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おでんにナチュラルワインも!住宅地に潜むハイレベル酒場5選

  • 2024.9.18

いい酒場は必ずしも都心にあるわけではない。通称“地元愛強め族”たちは、人気の住宅街に潜む隠れ家的な良店を知っている。

シンプルだけど酒を誘う旨いアテがあり、親しみやすい店主が変わらず迎えてくれるのだ。

おでんなどの和食にワインを合わせたり、蕎麦と日本酒でしっぽり。はたまた、メニューが豊富な大衆居酒屋に、音も楽しむ大人の遊び場、上質なアテがあるバーも。

そんな“ホーム”があれば、毎日の幸福度は格段に上がるに違いない!

【地元愛強め族】 気心知れた酒場を近所に持つのが、大人の愉悦
地元愛強め族のイメージイラスト
東京カレンダー


都心近くの高級住宅街に在住で、仕事も家庭もすこぶる順調。

華やかな街の刺激も悪くはないが、ご近所のアットホームさも心地よい。経験値は総じて高く、いい店をいち早く見抜いて“地元の旨い店”は軒並み常連。

そんな彼らは家族やペットに愛を注ぐのと同様に店や街にも愛情深く、優良顧客として店の品の良さを担っている。

1.レベル高き和食をナチュラルワインと楽しむ、こなれた大人で今日も賑わう 『結』@水天宮

水天宮前『結』の外観
水天宮駅から徒歩2分。羽田空港や成田空港とをリムジンバスでつなぐ「東京シティエアターミナル」のすぐ側、という立地。夜ともなれば人通りも少なく、隠れ家感もたっぷり
ビジネスエリートを癒す洗練の料理と酒がある


華やかさはなくとも、“地に足がついた”落ち着いた雰囲気が心地良く、『ロワゾー』や『ラピヨッシュ』といった美食の隠れ家が点在する水天宮。

丸の内や大手町、兜町勤務の人が多く暮らす街であり、行きつけにしたい酒場も多い。

おでんとナチュラルワインというユニークなコンセプトを掲げ、2022年にオープンした『結』。

水天宮前『結』の鈴木貴久氏
ワインリストはなく、料理や予算に合わせて鈴木さん自らがセレクトしてくれる仕組み。店には常時150~200本がスタンバイ。グラス¥1,200~、ボトル¥8,000~


ソムリエでもある店主の鈴木貴久さんはフレンチ出身。だが、自身も生粋の酒好きゆえ、「体を労るには、和食とナチュラルワインという結論に達しました」と笑う。

その言葉を裏付けるように、料理に使う調味料はすべて無添加で、鰹節から昆布、醤油、味噌に至るまでを厳選。

水天宮前『結』の「おでん盛り合わせ」とレ・ヴィーニュ・ド・オリヴィエのオレンジワイン
はんペンや厚揚げなどの5種が楽しめる「おでん盛り合わせ」¥1,000。愛媛県の梶田商店の薄口醤油が味わいの決め手。南仏の生産者、レ・ヴィーニュ・ド・オリヴィエのオレンジワインを合わせて


滋味深いおでんを筆頭に素材を活かした旬の料理と軽い飲み口のナチュラルワインで地元の常連たちを癒している。

水天宮前『結』の「お刺身2点盛り合わせ」
「お刺身2点盛り合わせ」¥2,300。この日はヒラメとアイナメ


酒場というよりは、まるでワインバーのような、あるいは小料理屋のような……。

そんなこなれた大人の雰囲気がまた、すこぶる心地良い。

2.酸いも甘いも知る大人だけが辿り着く、しっぽり蕎麦前の愉悦 『酒とつまみと〆蕎麦 よし川』@幡ヶ谷

幡ケ谷『酒とつまみと〆蕎麦 よし川』の外観
店は新旧の個性的な店が建ち並ぶ西原商店街の一角にある。隣の代々木上原までは徒歩5分圏内。それでいて、どこか人懐っこさを感じさせる庶民的なムードが色濃く漂うエリア
才能豊かなアッパー層を包み込む“ホーム”


