示風景

高橋箒庵、野村得庵、嘉納鶴翁、三井泰山など、財界人や住友の役職員、さらに日本画家の上田耕甫、能役者の大西亮太郎など、主に京阪で活躍した芸術家たちを招き、茶の湯や能などを楽しみました。春翠自身は、唐物や江戸時代前期に活躍した京焼の名工・野々村仁清の作品など、典雅で端正な作品を収集しました。

出典:リビング東京Web

「特別展 昭和モダーン モザイクのいろどり 板谷梅樹の世界」展では、板谷梅樹のモザイク作品はモザイク壁画だけではなく、絵皿、絵画、アクセサリーなど、様々な作品を制作していたことが伺えます。特集展示の茶道具も含めると約100点もの作品が展示されており、昭和モダンなアーティストの魅力が凝縮された展覧会です。

モザイクの色彩鮮やかで素晴らしい作品を、是非会場でご覧になってみては如何でしょうか。

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