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少女漫画みたいな恋とは無縁…のはずだったのに。共感MAXな喪女の恋路が見逃せない!『ブスに花束を。』

  • 2024.9.14

少女漫画みたいな恋に憧れる。けれど自分みたいな、大して可愛くもない普通の女子には縁のない話……。

そんな、大多数の女性が共感できるであろう思考をもつ主人公と、彼女のクラスメイトたちが巻き起こすラブコメディ。それが『ブスに花束を。』(作楽ロク/KADOKAWA)だ。

主人公・田畑は自他共に認めるモブキャラ系女子。少女漫画や乙女ゲームのような恋愛に憧れこそあるものの、容姿やコミュ力に自信があるわけでもない。田畑は進学したばかりの高校で自らを日陰者である“喪女”と自称し、クラスの隅で好きな花や植物を愛でつつ、ひっそりと学生生活を送っていた。

しかしある日、日課の花替えを行っているところを同じクラスの上野に目撃されてしまう。

いつも教室の中心にいる上野。田畑はそんな彼をカースト上位の陽キャ男子だと思っていたが、意外にもやや天然で純粋な人物だと知る。そんなきっかけから接点をもち始めた2人が、周囲を巻き込みつつ徐々に距離を縮めていく。本作は2022年に完結。現在はアニメ化企画が進行中だ。

多くの読者にとって、主人公・田畑の一挙一動はどこか他人事に思えない部分もあるのではないか。

ほかならぬ筆者自身も、田畑と同様、学生時代はクラスの隅にいたモブ女子だった自負がある。容姿やスポーツ神経にも特段恵まれず、クラスメイトの男子と話した記憶なんて正直数えるほどしかない。

それでも、田畑は自分以外の人を貶したりしない。

彼女の主人公としての最たる魅力は、自分をひたすら謙遜し卑屈になりながらも、絶対に他者へ悪意を向けない点にある。

意中の相手である上野や、人知れず恋敵となっていた鶯谷、張り切りすぎてやや空回り気味の新橋、そして自分に意地悪な感情を向ける上野の弟・圭介に対してさえも、それぞれの“いい一面”を正面から見据え、彼女は純粋にそれぞれの人物の良さを受け取っていた。

上野は田畑のそんな一面にこそ惹かれているし、周囲の人間にもそれはちゃんと伝わっている。そんな描写を見ると、どんな容姿や性格であれ、人に優しく思いやりをもって素直に接することの大事さに、改めて気づかされる。

一方でそんな田畑と上野を前に、どうしても薄暗い感情を抱いてしまう鶯谷の片思いにも共感できる部分があり…。鶯谷のことを嫌いになりきれない、という複雑な心境を抱く読者も多そうだ。そうこうしているうちに彼女たちのみならず、気づけば主要人物全員にちょっぴり愛着が湧いてしまう。本作はそんなマンガでもあるだろう。

学生時代特有の様々な行事の中で、田畑や上野をはじめとした登場人物たちの関係の変化はまだまだ先が読めないことだらけ。

複雑に絡み合った彼女たちの恋路は、一体これからどうなるのか? その先のストーリーも、あなた自身の目で確かめてみては。

文=ネゴト / 曽我美なつめ

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