「西原商店街」から少し逸れれば、“億ション”があちこちに点在する幡ヶ谷。

この地に暮らす人は概して自営業が多く、それもアパレルから音楽、アート業界の、いわゆる“クリエイター”も少なくない。

移り変わりの激しい業界を生き抜く彼らだけに、地元の酒場に求めるのは当然、安らぎ第一だ。

幡ケ谷『酒とつまみと〆蕎麦 よし川』の吉川亮太氏と麻里氏
厨房に立つ亮太さんは渋谷の『雷庵』や六本木の『蕎麦前 山都』の出身。「町蕎麦のような気軽に立ち寄れる店が理想」と語る


吉川亮太さん、麻里さん夫婦が営む『酒とつまみと〆蕎麦 よし川』は、カウンター8席のみという小さな店。

空間いっぱいに漂うごま油と出汁の香りに、ふたりの温かな人柄が溶け合い、店内はまるで実家のような優しさに満ちている。

並ぶアテは板わさ、揚げ出し、とり天など、シンプルだが“そそる”一品ばかり。

幡ケ谷『酒とつまみと〆蕎麦 よし川』の「だし巻き」
東京カレンダー


かけつゆをベースにした“山都”仕込みの「だし巻き」¥780。

幡ケ谷『酒とつまみと〆蕎麦 よし川』の「にしんの梅煮」
東京カレンダー


梅のさわやかさが夏にぴったりの「にしんの梅煮」¥900。

幡ケ谷『酒とつまみと〆蕎麦 よし川』で提供している日本酒「彩來」
埼玉県の北西酒造が手掛ける「彩來」半合¥500。さらっとした口当たりとキリッとした後味で食中に合う


ふたりの故郷の蔵元から取り寄せた日本酒とともに、ゆっくり杯を重ねれば、心も体も緩んでいく。

店名の通り、〆は蕎麦で
幡ケ谷『酒とつまみと〆蕎麦 よし川』の「せいろ」
そばの風味と喉ごしのバランスにこだわった二八蕎麦の「せいろ」¥780


また、〆に蕎麦が食べられるから、2軒目のラーメンに誘惑されないのもいい。せいろかかけか、ひとり悩む時間も大人の愉悦だ。

ほろ酔いで帰る自宅までの道のりは、いつだってご機嫌。いい気分で眠りにつける良店だ。

3.好物ばかりが40種類。毎日来ても飽き足りない酒場の奥義をここで知る 『おさだ』@駒沢大学

駒沢大学『おさだ』の外観
駒沢公園とは反対側の駅西口から徒歩5分。以前は写真店だったというオレンジのひさし屋根が目印。周囲はほぼ住宅街ゆえ、自由通り沿いに漏れ出す温かな賑わいは目を惹く
上品な大人が求めるのは家飲みのような安心感


駅前まで出て行かずとも旨いアテと酒にありつける。

自宅至近でそんな酒場を見つけられたら、言うまでもなくQOLは爆上がり。気づけば週に2度、3度と足を運んでしまい、その存在の尊さを噛み締める。

駒沢を拠点とする“地元愛強め族”にとって、『おさだ』はまさに理想の酒場だ。

駒沢大学『おさだ』の季節のひと皿5種類
「穴子とトマトの南蛮漬け」(¥700)や「とうもろこしと豚肉の揚げ団子」(¥600)など季節のひと皿も充実


エイヒレから磯辺揚げ、焼きおにぎりまで、大衆酒場らしい飾らないメニューが40種以上スタンバイし、サワーから日本酒、ワインまでなんでもアリ。

注文を考えるだけでもワクワクは止まらない。

ローカルファーストも徹底しており、例えばひとり客でもいろんな味を楽しめるよう、小皿のアテを充実させたり、子ども連れが寛げるよう、奥には小上がりを設けたり。

混雑時には“地の利”を活かし、自宅でウェイティングしてもらうことも。

駒沢大学『おさだ』の「おまかせおつまみ三種盛り」
東京カレンダー


刺身、和え物、揚げ物が同時に楽しめる「おまかせおつまみ三種盛り」¥1,000。

駒沢大学『おさだ』の「ハムエッグごはん」
東京カレンダー


ボトルのマヨネーズと供される「ハムエッグごはん」¥600。

駒沢大学『おさだ』の長田悠助氏
「奇をてらわず、誰もが想像できて、ちゃんと旨い料理」が、長田さんのポリシー


「わざわざ電車に乗って向かうような店じゃないですから」と店主の長田悠助さんは謙遜するが、細やかなホスピタリティこそ、人々に愛される理由だ。

4.極上の音楽と旨い料理。心地いいものしかない、ここは男の秘密基地 『NEAR MINT TOKYO』@経堂

経堂「すずらん通り」
経堂駅北口から住宅街へと通じる「すずらん通り」には、個人商店が多く、夜ともなればひっそり。ガラス張りの店内は、外から覗くとカフェのような雰囲気で入りやすいのも特徴
カルチャーを愛する大人たちがチルく飲む街


