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エミー賞で注目──「赤い手形」を顔に塗って出席した意図とは?

  • 2024.9.16

第76回プライムタイム・エミー賞で、コメディ・シリーズ部門主演男優賞に初めてノミネートされた先住民俳優となった、ドラマ「レザベーション・ドッグス」のディ・ファラオ・ウーン・ア・タイ。クラシックなアルマーニのスーツに、先住民デザイナーのライオネル・サンダークラウドのジュエリーを着けてレッドカーペット歩いたディ・ファラオだったが、最も注目を浴びたのは、顔に描かれた赤い手のひらの形だった。

赤い手形の裏には、MMIWという活動があった。Missing and Murdered Indigenous Women(行方不明になった・殺害された先住民女性)の頭文字を取ったこの活動は、北米全域において先住民女性が暴力の矛先となっていることに警鐘を鳴らすもので、赤い手のひらは、この活動のシンボルマーク。ディ・ファラオのスタイリスト、アボ・ヤーマギャンはUS版『VOGUE』に、「控えめなスタイリングにして、ヘアメイクのマーサ・フェランが手描きした赤い手の形にフォーカスが当たるようになっています」と語った。

国立司法研究所の2016年の調査によると、アメリカン・インディアンおよびアラスカ先住民の女性の5人に4人以上が、一生のうちに暴力に直面したことがあるという。また、アーバン・インディアン・ヘルス研究所の最近の調査によると、アメリカン・インディアンおよびアラスカ先住民の10歳から24歳の女性の死因の第3位は殺人である。

先住民のコミュニティでは、赤い服を着たり、顔に手の形を描いたりすることが、暴力によって命を奪われた先住民の女性や少女、ツースピリットを象徴・追悼する印として使われている。2010年に赤いドレスを展示していなくなった先住民女性たちを追悼するREDressプロジェクトを立ち上げたハイメ・ブラックのように、多くの現代先住民のデザイナーやアーティストもまた、現在進行中の問題に対する注意を喚起するために、作品に赤を使ってきた。そしてアメリカでは最近、先住民の女性が殺害されたり行方不明になったりした事件の多くが未解決のままであることが、ドキュメンタリー番組『Murder In Big Horn』の題材になった。

ハリウッドの大舞台でこの問題にスポットライトを当てた俳優はディ・ファラオが初めてではなく、アニメーション映画『モアナと伝説の海』(2016)でモアナの声優を務めたことで知られるネイティブ・ハワイアンの俳優、アウリイ・クラヴァーリョも2023年、ニューヨークで開催された『パワー』のプレミアで、顔に赤い手形を描いて出席した。

Text: Christian Allaire Adaptation: Sonia Kanazawa

From VOGUE.COM

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