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ワーホリがしたかったのは真似事。限られた20代を費やす暇はない

  • 2024.9.19

ビジネスマンのコラムが載っているサイトを見るのにハマっていた。

「差をつける!習慣◯◯」「20代の必読書◯選!」各記事のタイトルはついつい覗きたくなる物だった。特に目標もなかった社会人3年目の私。良い餌だった。釣られるように読み漁っていた。どこか時代に置いていかれたくなくて、なんとか充実した日々を送りたくて、でも方法がわからなくて。手探り状態だった。

◎ ◎

「30代が話す 20代でやっておいた方がよかったこと」この特集が目に留まった。私のto doリストがまとめられている気がした。その記事で何回も目に入ったのが「ワーキングホリデー」の文字。「ワーホリに行っておけばよかった……」そんな嘆きを投稿する先輩がいた。一人じゃない。何人も。え、これやっとかないと損じゃない?!すぐにgoogleで情報を集めた。

ワーホリは日本の場合、資格や試験なしで各国に行くことができる。ただ一つ存在する障壁は年齢の壁。29歳以下という制限がある。まさに20代限定のイベント。人気の国は時差が少ないオーストラリアや、ワーホリの受け入れ人数が多いカナダやアメリカらしい。

こんな情報がすぐ集まった。それくらい短時間で調べまくった。20代半ばに差し掛かっていた私には時間がないように思った。一刻も早く調べなければと焦っていた。

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お尻に火がついたように英会話も始めた。ワーホリにいきたいと思いながらも私の英語力は中学レベルで止まっていた。基本的な自己紹介もできないし、「How are you?」に対して「I’m fine. Thank you.」という初歩的な日本人のへんてこ返答をしてしまうほど。ひどいものだった。

そんな私も週2回レッスンを受講するとかなり話せるようになってきた。1ヶ月ほどすると先生から「ミナはどうしてワーホリしたいの?」と突っ込んだトークテーマが投げられるようになった。咄嗟に「海外の文化に触れたいから!」と答えた。どこか気持ち悪さを感じた。あれ、確かにワーホリして何がしたいんだろう……。わからなかった。

文字通りワーホリでは海外でワーキングするわけだが、日本人にはジャパニーズレストランやフルーツのピッキングが人気らしい。理由は英語を話さなくて良いから。そのことを知った時なんてつまらないんだろうと感じた。飲食店のバイトや農家のお手伝いは日本でだってできる。それを海外に行ってまでやる意味ってなんなんだろう。不思議に思った。

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恐らく、みんな「何かしらの夢」があって資金集めのために日本でもできそうな仕事に就いている。私にはその夢というか目標がなかった。だってワーホリをしたい動機が「どこの誰かもわからない30代たちがみんなやった方が良いとネットで言ってた」だったから。

こんな曖昧な度胸だから英会話には踏み出したけど、具体的な制度のことや資金面のことは調べないでいた。調べたい意欲も沸かなかった。結局英会話も1年ほどで辞めた。

夢を叶えるためのその手段の一つとしてワーホリがあっても良い。でも、海外に行くことが夢だったら旅行でいい。

27歳になった。20代の枠組みにいられるのはあと3年。まだ明確に「20代だからこれをやりたい!」と人に説明できる内容は固まっていない。

毎週火曜日は古紙ダンボールの日。寝過ごして収集時間に間に合わなかった。でもすぐに溜まってたダンボールはなくなった。すぐに次の火曜日が来たから。それくらいのスピードで毎日が過ぎていく。

この限られた20代の毎日を誰かのやりたいこと、やっておけばよかったことに費やす暇はない。焦らないで見栄を張らないで、好きなことを毎日積み上げていきたい。毎日好きな本を読んで好きな食べ物を食べる。この積み重ねを私は続けていきたい。

■みなちゃんのプロフィール
管理栄養士 │ 口から産まれた米屋のむすめ │ 食べ物が最後は胃に収まる世界を夢見る │ ラジオ「#聴くキッチン」放送中│ instagram:@mina_jp_37

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