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〈Onion Games〉木村祥朗の、思い出のゲーム。『ロマンシング サ・ガ2』

  • 2024.9.15
ゲーム『ロマンシング サ・ガ2』

ゲームクリエイター:〈Onion Games〉木村祥朗

林田秀一 イラスト
きむら・よしろう/中学生時代からゲーム作りを始め、スクウェアを経てラブデリックに。1997年に『moon』のデザインとディレクションを担当する。スキップ、パンチラインを経てOnion Gamesを設立。代表作に『BLACK BIRD』『勇者ヤマダくん』『チュウリップ』『王様物語』等。

思い出のゲーム

ゲーム『ロマンシング サ・ガ2』

Information

ゲーム『ロマンシング サ・ガ2』スーパーファミコンパッケージ

ロマンシング サ・ガ2(1993)

対応機種:SFC
シリーズでもひときわ高い難易度を誇るRPG。世界の統一を目指し、バレンヌ帝国の歴代皇帝となり時代を超えて戦う物語。自由に物語を紡ぐフリーシナリオシステムと、主人公を入れ替えてプレイする皇帝継承システムを採用している。©SQUARE ENIX ILLUSTRATION:©1992 TOMOMI KOBAYASHI

ゲームを作るプロたちの仕事ぶりを間近に感じた、『ロマサガ2』の開発現場

中学生の時、畑の真ん中にある電器屋でアップルⅡの『ロードランナー』を触って感化され、自分でもゲームを作るように。高校でいったん離れて演劇などに興味を持ったんですが、『FF Ⅲ』や『FF Ⅳ』を遊んだこともありスクウェア(現スクウェア・エニックス)に入りました。「自分も『FF』を作りたい!」というより、プロがどうやってゲームを作ってるのか興味があったんです。初仕事は『ロマンシング サ・ガ2』のマップ制作でした。

僕はスクウェア初の新卒採用で、末端も末端。周りはディレクターの河津秋敏さん(『サガ』シリーズの生みの親)をはじめ知識豊富でマニアックな賢い方ばかり。テスト勉強ができる頭の良さというより、機転が利くとかアドリブが得意とか未来への懸念や予測力が強いとか、問題を解決しようと努力する、みたいなスタンスというか。あの日の経験があるから、どこの現場でも僕は一生懸命です。

大事なのは「ゲームからゲームを作らないこと」だと思っています。動機はいつも日常にあって、演劇や映画、現代アート的なものを観て、感動したり「おおっ!」てなったりした時に初めて生まれるもの。『moon』を作った時もそうです。

僕はスクウェアを3年で辞めて、もうゲームは作らないぞという気持ちでペルーを旅したんです。するとアグアスカリエンテス駅の広場に屋台が出ていて、子供たちが交代で『FF』を遊んでたんですよ。「ストーリーものをみんなでやってるの⁉」って感動して。

ゲームってすごいなってモチベーションで帰国して、仲間たちと『moon』を作りました。勇者ばかりが正しいんだろうか、という疑問は、あの頃のRPGの作り手はみんな抱いてたんですよ。それを形にしたのが僕たちだっただけ。チーム全体にサイケデリックやラブ&ピースを重んじるヒッピーフィーリングのような空気がありましたね。

これまでシリーズものをやらずにきました。だから『moon』の兄弟的な『ストレイチルドレン』を作るにあたって、過去作を意識しながら開発するという初めての体験をしています。コンプラとか道徳、世の中の風潮を気にして売れるか売れないかに焦点を合わせようとすると悩んでしまう。なんだかわからないけど面白い!自分の気持ちに正直に、そう思えたらいいと思うんです。

木村さんの代表作

moon(1997)

ゲーム『moon』

Information

ゲーム『moon』ビジュアル

moon(1997)

対応機種:PS1
敵と戦わない「アンチRPG」として話題に。主人公の少年は勇者に殺されたアニマルたちを救い、「ラブ」を集めてレベルを上げていく。キャラ造形もグラフィックも童話のような優しさながら、衝撃のラストが待ち受ける。

ストレイチルドレン(2023)

ゲーム『ストレイチルドレン』

Information

ゲーム『ストレイチルドレン』ビジュアル

ストレイチルドレン(2023)

対応機種:Switch
『moon』開発スタッフが手がける完全新作ソフト。古いゲーム機を起動させたことでコドモだけが暮らす世界に迷い込んでしまった主人公が、コドモたちを狙うモンスターじみたオトナたちと戦う物語。23年冬に発売予定。

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