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実は意味ないんです… 女医監修「更年期症状のNG対策」

  • 2024.9.15

更年期に入ると、多くの女性が何らかの体調変化を感じます。ホットフラッシュや不眠、イライラ感、倦怠感など、症状は多岐にわたるでしょう。これらの症状に対処するために、多くの女性がさまざまな対策を試みますが、実は一部の対応策は逆効果になることがあります。今回は、更年期症状に対して誤解されやすい対応策と、その正しい対処法について解説します。

そもそも、更年期症状とは?

更年期症状は、女性が閉経の前後に経験するホルモン変化に伴う症状のことを指します。日本人の平均閉経年齢は約50歳とされており、個人差がありますが、45歳から55歳の間に更年期症状を感じる方が多いです。

この時期には、女性は女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが減少していくことで、さまざまな症状をきたします。具体的に起こる症状は、めまい、ホットフラッシュ、不眠、疲労感、抑うつ症状、イライラ、頻尿、性交痛、肩こり、腰痛、など、人によって様々です。

勘違いしやすい更年期症状のNG対策

更年期の症状に対して行う対策には、実は効果がないどころか、逆に症状を悪化させてしまうものもあります。ここでは、よくある誤解とその理由、そして正しい対策について詳しく見ていきます。

NG1:「サプリメントを飲めば安心」

ホルモン補充療法(HRT)が更年期症状に対して効果的とされていますが、その一方で、更年期症状に効果があるとうたっているものの、あまりエビデンスレベルが高くないようなサプリメントが販売されていることもあります。

女性ホルモンに似た作用をきたすと言われているイソフラボン(※1)や、いろいろな生薬が含まれている漢方など、一部で効果が示されているものもあります。ただし、複数の会社のサプリメントを併用していると、過剰摂取につながることがあるので注意が必要です。

正しい対策

薬局で購入できるものは手軽なので試してみるのはよいと思いますが、いくつも併用するのではなく、一種類のサプリメントで適切な分量におさまるようにしましょう。もし市販のサプリメントで効果が乏しいと感じる場合は、漫然と続けるのではなく、一度婦人科で相談してみるのがおすすめです。

NG2:「運動すればすべて解決」

運動は健康維持に欠かせない要素ですが、更年期症状に対して万能ではありません。特に、過度の運動は疲労感やストレスを増大させ、逆に体調を悪化させることがあります。

今まで運動習慣があったという方は、同じ強度の運動を継続するのは健康増進に効果的です。ただ、運動習慣がなかったにも関わらず、更年期に差し掛かって突然運動強度の強いものを取り入れてしまうと、怪我につながることもあります。

正しい対策

適度な運動は血行の促進やストレス解消効果などを通じて、更年期症状の緩和に役立つことがあります。ただし、今まで運動習慣がなかった人は、軽いストレッチから始めて十分に身体のコンディションを整えたうえで、ウォーキングなどの軽い運動から始めるようにしましょう。自分の体調に合わせた無理のない運動を行うことが大切です。

ヨガやストレッチ、リズミカルなウォーキングなどは、リラクゼーション効果もあるのでおすすめですね。

NG3:「みんなが経験するものだからと我慢する」

日本人女性は我慢強い人が多く、辛い症状を感じていても、ただ我慢してやり過ごすという人も多くいらっしゃいます。しかし、実際に感じている症状が一般的に言われる更年期症状に似ているからと自己判断していて、実は甲状腺疾患や精神疾患などが隠れている場合があります(※2)。

正しい対策

更年期障害を疑うような症状があり、もし日常生活に支障をきたしている場合は、一度婦人科を受診するようにしましょう。婦人科的な問題なのか、更年期障害に似た別の病気が疑われるのかといったポイントについても、診察を通して確認してもらうことができますね。

更年期症状に対する正しい対策

1.バランスの取れた食事

更年期にはエストロゲンの減少に伴い、骨密度が低下しやすくなると考えられます(※3)。特に骨粗鬆症は女性に多いことが知られていますので、50歳を迎えたら一度骨密度を測定してみるのがおすすめです。できれば、年に1回程度測定してみて、急激な骨密度の減少がある場合は整形外科で相談するようにしましょう。

普段の対策としては、カルシウムやビタミンDを豊富に含む食事が推奨されます。また、抗酸化作用のあるビタミンE(※4)やオメガ3脂肪酸などを摂取するのも、アンチエイジングにつながりますね。

2.ストレス管理

更年期はホルモンバランスの変化に加えて、子どもの自立や親の介護などの社会的な環境の変化も伴うため、ストレス管理が重要です。ストレスを感じるのは仕方ないですが、自分にあったストレス発散方法を身につけるようにしましょう。

一般的には、深呼吸や瞑想、趣味に没頭する時間を持つことなどで、心身のバランスを保つことができます。

3.規則正しい生活リズム

睡眠不足や不規則な生活は更年期症状を悪化させる要因となります。ホットフラッシュや不安感を抱えていると良質な睡眠をとることが難しくなることもありますが、できる限り毎日同じ時間に寝起きし、十分な睡眠を確保するようにこころがけましょう。

睡眠環境を整えるために、朝から太陽の光を浴びて体内時計を整え、寝るまえにはスマートフォンやテレビなどを見ないようにして、穏やかに入眠できるようにしましょう。

終わりに

更年期は女性にとって大きな転機となる時期ですが、正しい知識を持って適切に対処することで、快適に過ごすことができます。気になる症状がある場合は、まずは自分でできる対策を行い、それでも改善しない場合は婦人科で相談するようにしましょう。この記事が少しでも更年期を迎える女性の皆さまのお役に立てれば幸いです。

【参考】
※1 厚生労働省 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
※2 働く女性の心とからだの応援サイト 甲状腺の病気
※3 厚生労働省.e-ヘルスネット 骨粗鬆症
※4 厚生労働省.e-ヘルスネット 抗酸化ビタミン
©kapinon/Adobe Stock ©Imagepocket/Adobe Stock ©Chiristsumo/Adobe Stock ©metamorworks/Adobe Stock

筆者情報

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは4人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は17万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ
X:@mamajoy_chieko

産婦人科専門医/ママ女医ちえこ

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