好きなものは、歳を重ねても変わらない。それは音楽もファッションもカルチャーも。だからこそ、感度の周波数が同じ空間に身を置く幸せは、他では得難いものがある。

『NEAR MINT TOKYO』に集う大人たちが皆一様に、口元に笑みをたたえて酒を飲んでいるのは、きっとそれが理由だろう。

経堂『NEAR MINT TOKYO』の内観
店内に約300枚あるレコードはすべて店主・渡辺 優さんの個人コレクション。客層は20代から60代までと幅広く、遅い時間帯はミュージックバー的に利用する人も多いそう


アンティークの家具が並ぶ空間で、ひときわ目を惹くJBLのビンテージオーディオ。

流れてくるジャズ、ソウルファンク、ブラジルや中南米のサウンドは、各国のスパイスや食材をミックスしたオリジナル料理と並ぶこの店の主役だ。

経堂『NEAR MINT TOKYO』の「ウフエビマヨ」
東京カレンダー


エスニックな味わいの「ウフエビマヨ」¥748。

経堂『NEAR MINT TOKYO』の「白もつ・白ソーセージ・白いんげんの白ワイン煮」
東京カレンダー


ビールにも白ワインにも合う「白もつ・白ソーセージ・白いんげんの白ワイン煮」¥2,200。

経堂『NEAR MINT TOKYO』の渡辺 優氏
「経堂の庶民的な雰囲気が、どことなくブルックリンに似ていました」と渡辺さん


「ニューヨークに住んでいた当時から、店主の好みやルーツが色濃く反映された店に惹かれる自分がいて。いつか店を持つときは、自分の好きなものだけで構成しようと決めていました」とは、店主の渡辺 優さん。

その結果、食、音楽、空間すべて、どことも似て非なる唯一無二の酒場になっている。

いい音こそ、最高のアテ。“大人の遊び場”がここにある。

5.スタイリッシュな空間で気軽に上質なアテを楽しむ。そんな日常が月島流 『窓』@月島

月島『窓』の外観
月島駅から徒歩3分ながらも、もんじゃストリートから離れた佃側だけに騒々しさとは無縁。ガラス張りの1階路面店、というオープンな佇まいが逆に安心感を与えている
エリートなタワマン族で23時以降に活気づく


銀座、日本橋までタクシーで5分という立地もあり、美食感度の高い大人が暮らす月島。

彼らが“ホーム”で飲み出すのは、もんじゃストリートに連なる店がクローズしてから。23時以降が本番だ。

月島『窓』の松本洸和氏
正統派フレンチでの経験もある松本さん。石川県や新豊洲市場で仕入れた食材を中心に、季節感を投影したひと皿が好評


「自宅で家族と食事を済ませてから、銀座での会食終わりに一杯、そんな感じで訪れる方が多いです」とは店主の松本洸和さん。

近くの人気酒場『ategatte』に続く2号店として、『窓』がオープンしたのは1年前。

バー主体のスタイルではあるものの、元々彼が手掛ける旬の素材を活かした“アテ”のファンも多かったことから、予約があれば料理も提供。食事を楽しめるバーという、ハイブリッドな側面も持つ。

月島『窓』の「煮穴子と加賀野菜のマリネ」
東京カレンダー


料理は2日前の予約がマスト(1人¥6,000~、2名以上)。品数や予算の相談にも乗ってくれる。

この日の前菜は「煮穴子と加賀野菜のマリネ」。

月島『窓』の「縞鯵とハマグリの冷製パスタ」
飲みながら食べられると評判の「縞鯵とハマグリの冷製パスタ」。海の出汁が溶け出したとろみあるソースが絶品


訪れる客の9割がローカルゆえ、いつの間にか客同士がコミュニケーションをとっている姿はおなじみの光景。

とはいえ、距離感をわきまえたジェントルマンが多く、飲み方もスマート。カラッと気持ち良い時間を過ごせる止まり木として存在感を高めている。

▶このほか:ワイン好きな相手とのデートで行きたい!いま話題の“生ハム”が主役のイタリアンへ

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