現代の画家が甦らせる、花と豊穣の女神

Midori Sato

現代の画家が甦らせる、花と豊穣の女神

モチーフを可憐かつ現代的に映し出す画家 佐藤翠の展覧会「Dress of Flora－フローラのドレス－」が、小山登美夫ギャラリー天王洲にて9月21日（土）まで開催中。

1984年愛知県に生まれた佐藤翠は、名古屋芸術大学絵画科洋画コース在学中にフランスのディジョン国立美術大学に交換留学し、卒業後2010年に東京造形大学大学院造形学部修士課程を修了。
2017年にはポーラ美術振興財団在外研修員としてフランスで研修を行った。

近年はポーラ美術館アトリウム ギャラリーやソウルのGana Art Bogwangで個展を開催した他、ビューティブランド「RMK」とコラボレーションするなど活動は多岐にわたる。

エモーショナルで大胆な筆のストローク、鮮やかな色彩の線と面のコンビネーションを特徴とする佐藤の絵画は、モチーフの輪郭を溶かし、具象性と抽象性の共存を生み出す。

中でもクローゼットは彼女の代表的なモチーフであり、ドレスやシューズ、花々など昔から多くの人々を魅了してきたシンプルで根源的な題材を、それらに対する憧憬と自身の感覚に従い、独自の作品世界に昇華させてきた。

ギャラリーの天井の高い展示空間からインスピレーションを得た本展では、テーマを「女神シリーズ」に絞り、227×162cmの大きなキャンバスを土台に制作。

ドレスを着たトルソーを女神に見立てた本シリーズのきっかけは「街角のウィンドウに飾られた透けるドレスを着たトルソーの姿がギリシャ彫刻と重なって見えたこと」であったという。

また展示作品について佐藤は、
「ギリシャ神話で『花と豊穣の女神』とされるFlora（フローラ）がまとうドレスとして、今まで目にしてきたドレスを元に巨大な女神像として描きました。私にとって花は、近年ずっと夢中になっているモチーフであることから、花をまとう女神としてフローラを描きました。展覧会全体では、それらが1つの壁に1体ずつ立ち並ぶ神殿のようなイメージを持っています」と語る。

展示構成も自ら考え、スペース全体で荘厳な世界観を表す、新しく意欲的な展開となっている。

作家の凛とした視線で、現代に甦る花と豊穣の女神。
画面から放たれる、静粛な光のきらめきや揺るぎないエネルギーを感じて。



TOMIO KOYAMA GALLERY TENNOZ
03-6459-4030



【Midori Sato “Dress of Flora”】
DATE：9月21日（土）まで開催中
※日曜、月曜、祝日定休
TIME：11:00am～6:00pm
PLACE：小山登美夫ギャラリー天王洲
ADDRESS：東京都品川区東品川1-33-10 Terrada Art Complex 4階
ADMISSION FREE
WEBSITE：tomiokoyamagallery.com/exhibitions/sato2024/